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「神々しい…!」アニメ『水星の魔女』登場のミカエリス、“見せ場”なくても「自分で作って世界にかっこよさを広めるしかない」

 昨秋の放送開始からガンダムファンのみならず、これまでガンダムに触れてこなかった人も巻き込んで大きな話題になっている『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。ガンプラモデラーの間でも、登場機をカスタムした作品が数多く発表されている。モデラーのソレイユさん(@Soreiyu8ZOE8)は、グラスレー社製モビルスーツ(MS)ミカエリスをカスタムし、SNSで多くの賞賛を集めた。「『水星の魔女』本編での見せ場があまりなかった」ことが制作の動機になったという同氏に、本作制作の背景を聞いた。

ガンダム作品のモビルスーツっぽくない顔に惹かれた

――SNSで賞賛されている「ミカエリス改造機『ミカエリス カテドラルオーダー』」のお話に行く前に、同機が登場する『機動戦士ガンダム 水星の魔女』についてお伺いします。昨秋の放送開始から、現在第2章も盛り上がっていますが、どのようにご覧になっていますか?
ソレイユまず最初に感じたのは、ガンダムを知らない人でも楽しめる内容になっているなと思いました。実際SNSを見ていても『水星の魔女』からガンダムデビューしている人が大勢いて、ガンダムファンとしてもうれしい限りです。それでいて、しっかり作中の『ガンダム』と言う単語に物語の鍵となる意味を持たせているんです。「これはただのロボット作品じゃなくてガンダム作品なんだ」という思いが伝わってきました。

――登場するモビルスーツについてはいかがですか?
ソレイユ私は第0話を先行上映会で見たんですが、その時にスクリーンで動くベギルベウを見て一目惚れしました。元々遠隔操作系の兵器が好きだったのと、対ガンダム用兵器って設定のアンチドートが、癖に刺さったのが大きいです。その後ミカエリスの情報も公開されグラスレーのMS全部好みで!!! 「ここのMSでミキシングして何か作ろう」と思ったのが、今回のミカエリスの制作理由の1つです。

――なるほど。そこから本作の制作につながっていくわけですね。
ソレイユはい。それに加えて1番大きかったのが、ミカエリスだけ、アニメ内での活躍がなかったことです。他の御三家の2機はかっこいい戦闘シーンがあったのに、楽しみにしていたミカエリスだけこれといってかっこいいシーンがなかった。これは「自分で最高にかっこいいミカエリスを作って、世界にミカエリスのかっこよさを広めるしかない」と思ったのがきっかけです。

――ミカエリスについては、どのような印象だったのですか?
ソレイユ第一印象はガンダム作品に登場するMS感がないと思いました。特に顔がそう感じさせる一番の要因ですし、そこに惹かれたってのもあります。あの十字のセンサーアイが本当にかっこよかったので、制作時にもブラックライトで発光するなどのギミックを仕込みました。

対ガンダムの切り札として誕生するも、ガンダムとの死闘で悲劇的な結末に

――この「ミカエリス改造機『ミカエリス カテドラルオーダー』」は、どのような背景で誕生することになったのでしょうか? 制作の際、イメージされた物語を教えてください。
ソレイユ作中で登場する「カテドラル」というMS監査組織がありまして、そこの直属の部隊にドミニコス隊があります。この部隊が魔女狩り部隊と呼ばれ、第0話でベギルベウを使い、ルブリスを破壊しているのを見て、今回のミカエリスの設定の着想を得ました。
 ドミニコス隊がベギルベウを運用しているなら同じグラスレー社の開発したミカエリスも配備できるだろうと思い、隊の対ガンダムへの切り札という妄想で制作しました。なので名前もカテドラルの指示、いわゆる法の執行者という意味を込めてカテドラルオーダーとしています。

――なるほど。細かい考証もされているのですね。では、本機は最終的にどのような運命をたどっていくのでしょうか?
ソレイユ『破壊こそ最大の美学』って言葉がありますよね、私はその言葉が大好きなんです。形ある物散りゆく最期の瞬間が最大に美しい。だからこそこのミカエリスも破壊により、最期を締めくくってもらいたいです。
 理想でいうと、ガンダムとの激しい戦闘の末にアンチドートによりパーメットリンクを遮断され、動けなくなったガンダムに奇跡の力か何かでパーメットを介さずに機体を動かし、その攻撃により破壊されたいですね。

――悲劇的な結末ですね。本機は、「ミカエリス改造機」を謳(うた)われていますが、どのような特徴があるのでしょうか?
ソレイユいろいろと変えていますが、ノーマルと比較して1番わかりやすい所はビームブレイザーの位置と数です。ノーマルは腕に装備されてるので、シルエット的にロックマンやサムスのような少しヒロイックな印象がありました。ですが本機は副腕に装備し、自らの腕で使わないことで、禍々しい印象を出しています。数も2つに増やしてアシンからシンメトリーなシルエットに変更してます。
 これは、発売前から両腕ビームブレイザーにして脚はベギルベウを使って…などいろいろ構想をしていたのですが、実際に触ってみると思っていた感じと違ったんです。何となくイメージしていた方向性があったのですが、正直キットが手元に届いてゼロからのスタートでした。組み替えとかする時は、いつも友達とグループ通話しながらいじってるので、組み替え案を友達に見せて意見もらったり、「こうしたらどう?」などアイデアももらったりしながら今の形になりました。

こだわったのはデザインの統一「どれだけ改造してもミカエリスだって分かるように」

――本作を制作するうえで、1番こだわったところ、苦労したところを教えてください。
ソレイユ1番のこだわりは全身のデザインの統一です。大前提としてこの機体は、ミカエリスの延長線上の機体なので、どれだけ改造しても誰が見てもミカエリスだって分かるような見た目を目指しました。自作パーツも数点ありますが、「グラスレー社製MSだったらきっとこんなデザインになるんだろうな」と想像し制作しました。
 1番苦労した点は、アンチドートユニットのスジボリ、色分け、デカールです。HGのキットだけあって、ビームブレイザーもノンキネティックポッドもほぼ単色ですし、ブレイザーは装甲部で同じパーツが6、ポッドは4つと同じ作業をするのが大変でした。

――その苦労も、たくさんの方々の賞賛で吹き飛びますね。
ソレイユはい。多くの人にリツイート、いいねをいただき、本当にうれしい限りです。「この作品を見て、ミカエリスカッコよく見えてきた」とか、「買ってきた」とか言っていただけたのが、最高の褒め言葉でしたね。

――本作を経て、次に『水星の魔女』登場機を制作するとしたら、どのMSにしますか?
ソレイユこれまでに、エアリアル、ミカエリスと制作してきてるので、この流れでファラクトかダリルバルデを作りたいですね。両機とも今回のミカエリスのような最終戦使用みたいな感じのカスタムをしてみたいです。

――それらも楽しみですね。本作を含め、ご自身がガンプラを制作する際に1番大切にしている信条を教えてください
ソレイユベースとなる機体の良さを消さないことですね。この機体じゃないとこの表現はできないみたいな。選んだMSだからこそできるカスタムをすることを信条にしています。

――素晴らしい心がけですね。では、最後にソレイユさんにとって、ガンプラとは?
ソレイユ脳内イメージ出力ツールです。やはり生粋のヲタクとして、自分の脳内妄想を出力して、誰かと共有したいって感情は誰しもあると思います。それは漫画だったり、小説だったり、音楽だったりとあらゆる方法で脳内から出力できるわけで、私はその手段としてガンプラを使っています。
 今後も大事にしながら、まだ一度もガンプラでコンテストに出場した事がないので近いうちに『オラザク』や『GBWC』などのコンテストにも参加していけたらと思っています。

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