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“YouTuber和尚”の「スマホで聴ける説法」が話題、波乱の人生から新型コロナまで語る
寺を飛び出し海外放浪に借金返済、波乱の人生超えた和尚がYouTuberになるまで
大愚和尚 今は直接相談を受けることはしていないのですが、昔は夜中でも、悩みがあって来た方の話を聞いていました。ときには、過食症と拒食症、リストカットを繰り返す高校生のお嬢さんが、目の前で手首を切ってしまうようなこともありました。そんな方々を見てきて、世の中には人知れず悩んでる人がこんなにもいるんだと実感したんですね。
――それは、衝撃的な出来事ですね。
大愚和尚 はい。深い悩みは、知っている人にはなかなか相談できません。私のところに来る方も、菩提寺の住職には相談しにくいという人はもちろん、芸能人、大学教授、有名企業の経営者、はたまた風俗関係や犯罪に手を染めてしまった人もいる。顔を知られていたり、立場のある人、問題が多い人ほど相談できないことがたくさんあるのに、それをぶつける場所がないんです。だから、匿名で相談できるYouTubeを始めました。
――540年も続く禅寺の住職がYouTubeで説法…というと、あまり前例のないことですし、周囲からの反対はなかったのですか?
大愚和尚 誰にも言わず、宣伝もせずに始めたので、誰からも反対されませんでした(笑)。必要な方に見ていただければいいと思っていたので、とくに「広めたい」という思いはなかったんですね。世間に必要とされないのならば、すぐに終わるだろうと思っていました。
「坊主が副業で丸儲けしている」と批判もあるが…
大愚和尚 そのようなものはとくにないですね。ただ、見てくれたIT企業の社長さんからは、「話が長い」「3分にまとめてしゃべりなさい」とアドバイスをいただきます(笑)。
――たしかに、短く収めるのはYouTube動画のセオリーですよね。
大愚和尚 私としては、お寺で相談を聞いていたときにやっていたことをそのまま動画上に持っていきたかっただけなんです。だから、長さも決めず、台本もなく、いつもぶっつけ本番。その場での一問一答であり、私自身への試練でもあります。あとは、同じ悩みを持つ多くの人に届くように、タイトルの付け方に気をつけているくらいですね。
――でもこれだけ話題になると…。
大愚和尚 「坊主が副業で丸儲けしている」と批判されることもありますが、動画の収益は私には一切入ってきていません(笑)。スタッフに還元したり、動画を作るための機材費になっていますね。
――なるほど。では、始めて良かったと感じることは?
大愚和尚 私がYouTubeに期待しているのは、その可能性なんです。お釈迦様が悟りを開かれたのは35歳で、お亡くなりになったのが80歳。その間、色々な場所を旅して、人々の悩みに教えを授けていかれました。ただ、歩いて回られているから、その範囲は約250キロ圏内、静岡県くらい。ところが今、YouTubeで配信をすると、世界中の人たちから反響がある。非常に短い時間で、より多くの人たちに“苦しみの手放し方”を届けることができるんです。TouTubeは、現代ならではの可能性に満ちた媒体だなと思います。