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チャラン・ポ・ランタン結成10周年、「聴いてもらう目的だけでは、その時限りで消費される」
結成からの10年「歌える歌が増えているつもりが、もう歌えない歌もある」
小春 最初は「いい機会かもね」くらいだったんです。「10周年だから出すぞ!」という感じでもなく…。
もも 「そんなまとめて誰が聞きたいかな?」なんて(笑)。
小春 でも作ってみて、今では自分たちが一番喜んでますね。例えばスタジオで『過去レクション』の1曲目(「親知らずのタンゴ」)を聴き直した時、突然この10年間が走馬灯のように蘇ったんです。横にいたら太った痩せたもわからないから、改めて聴くまでは時が流れていることもよくわかってなくて。
――振り返ったことで大きな変化を感じたんですね。
小春 自分たちの財産として作品が存在しているつもりだったんですけど、10年経つともはや他人ですね(笑)。特に初期の頃は妹は歌詞の意味がわからないまま歌っているような…無知で未完成のままCDとして収められていて。歌詞の意味を知らないけどステージに存在しているボーカリストの良さ、みたいなのがその時期のチャラン・ポ・ランタンにはあったんです。当時が羨ましいとかは無いけど、とにかく衝撃でした。自分の演奏も雑だし(笑)。「もっと出来たでしょ!」みたいなテイクのままになっていて。
もも 結構投げやりな感じだったよね。
小春 その頃はそれがかっこいいと思ってましたね。それに、このチャラン・ポ・ランタンとしての10年は、私は20代の全部で、妹は16歳〜26歳だったんです。2人とも女として一番変化のある時期。まさにその10年が音楽として記録に残ってることは喜びを感じましたね。みんな20代辺りの10年、写真でも声でも残しといた方がいいよって勧めたい。
――(笑)。ももさんは過去の楽曲を聴き返されていかがでしたか?
もも 今の方が引き出しは増えてる自信があったんですけど、聴き返してみるとこれはこの時にしか出せないものだったなって。あの歌い方は今じゃもうできないですし、戻れない過去があるのを知れてよかったですね。歌える歌が増えているつもりが、もう歌えない歌もあるって噛みしめました。
記念の新曲は「おいてけぼり」!? 令和1曲目は大正時代のような曲
小春もも …(笑)。
――…そんなことないですか!?(笑)
小春もも 記念! 記念! 記念だよ!?(笑)
もも ただ、小春ちゃんから送られてきたデモの仮タイトルが「おいてけぼり」だったので…これはあかん、と(笑)。
小春 でも「おいてけぼり」って、パンチはあるでしょ? どうしても拭えなくて(笑)。
もも いや、パンチはあるよ。私的にはね、その仮タイトルが10周年だけにちょっとネガティブすぎるなっていうのがあって(笑)。でも、小春ちゃん節が効いてて、ネガティブなのにテンポよく行進しているようなイメージ。なので「置行堀行進曲」というタイトルになりました。
――先日はMVの一部が公開されて、SNSではその世界観に驚きと賞賛の声が多くみられました。
もも 平成終わってね、令和入ったのに昭和の匂いというか大正のような…(笑)。
小春 そうなの! 令和に作ったんですけど、大正のような曲で。
もも 過去に向かって前進って感じですよね。だいぶ逆走しちゃって。
小春 もう意味がわかんないですよね(笑)。
姉妹は水と油? 「他人だったら許せない部分とか発生しそうな気がする」
小春 水と油じゃないですけど、人が思うインディーズさみたいなのを私の方が持ち合わせていて、妹の方がポップなんですよ。何かを意識しているとかではなく、曲によって配合率が違う感じ。ももからリクエストされた内容だったり、もものことを思って歌詞を書くこともありますが、そうじゃなくても結局、妹が歌う時点でもものものになるんです。私が歌ったデモ音源ではすごく暗かったのに、ももが歌ったら明るくポップになった曲もたくさんあるし。お茶の間感を持ち合わせているのは妹ですね。
もも 曲が出来上がると、いい感じに“小春色”も“もも色”も入ってるなぁと思います。
――このようなお話を聞くと姉妹ならではの信頼関係もあるのかな、と。
小春 一緒にやっていてすごくバランスが保てているし、シンクロ率みたいなのは姉妹だからなのか、長年一緒にやってきているからなのか、きっと他人よりはあるんだろうな、と。他人だったら許せない部分とか発生しそうな気がするんですよね。
もも 私個人的には、チャラン・ポ・ランタンの世界観は小春ちゃんが生み出してるものだって意識があるので、そもそも何か思うことが基本的には無くて。
小春 私も、ももに言われたら、「あ、そお? じゃ変えよっか」みたいな。こだわりがないわけではないんですけど、そんな感じですね。
小春 それよく言われるんですけど「そんなに他の姉妹って仲悪いんか!?」って(笑)。
――妹を思って歌詞を書いてくれるお姉さんはなかなかいないと思います(笑)。
もも やっぱり私、愛されてるのかな!(笑)
小春 あー、すごいすごい(笑)。