“最強ゴスペル女子高生”で話題の鈴木瑛美子がデビュー 力強い歌唱の魅力とは
歌声に貫禄があると、昔からよく言われていました(笑)
鈴木 歌声に貫禄があるというのは、昔からよく言われていました(笑)。普段の話し声はそんなことないと思うんですけど。
──バラエティ番組で“最強ゴスペル女子高生”として注目を浴びたのが高2のとき。その後、CMソングや既存曲カバーで映画主題歌を務めてきましたが、メジャーデビューを控えた今のお気持ちはいかがですか?
鈴木 小さい頃からゴスペルグループや家族主催のコンサートなどでずっと歌ってきたので、歌うこと自体は今までの延長線上で気負いなくできたんですが、歌詞で自分の気持ちを歌うのは少し恥ずかしくもあります。ただアレンジで本当に素晴らしい仕上がりになったので、早く世に出したいなという気持ちのほうが大きいですね。
──ではデビューシングル収録曲について、「FLY MY WAY」はどんな思いを込めた曲なんですか?
鈴木 私を支えてきてくれた友だちやゴスペル仲間、そして家族に贈る曲です。メジャーデビューが決まると何かと忙しくなるもので、そんな私を見て「遠くに行っちゃうみたい」と寂しそうに言った友だちがいたんですね。だけど私はどこにも行かないし、何も変わらない。いつでも今まで通り会えるよ。そんな気持ちを伝えたくて、この歌詞を書きました。
──力強い歌唱もさることながら、ゴスペルの魅力である温かなコーラスワークも印象的な曲です。
鈴木 これまで私に関わってきてくれたすべての人の顔を思い浮かべながら書いた、自分を振り返るきっかけにもなった曲なので、フェイクや裏声、音域の幅、今、自分の持っているテクニックを最大限に入れ込みました(笑)。コーラスは昔からお世話になっているゴスペルの仲間や姉が参加してくれたんです。尊敬している大切な方々と一緒に作ることができた、とても幸せな時間でした。
◆「Let It Go」の25ヶ国語バージョンも耳コピで覚えて歌う才能も
鈴木 この曲は自己紹介ソングです。私はこういう人間です、ということをさらけ出した歌詞です。「私はなりたいもの何にでもなれる、やりたいこと何でもできる」という、強気な主張を込めたので、日本語でそのまま歌うと引かれちゃうかなということもあって、英語の歌詞を多用しました。
──「FLY MY WAY」も英語詞が多く、発音もとてもきれいです。英語はできるんですか?
鈴木 それがあんまり(笑)。ただ昔から洋楽を聴いたり歌ったりしてきたので、耳が英語に慣れてるんだと思います。映画『アナと雪の女王』の「Let It Go」の25ヶ国語バージョンも耳コピで覚えて歌ったりしていました。
──曲作りはいつからしていたんですか?
鈴木 一番古い記憶で7歳のとき。でもそれは、父が弾くピアノに合わせて適当に歌う遊びの延長のようなものでした。歌詞というかポエムみたいなものは小学生の頃からこっそり書いていて(笑)、きちんとした曲を作り始めたのは中学生くらいから。でも恥ずかしくて、誰かに聴かせたことはなかったです。初めて人前で披露したのが、卒業式のあとのクラスのお別れ会。すごくいいクラスで、どうしても皆に気持ちを伝えたくて「作ったんだけど聴いてくれるかな」って。でも同級生よりも保護者の方に響いたみたいで(笑)、「瑛美子ちゃんは絶対に歌手になる人だよ」と涙を流しながらおっしゃってくれた方もいました。
プロの歌手を目指すきっかけは、友人である大原櫻子のライブ
鈴木 いえ、中高とバレーボールに打ち込んでいて本気で選手を目指していたんです。髪も男の子みたいにベリーショートで(笑)。腰を壊してその夢は絶たれたんですが──。でも、小さい頃から、とにかくやりたいことがたくさんある子だったんですよ。画家とか写真家とかエッセイストとか。両親も音楽関係の仕事をしているんですが、私に「歌手になりなさい」と言ったことは一度もなく、私が夢を語るたびに全力で応援してくれましたね。
──プロの歌手になろうと決意した転機は?
鈴木 高校卒業後に友だちの大原櫻子ちゃんのライブを観に行ったとき、大勢のファンの方と歌でコミュニケーションを取る櫻子ちゃんがとても輝いて見えたんです。ステージや演出に彼女のこだわりが随所にあって、もちろん多くのスタッフさんのサポートも感じられて、それにすごく刺激を受けたんですね。私だったらどんなステージができるだろう? とパーッとイメージが広がったんです。
──大勢の前で歌いたいという願望が芽生えたということでしょうか?
鈴木 もちろんたくさんの方に聴いていただけたり、ライブに足を運んでいただけたら、こんなにうれしいことはないです。だけど私の一番大切な歌の思い出には、高校の体育館で1人の親友に向けて歌ったことがあって、あの気持ちや歌い方を、ずっと忘れないでいたいんです。1人の誰かに向けて歌った歌が、知らず知らず多くの人に伝わっていく。そんな歌をずっと歌っていきたいですね。
──今後の活動の展望をお聞かせください。
鈴木 遅ればせながらなんですが、最近になってピアノのコード(和音)を覚えて、曲作りのスピードが格段にアップしています。そうすると曲を作るたびに、『次は違うテイストの楽曲を』と追及したくなるんですね。今はどんどん新しい曲ができているので、バラエティに富んだアルバムを作りたいです。もちろんライブもたくさんしたいですね。大きい会場でなくても、音の響きがいい場所で歌いたいです。これまでもいろんなところで歌ってきたけれど、やっぱり私は高校の体育館の音響が一番好きです(笑)。
(文/児玉澄子)