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北川景子、30代で開花した“人間力”を武器にする女優としての厚み

 ドラマや大作映画などに引っ張りだこの女優・北川景子。現在公開中の映画『スマホを落としただけなのに』の主演をはじめ、NHK土曜ドラマ『フェイクニュース』主演、テレビ朝日系『指定弁護士』主演、映画『パンク侍、斬られて候』のヒロイン、NHK大河ドラマ『西郷どん』の篤姫役など、今年だけでも重要な役どころでの出演が途切れることなく続いている。さらに、19年1月期水曜ドラマ『家売るオンナの逆襲』にも主演。もともとの美貌に加え、30代に入ってからは好感度や時代の空気も味方につけ、ますます活躍の幅を広げてきている。

「美少女→美人女優」の背負う宿命と覚悟

 北川景子の女優としてのスタートは、ご存知、『美少女戦士セーラームーン』(03年)だ。北川が演じた「セーラーマーズ」こと火野レイは、美少女だらけのなかで、黒髪ロングのストレートヘアと、強い目ヂカラにより、もっとも強い印象を与える存在だった。

 次に意識したのは、初出演映画だった森田芳光監督の『間宮兄弟』(06年)。沢尻エリカの妹役として出演した北川景子は、セーラーマーズとはまた異なる、初々しく瑞々しい、やわらかな雰囲気を見せていた。佐々木蔵之介とドランクドラゴン塚地武雅演じる「天然記念物」のような奥手のオタク兄弟との交流でのカレーパーティーのシーンなどは、まるでファンタジーのような愛らしさがあった。同作の森田芳光監督は、まだ女優を始めたばかりで演技に迷う北川に「魅力的なんだから、自由にやればいい」と言ってくれた恩師だという。

 そして、その縁から同じく森田監督の『サウスバウンド』(07年)に出演。また、『間宮兄弟』での共演から仲良しになった塚地との相性の良さは、再共演した映画『ハンサム★スーツ』(08年)でも発揮される。

 とはいえ、北川にとっての大きな武器である「美人」という要素は、ともすれば女優にとってデメリットにもなりかねない。

「なりたい顔」ランキングなどでは、首位を含めた上位に常にランクイン。キリリと整いすぎた美人顔は、親近感を持たれにくいし、オファーされる役柄の幅も広がりにくい。そのため、連ドラではイケメン俳優の相手役や、美人のお嬢様役などを務めることが多く、少々一辺倒な演技に見える時期もあった。「棒読み」などと揶揄されることすらあった。

新たに掴んだ「キャラもの女優」としてのポジション

 しかし、主演ドラマ『探偵の探偵』(フジテレビ系/15年)では、意地や覚悟を感じさせる演技を見せる。妹を失ったことから「感情を失った」ヒロインを熱演、本格的なアクションにも挑戦した。常に全身から怒りをほとばしらせ、負のオーラをまとったヒロインは、北川にとっての「新境地」だった。

 そして、そうした「無表情」演技をデフォルメし、コミカルな表現に転じたのが、主演ドラマ『家売るオンナ』(日テレ系/16年)である。能面のような無表情で棒読みゼリフを言い、真剣さで笑いをとったかと思うと、勝負どころでは目をカッと見開いて「GO!」と叫んで大暴れ。緩急つけた演技により、新たに「キャラもの女優」としてのポジションも手に入れた。

 さらに、今年に入り、『フェイクニュース』(NHK総合)では、新聞社から出向中の女性記者をリアルに演じた。これまでも「気の強い美女」はたくさん演じてきたが、本作では強さ・美しさの奥にある「慎重さ」や「思慮深さ」「迷い」などが抑えた演技から漂ってくる。

 また、大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)で演じた篤姫役では、男勝りな気丈さと、優しさ・健気さを繊細に表現。再登場で描かれた「江戸無血開城」では、徳川家存続を懇願する悲哀とともに誇り高さ、凛々しさを感じさせた。時の流れを感じさせる篤姫の変化については、SNS上で「声色や話し方で、篤姫が上り詰めた事がよく伝わってきた」など、絶賛の声があがっていたほどだ。

提供元: コンフィデンス

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