YUKI新作アルバム『Terminal』が導く独創的なポップス 20年代音楽シーンにおける“一級品”

 YUKIが10作目のオリジナルアルバム『Terminal』をリリースする。前作『forme』以来、約2年ぶりのアルバムとなる本作には、3月24日に発売されたシングル「Baby, it’s you / My lovely ghost」の表題曲2曲を含む13曲を収録。“先鋭的なダンスミュージック”そして“有機的なバンドサウンド”という両極端の音楽性を際立たせながら、YUKIの歌詞とボーカルの魅力を存分に味わえる作品に仕上がっている。

常にアップデートするYUKIの音とスタイルを堪能できる13曲

  • 2年半ぶりにリリースされたシングル「Baby, it’s you / My lovely ghost」

    2年半ぶりにリリースされたシングル「Baby, it’s you / My lovely ghost」

 アルバム『Terminal』は、3月にリリースされた両A面シングルに収録された「My lovely ghost」「Baby, it’s you」で幕を開ける。グローバルポップの潮流であるネオソウルのテイストを取り入れたダンサブルな楽曲「My lovely ghost」、そして生楽器とシンセ、打ち込みのトラックを融合させ、YUKIのフロウの気持ち良さを押し出した「Baby, it’s you」。これまでYUKIが培ってきた音楽性とボーカルのスタイル、そして、斬新なサウンドメイクを共存させた素晴らしい楽曲だ。この2曲を冒頭に持ってきたのは、それが本作『Teminal』の方向性を示唆しているからだろう。
  • 『Terminal』初回盤ジャケット

    『Terminal』初回盤ジャケット

 アルバム前半は、打ち込みのトラックによるダンサブルな楽曲が中心。古き良きポップスとエレクトロを融合させた「good girl」、ネオソウル、ファンクのエッセンスを現代的なダンスチューンに昇華させた「NEW!!!」、ドープなヒップホップとEDM的なテイストを取り入れたミディアムチューン「ご・く・ら・く terminal」など、斬新なサウンドのなかで、自由に躍動するYUKIのボーカルを楽しめる楽曲が並ぶ。作曲、編曲を手がけているのは、今井了介、前田佑、U-Key zone、Henrik Nordenbackなど、国内外のプロデューサー、トラックメイカー。2002年のソロデビュー以来、テクノ、エレクトロなどにも積極的にアプローチしてきたYUKIだが、本作を聴けば、そのセンスがさらに研ぎ澄まされていることがわかる。音楽的なトレンドを掴み、それを独創的なポップスへと導く技術と感性は、20年代のシーンにおいても完全に一級品なりうる作品だろう。

 アルバムの後半には、生楽器を軸にした楽曲が収められている。林正樹(Piano)、須川崇志(Ba)、石若駿(Dr)、類家心平(Tp)など、現在のジャズシーンを支える気鋭のミュージシャンが参加した「泣かない女はいない」(ボブ・マーリーの名曲「No Woman, No Cry」をモチーフにした歌詞も絶品)、ニューウェイブとソウルミュージックの邂逅(かいこう)と呼びたくなる「Sunday Service」(作曲とアレンジは、ソロデビュー直後からYUKIの活動を支えてきた白根賢一が担当)など、ジャンルを超えたバンドサウンドを表現している。

“YUKIの音楽だ“とわかるオリジナリティと、“こんなYUKIは聴いたことがない”という斬新さ

 YUKI自身が作詞・作曲を手がけた「チューインガム」「灯」も、このアルバムの聴きどころだろう。「チューインガム」は60年代のモータウン、ソウルミュージックを想起させるサウンド、気持ち良く解放されるメロディラインが共存したナンバー。オーガニックな音像のなかで彼女は、プレーリーという名前の女の子に恋する男の子の姿を描いている。“ボーイ・ミーツ・ガール”な世界観は、まさにポップスの王道。高揚感と切なさが混ざったこの曲からは、「ポップミュージックって本来、こういうものでしょう?」というYUKIの思いが伝わってくるようだ。
  • 『Terminal』通常盤ジャケット

    『Terminal』通常盤ジャケット

 アコースティックギターと歌で始まり、フォークロック系のサウンドが鳴り響く「灯」も素晴らしい。この曲で彼女は、流されるように生き、いろんな想いを飲み込みながらも、それでも上を向いて歩こうとする人々へのエールを送っている。YUKI自身、そして彼女の音楽を聴いてきたリスナーの多くも、年齢を重ね、人生の半ばに差し掛かっている。「灯」の「あなたの笑顔見るために まだ諦めない」というフレーズには、同じ時代を生きる人々に対する“一緒に進んでいこう”という強い願いが込められているのだ。

 アルバムタイトルの『Terminal』という言葉には本来、“終着地”という意味があるが、YUKIは“人と人が行き交う場所・出会う場所”、“出発地点”という解釈でこのタイトルを付けたという。ソロデビューからの時間のなかでYUKIは、様々なクリエイターやミュージシャンとの出会い、自らの音楽性を広げ続けてきた。YUKIという存在を通して多くの人が結びつき、豊かなポップスが生み出される――そのことを踏まえて彼女は、“らしさ”と“新しさ”がバランスよく共存する本作『Terminal』の制作に臨んだのではないか。

 耳にした瞬間に“YUKIの音楽だ”とわかるオリジナリティ、そして、“こんなYUKIは聴いたことがない”という斬新さ。この両方を兼ね備えていることこそが『Terminal』の魅力であり、このアルバムによって、彼女は新しい場所に向かって進み始まるのだと思う。

(文/森朋之)

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