日本では必要とされていないと感じた歌が、全米を熱狂させる。TiAがNYで学んだ「500%の力を発揮すること」
本場だから、最初は教会に足を 踏み入れることができなかった
TiAデビューして10周年を迎えたとき、歌をやめようと思い、泣きながら飛行機に乗ってニューヨークに行きました。(お客様に)何を伝えたらいいのかを見失ってしまった。なかでも一番悲しかったのは、自分は歌が好きなのかがわからなくなってしまったこと。とにかく日本にはいたくない。必要とされていない気持ちが大きくなってしまったんです。
しかしニューヨークは、彼女に歌を忘れさせてはくれなかった。
TiAとにかく街に音楽が溢れていて、生活するうちに徐々にまた歌いたくなってきました。そこで、ニューヨークで一番有名なライブハウスのオープンマイク(観客による飛び入り演奏)に出たんです。ホイットニー・ヒューストンやアリシア・キーズのバックで演奏してきた一流のバンドで歌えて、しかもものすごい歓声とスタンディングオベーションをいただいて、改めて自分は歌うのが好きなんだと気づきました。
彼女の飛躍はここから始まるのだが、肝心のゴスペルとの出合いは悲しい出来事がきっかけだった。
TiA16年2月に、日本で飼っていた愛犬が亡くなってしまったことを聞き、立ち上がれないほど落ち込んで、初めて教会に足を運んだんです。
ニューヨークで感じたことは、自分らしさを大切にすること
2万人がエントリーする、アメリカ最大級のゴスペル大会「マクドナルド・ゴスペル・フェスト」に日本人女性3人組で応募し、見事グループ部門日本人初優勝。続いて「スタテンアイランド・ゴスペル・フェスティバル」にソロイストとして出場し、こちらも日本人初優勝。彼女の名前は徐々に、アメリカ中に広まっていった。
「もう音楽はやらない」と心に決めて渡米した彼女が、ニューヨークで感じたこと。それは、自分らしさを大切にするということだと言う。
TiA歌については、何も要求されませんでした。ただ、あなたの持っている歌声を大切にしなさいとだけ言われました。そこで、何も考えずに歌おうと思ってわかったんです。自分が持っているものを500%ぐらい出さないと、アメリカでは観客を立ち上がらせることはできないって。ちょっとでも遠慮したら誰も聞いてくれない。それがアメリカというところ。今でも忘れないのは、アリシアのバックコーラスをしているご夫婦に言われた言葉。『ここはアメリカよ、日本じゃない』。日本と同じパフォーマンスをしていたら伝わらないと言われて目が覚めました。
アルバム『Miracle』
優勝したゴスペルコンテストの受賞曲「RIDE ON KING JESUS(with Ailah & Mio Oyama)」、「CENTER OF MY JOY」のほか、日本語のバラード、ゴスペル曲など全11曲を収録。
優勝したゴスペルコンテストの受賞曲「RIDE ON KING JESUS(with Ailah & Mio Oyama)」、「CENTER OF MY JOY」のほか、日本語のバラード、ゴスペル曲など全11曲を収録。