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『鬼滅の刃』『エヴァ』のセリフを引用した掲示板、LGBTQ結婚式をYouTuberと発信…“SNSで話題を呼ぶ寺”を仕掛ける副住職の想い
鬼にも合掌する心優しい炭治郎のふるまい「日本のアニメやマンガは仏教との親和性が高い」
そっか…
? 宮村優子 (@386miyamura) April 4, 2021
私、笑えるんだ…
式波・アスカ・ラングレーより https://t.co/oTeoaLn1zU
境内の掲示板はたびたびSNSで注目されるが、最明寺も例外ではない。アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン』のキャラクター、式波・アスカ・ラングレーのセリフを掲載したところ、これがTwitterで拡散され1.9万RT、8.6万いいねを記録。お寺の掲示板にアニメの名言という斬新さが注目され、さまざまなメディアにも取り上げられた。このほかにも昨年には『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭次郎のセリフ〈人のためにすることは結局巡り巡って自分のためにもなっているものだし〉なども掲載した。
一方、今回の『エヴァ』はキリスト教要素が多い作品ですが、たとえば4月に貼り出していたカヲルくんのセリフ〈縁がキミを導くだろう〉の〈縁〉は仏教でも大切にしている言葉です」
掲示板に掲示する言葉は意外にも自由なんだとか。そういうこともあり、アニメや漫画のセリフを引用することも多いのだという。
「馴染みがあるアニメや漫画のセリフを引用することで、言葉の真意が心に入ってきやすいのではないかな、と狙った部分はあります。私自身マンガが大好きで、ずっと「少年ジャンプ」を愛読していることもあり、少年漫画が多いですが(笑)」
LGBTQ仏前結婚式は海外からの問い合わせも「人の“死”だけでなく、“生”でも深く関わりたい」
「“LGBTQ”という言葉が日本にも浸透してくるようになった頃、全国の寺院シンポジウムでも、性的マイノリティの方々のお葬式の方法や戒名の問題について討議がなされていました。そんな折に川越で毎年開催されているLGBTQイベント『SAITAMA RAINBOW PRIDE』に参加しました。そこで初めてLGBTQカップルの方と知り合ったのですが、本当にどこにでもいる普通の恋人同士なんだというのが印象的でした。驚いたと同時に、自分にも彼らに対して少なからず偏見を持っていたことに気付かされました。
彼らとはその後も交流を深めていきました。その時期にちょうど川越市が県内で2番目に『パートナーシップ宣誓制度』が制定したこともあり、伝統的な宗教施設からも何かお手伝いできることがないかと、2020年5月から、LGBTQ結婚式をスタートしました。結婚式を選んだのは、日本仏教のイメージが強いお葬式などの人の“死”だけでなく、“生”でも深く関わってみたいと思ったからです」
結婚式への問い合わせは日本人のみならず、中国やオーストラリアなど、海外在住のカップルも多い。現在の日本ではあまりイメージのない寺での「仏前結婚式」だが、「実は相当歴史が古い」とのこと。「お寺は先祖を祀るところ」という先入観ゆえに、その取り組みは突飛に思えるが――。
「今の日本のお寺は、お彼岸やお盆の時に来る場所、お葬式のための場所というイメージが強く、若い人たちにとって“死に近い場所”というイメージが強くなってしまっているのではないかと思います。
もともとお寺は、人々が生まれて、死ぬまでのトータルサポートをするための場所なのです。かつては地域の子どもたちのために寺子屋という塾を開いていたり、女性を守る駆け込み寺としての機能もあった。私はお寺を昔ながらの在り方に戻していきたいと考えています」
お寺業界の中では新しい取り組みであるLGBTQ結婚式だが、実際に模擬結婚式に参加した地域の人々からは、ポジティブな反応が多かったという。
「宗教によっては、同性婚の婚姻を許さない戒律があるものもありますが、仏教には『生きとし生ける者皆幸せであれ』という教えがあり、どんな人も幸せになる権利があると説いています。だから、仏前ではLGBTQ結婚式を挙げることができるのです。日本はアジアでも最大級の仏教国ですから、この文化が浸透していく土台は十分あると考えています」