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“子どもに読ませたくない”絵本が異例のヒット 大人の心を癒やす人生の指南書

「幼少期に近所にいた変なおじさん」のような存在の1冊になればいい

──ヨシタケさんの絵本は子どもたちに大人気ですが、本書には「へとへとにつかれたら/はもみがかずに そのままねればいい」など、親としては見せるのに躊躇してしまうページも……。

ヨシタケシンスケ そうですよね(笑)。この本は想定読者を大人に寄せていたので、「教育上これは…」と思ったら、そこは親御さんが選択していただければ。ただ、僕は子ども向けの絵本でも、「幼少期に近所にいた変なおじさん」のような存在の1冊になればいいなと思って書いているところがあります。

──変なおじさんですか(笑)。

ヨシタケシンスケ はい。親や学校の先生とはぜんぜん違うことばかり言うけれど、「どうもあの人が言うことにも一理ありそうだ…」みたいな。そういうおじさんも、最近はだんだん町からいなくなりました。

──今だったら通報されてしまうかも?

ヨシタケシンスケ かもしれないですね。でも親戚のおじさんにもいませんでしたか? 親や先生が立場上、言えないようなことを言う大人って。子どもが大人になっていく過程で、そういう「ちょっと変わった大人」の言葉に触れるのって、僕はなんとなく大事な気がするんですよね。

──それが絵本の担える役割?

ヨシタケシンスケ もちろん教育的な絵本も必要ですが、僕自身が世の中をちょっと斜めに見てしまう性格なので(笑)。それに大人になっていく過程で、教科書に載っていることにしか触れないのは、ちょっと息苦しいというか、子どもの幅を狭めてしまうような気もするんです。そういった教科書が担えない部分を補完するのが、絵本もそうだし、漫画や映画、ゲーム、アニメといったコンテンツなんじゃないかと思うんですよね。

──たしかに本書にも「変なおじさん」的なページがたくさんありますね。

ヨシタケシンスケ 子どもにとっては「よくわからなかった」みたいなページもあると思います。だけどお母さんはニヤッとしている。そこに“なんでだろう?”と子どもが引っかかってくれたら理想ですね。どんな絵本もそうですが、すべてが簡単に理解できるよりも、「あれってどういう意味なんだろう?」という引っかかりが残るのは、子どもが大人になることに対しての希望に繋がるような気がするんですよ。

(文/児玉澄子)

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