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ザ・クロマニヨンズ、変わらぬロックへの原動力とは?

写真:柴田恵理

写真:柴田恵理

プレミアのついたレコードも入手、「そういうのを買えるような大人になったんです」

――「レインボーサンダー」の1曲目「おやつ」に、「働いて金稼ぐ 金使う」という歌詞がありますが、お二人に物欲はあるんですか? レコード、楽器以外で。
甲本ヒロト それは日々、「あれを食いたい、本を読みたい」とかありますよ。

――高いものを買う、とか。
甲本ヒロト レコード高いよ! プレミアのついたレコードなんかも手を出してるから。

――まさに、「働いて金稼ぐ 金使う」の醍醐味ですね。
真島昌利 うん。ビートルズのブッチャーカバー(※アルバム『イエスタデイ・アンド・トゥディ』のオリジナルジャケット)を自分が手にする日が来るなんて、夢にも思わなかったもん。
甲本ヒロト 俺は持ってないぜ(笑)。でも、そういうのを買えるような大人になったんです。

――ハードの方は凝らないんですか?
甲本ヒロト オーディオマニアではないんです。僕は、全部が真空管のイギリスの50年代のキットですけどね。ヴィンテージで揃えていくと楽しい。決して最新型の超高級オーディオじゃないけど、「これだ!」って音が聴ける。

――アナログということは、あったかい音なんですか?
甲本ヒロト あったかみは求めてない。激しさ。遡れば遡るほど激しいし、炸裂してる。人類が爆裂してるよ! “炸裂ロックンロール”ですよ。

ロックを続ける原動力とは?「自分の身体や心があの音を知ってることが大事」

――そういう音楽にまた刺激を受けて、「まだまだ」だと?
甲本ヒロト うん。「こんなのどうやったらできるんだろう?」と。アナログ盤のあったかみなんて、いらないんだよ俺ら。好きなのは、目ん玉が飛び出すような、聴いていてヘトヘトになるような音。だから疲れるし、1時間も聴けないもん。
真島昌利 うん。すごい。

――音楽って、新しいからすごいわけじゃないんですね。
甲本ヒロト 新しいものもすごいんだけど、あのサウンドには敵わないよ。人間は、最新のCGを使って、IMAXシアターで巨大なキングコングを作ることはできるけど、どんなに小さなサイズであっても、本物のゴリラを作ることはできないもん。本物の迫力には、どんな最先端技術も敵わないんだって。あのサウンドの生々しさは、デジタルでは無理です。本物だから質量がすごくて、音なんだけど“持てそう”な感じ…というのは我々の主観なんだけど。でもマーシーも僕も、似たようなことを感じていると思う。
真島昌利 うん。しびれちゃうね。

――以前、ヒロトさんは「ロックは飽きない」と。人の作った音楽にしびれる一方で、お二人も音楽を生み出してライブをやって、自給自足の“しびれる感じ”を体験しているんですよね? それがロックを続けるエネルギーに繋がっているんでしょうか。
甲本ヒロト たぶん…8割合ってます(笑)。全部はわからないから。でも、自分の身体や心があの音を知ってることが大事。知っているからまた求めて、「この辺でいいか」じゃなくて、「もっともっと」ってなる自分がいるんです。ライブでもそう。人から見たら空回りなライブをしてるのかもしれないけど、自分らを感動させてくれた、興奮させてくれたあそこに、向かっているような感じなんじゃないですか、8割(笑)。

――お二人で一緒にレコードを聴くことは?
甲本ヒロト 最近はないけど昔はあったよ。でも、クロマニヨンズはツアーに行くと、メンバー4人とも必ず地方のレコード屋さんを回る。だから全員、あのアナログ盤の“すっげー”っていうのを、身をもって体験したメンバーなんです。だから4人でステージに立ったとき、「こんなもんじゃないだろう!」って、ガンガンやれるんだと思う。はい。
(文:菊地陽子)

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