水森かおり、プライベートは庶民的 キャリア重ね同年代の支持が増加

 水森かおりが「歌で旅する」をテーマに、オリジナルとカバー曲で構成したアルバムシリーズ第17弾『歌謡紀行17〜水に咲く花・支笏湖へ〜』を9月19日に発売した。「演歌歌手」として位置づけられることの多い彼女だが、今作を聴くと、改めてその多彩な音楽性と表現力の豊かさに気付かされる。そうした実力によって、『NHK紅白歌合戦』15年連続出場など数々の実績を重ねているが、本人はそんな華々しい活躍が意外なほど、庶民的で親しみやすい人だ。

「あまり物欲とか金銭欲とかがないんです」

『歌謡紀行17 〜』では、八代亜紀の「なみだ恋」のような原曲の印象が強い作品も選ばれているが、水森はこれらを見事に自分流にアレンジ。そのほか、80年代のアイドル曲を彷彿させるオリジナルの新曲「夢色トレイン」なども収録され、レパートリーの広さを実感させる。
  • アルバム『歌謡紀行17〜水に咲く花・支笏湖へ〜』通常盤(18年9月19日発売)

    アルバム『歌謡紀行17〜水に咲く花・支笏湖へ〜』通常盤(18年9月19日発売)

  • アルバム『歌謡紀行17〜水に咲く花・支笏湖へ〜』初回限定盤(18年9月19日発売)

    アルバム『歌謡紀行17〜水に咲く花・支笏湖へ〜』初回限定盤(18年9月19日発売)

「いろいろなタイプの作品を歌わせていただけて、本当に楽しいです。たとえば、アルバムにも収録されている最新のシングル曲『水に咲く花・支笏湖へ』は今までにない世界観の歌。どんな風に捉えられるんだろう?という不安もありましたが、ワクワク感のほうが大きかったですし、幸いなことに良い歌だと言っていただくことが多いので、そういう作品を表現できる喜びを感じながら日々、歌わせていただいています」(水森かおり/以下同)

 水森は華やかな舞台で活躍する一方、デビュー当時から飾らない人柄が魅力的な人。ためしに最近買った“高額なもの”を聞くと、「さんざん悩んだ末に買った、スーツケースでしょうか。私、あまり物欲とか金銭欲がないんです。高いものが良いとも思わないし、ブランドにも興味がなくて…きちんと使える手頃な値段のものを、いつ捨ててもいいやと思いながら使って、結果的に長持ちさせているタイプです(笑)」という答えが返ってくるように、明るく実直で周りを圧するようなところがない。

同じくらいの努力をしていたのでは、むしろ怠けていることになる

 そして、それは次々とヒットを飛ばし、『NHK紅白歌合戦』の常連組に加わってからも変わらない。

「紅白はまた次も必ず出られるという保証は一切ありませんから、毎年このシーズンは緊張しますし、紅白のステージは何度立たせていただいていてもドキドキします。もちろん出場し続けることが目標でもありますが、そのためには常にそれまで以上の努力をしなければいけない。同じくらいの努力をしていたのでは、むしろ怠けていることになるかもしれないって思うんです」

 彼女の歌を色に置き換えてみる時、恐らく淡い色合いをイメージする人が多いだろう。それは彼女の歌が、強烈に訴えかけるようなものではないからだが、彼女自身に自分やその歌を前面に押し出そうという強い意識がないためでもある。

「人の好みはそれぞれだから、押し付けたくないんです。私にとって大事なのは、まずその歌を聴いてくださる方に届けるという役割をこなすこと。初めに良い歌だと感じていただいて、その後で歌い手も気に入っていただけたら嬉しいです」

 何年経っても瑞々しさ、親しみやすさを失わない「サザエさん」のような水森だが、その内側には職人とでも呼びたい気質が宿っている。

10月の新譜C/Wでは、自身初のクリスマスソングにも挑戦

 10月17日には、最新曲のカップリングとジャケット写真を一新した「水に咲く花・支笏湖へ【冬の特別盤】」を発売。カップリングは自身初となるオリジナルの“クリスマスソング”である「あなたにメリークリスマス」が収録され、また新たな彼女の一面を見ることができそうだ。
  • 「水に咲く花・支笏湖へ【冬の特別盤】」(18年10月17日発売)

    「水に咲く花・支笏湖へ【冬の特別盤】」(18年10月17日発売)

「自然に背伸びすることなく歌ってこられて、私は環境に恵まれたと思います。そのなかで『鳥取砂丘』(03年4月発売)に巡り合えたし、今回の『水に咲く花〜』にも出合えました。『水に咲く花〜』を歌いはじめてからは、キャンペーンなどに来てくださる同年代の方が増えているんです。

 私たちが歌っている演歌・歌謡曲は、主にご年輩の方々のものというイメージがあると思うんですけど、それが少し変わってきたのなら嬉しいですね。私自身、大人にも子どもにも愛された、良い歌をたくさん聴いて歌ってきましたから、私の歌も世代を問わず、皆さんに好きになっていただけたらと思っています。そのためには、今まで以上に努力をしないといけないので、これからも頑張ります!」

 胸中の意欲を、ストイックな彼女はさらりと言って微笑んだ。

文/寧樂小夜

(『コンフィデンス』10/8号掲載)

提供元: コンフィデンス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索