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人生を楽しむためのヒント 俳優・玉木宏
これまであまりプライベートな趣味を語ってきてはいないが、実は玉木個人はカメラ、水泳、スニーカーコレクション、ダイビングなど多彩な趣味を持つ一面も。36歳の玉木宏に仕事とプライベートをいかに楽しんでいるのか聞いた。
自宅に暗室も持つほどのめり込んでいるカメラを始めたきっかけは、ドイツのメーカー、ローライ社のフィルム二眼レフカメラを手に入れたことだったという。
「フィルムカメラで写真の面白さに気づきました。今のデジタルカメラは便利だけど、無駄打ちが多い。フィルムカメラは“一枚入魂”というか、12枚フィルム、24枚フィルム…本当に一枚一枚大切にシャッターを切るんです。そして、その結果が現像するまで分からない。あれが失敗だったのかな、なんて想像しながらまたリトライする。でも、シャッターの瞬間は一期一会だから、その一瞬は戻ってこない。それが面白く感じました」
デジタルカメラ全盛の時代に、今でも時折ライカなどのフィルムカメラを使い、原点に戻っているという。
簡単に答えが出てしまったり、ある程度スキルアップしたら、もうこれでいいやと思っちゃいそうですけど…仕事もカメラもいかようにも答えがひとつじゃない。自分の思い通りにいかない、奥深い魅力があるものに僕は惹かれるんでしょう。同じ被写体を撮るとしても、10人にカメラを渡したら仕上がりは違います。芝居も同じ。答えがないものだから面白いしやりがいがあるんです」
ツールが進化して、アマチュア・プロの境界線が曖昧になりつつあるからこそ、ゴールまでのプロセスや自分なりの答えの追及が大切だと感じているようだ。
人間離れしたところにこそ、「人間らしさ」の表現を目指した
「御手洗の中では迷いや躊躇が一切ない。頭脳明晰でクレバー。答えを次々と出していくのは単純に気持ちよかったのですが、基本的に話すのは説明的な長台詞です。その中にキャラクターを埋め込んでいくのは、難しい作業でした。芝居をするうえでは、感情表現が豊かで役に振りまわされる方が“芝居している感”はあるのですが、御手洗は真逆で、クランクアップしてもやりきった感じがないくらい。
彼のキャラクターが引き立つのは、周りが翻弄されているからだと考えました。だからこそ、自分の世界だけで進んでいくのではなく、周りとのバランス感覚が必要。このセリフの中ではどういう立ち位置であるべきかとすごく考えて、周りの役柄と対比して全体をみるのが主役だと思って演じました」
難解な御手洗個人のキャラクターを発揮しつつ、周囲とのバランスを取る。玉木個人としては、天才脳科学者を演じる自分なりの答えをどう出していったのか。
「御手洗という人間はすごくフィクション的で玉木宏個人とは違うな、と思うことのほうが大半でした。人間離れをしているので、玉木宏の中から共通点を探してそれを膨らませるのではなく、台本や原作小説を読み込んで考えを巡らせイメージを膨らませる。御手洗潔という男に自分自身が近づいていく。そういう作業でしたね」
「“天才”といえば一言で済んでしまいますが、もっと突っ込んで言うと「完璧に見せることができるタイプの人」だと思います。人間、考えながら話しているときは、身振り手振りがついてくるもの。でもそれすらもコントロールして感情を表に出さない。体温はあるけど、体温がないように見える、見せる人。話を始めたら空気を読まずにゴールに向かって一直線に話をする、少し聞けば相手の話をすべて理解して言葉をさえぎって自分の考えを伝える。リアリティのない人間離れした行動ばかりですが、これをある意味“マイペース”と捉えました。人間離れしたところにこそ、彼なりの人間らしさが表現できるんじゃないかって」
考えに考えた結果、完璧な思考と行動力を持つスーパーマンの「背景」に人間らしさを埋め込むという、自分なりの“答え”で天才脳科学者を演じた。