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『親バカ青春白書』はコロナ禍の今を問う社会風刺ドラマ? 「家庭」を「社会」に持ち込む主人公たち

コロナ禍で“負の感情”が湧きやすい今、ドラマの本質が示す社会的意味

 本作では、大学も友人も“若者”に限ったものではないという昨今のスタンダードがベースにある。そこで象徴的な存在となっているのが、主人公の存在だ。柿谷氏は、彼の言動の本質を考えることにこそ、本作のメッセージがあると語る。

「主人公のガタローは、たしかに観ていて面白くて笑ってしまう。では、いったい何が面白いのかというと、模範解答は“親バカぶり”でしょうが、根っこにあるのは“怒り”です。娘への心配から、怒り・反撥・抵抗すればするほど、感情がむき出しになって面白い。でもそれが、攻撃的ではないんですね。コロナ禍で“負の感情”が湧きやすく、怒りの矛先をどこに向けているのか、どこに向けていいかわからない今の世の中で、ガタローがそれを“笑い”で昇華しています。その社会的意味は大きく、観ていて独特な痛快感があります」

 実際にこんな親がいたら、煩わしくて鬱陶しい典型的なタイプかもしれない。しかし、娘のさくらはもちろん、他の登場人物も、そんな父親に対して呆れることはあっても、決して心からバカにせず、この変な親子を受け入れていく。

「これまでの“普通”が通用しなくなり、コロナのような異常なものと共存していかなくてはならない現実において、新しい生活様式に求められていることですよね。このドラマには、そんなリアルな生活とリンクしている世界観があって生々しく映ります。普通ではないもの、異質なもの、想像し得ないもの。それらを受け入れ、順化していく彼らの姿からは、まるでコロナ禍における新生活、さらには多様性を自然に引き受ける現代の若者の感受性との兼ね合いを通した成長が描かれているようです。その点、じつに社会派ドラマともいえます」

 本作は、否定的感情が支配しない世界を描くコメディの本質をベースにしながら、いまの時代に寄り添ったメッセージを発信しているところが、意識して観ているか否かに関わらず、若い世代を自然に惹きつけているのかもしれない。

 一連の福田雄一作品に近い見せ方でありながら、その根底ではより社会性を帯び、困難な時代に生きる若い世代へのメッセージをにじませているような本作。こうした視点で観ると、より楽しめそうだ。

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