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戦争孤児だったサヘル・ローズ、ウクライナとロシアに思い重ね「祖国を誇れなかった」苦しみ明かす

サヘル・ローズ

孤独から救い出してくれた古き良き“お節介”、感じる「生き延びさせてもらった私の使命」

 外国人として、日本で暮らす困難を多く経験したサヘル。その一方でたくさんの大人たちが、日本語の授業についていけなかったとき、お腹をすかせていたとき、養母と2人でホームレス状態になったときに手を差し伸べてくれたエピソードを、最新の著書『言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”』(講談社)で綴っている。

 「私は“お節介”という日本語が好きです。お節介というのは、『あなたのことを気にかけているよ』ということを伝える行動のこと。『私は誰からも必要とされてない』という孤独から救い出してくれたのが、日本の古き良きお節介でした」

 サヘルは現在、貧困に陥っている日本に暮らすすべての人に温かい食事を届ける、その名も『サヘル・ローズのお節介食堂』に取り組もうとしている。

 「個人でやろうとしていることなので、どこまでできるかわかりません。ただ私は養子縁組をしてもらえて、日本に来てからも多くの方にサポートしてもらえた。運が良かったんです。日本には運からこぼれ落ちた大人も子ども、そして外国籍の人もたくさんいる。『お節介食堂』もそうだし、自分の過去を明かしたり、今の情勢について言葉を発信したりするのも、この地球で生き延びさせてもらった私の使命なんです」

 サヘルさんの自宅の小さな庭には季節ごとにたくさんの花が咲く。これも彼女流のお節介なのだという。

 「うちのご近所には高齢の方も多いので、『あそこに花が咲いたよ』とお散歩に出てくれるきっかけになればいいなと。先日はスイセンが大量に咲いたので、おじいちゃんおばあちゃんに切り花を持っていったんです。そしたらその次の日に『どうぞ』って卵を7個くれたんですよ」

 小さな地域で交わされるさりげないお節介と、そこから生まれる人間同士の心の交流と分かち合い。サヘルはライフワークとして国際的な人道活動にも携わっているが、平和を願う思いは規模に関わることなく彼女の行動指針となっている。

(文:児玉澄子)

『言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”』

著:サヘル・ローズ
講談社 刊行
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