水森かおり、プライベートは庶民的 キャリア重ね同年代の支持が増加
「あまり物欲とか金銭欲とかがないんです」
水森は華やかな舞台で活躍する一方、デビュー当時から飾らない人柄が魅力的な人。ためしに最近買った“高額なもの”を聞くと、「さんざん悩んだ末に買った、スーツケースでしょうか。私、あまり物欲とか金銭欲がないんです。高いものが良いとも思わないし、ブランドにも興味がなくて…きちんと使える手頃な値段のものを、いつ捨ててもいいやと思いながら使って、結果的に長持ちさせているタイプです(笑)」という答えが返ってくるように、明るく実直で周りを圧するようなところがない。
同じくらいの努力をしていたのでは、むしろ怠けていることになる
「紅白はまた次も必ず出られるという保証は一切ありませんから、毎年このシーズンは緊張しますし、紅白のステージは何度立たせていただいていてもドキドキします。もちろん出場し続けることが目標でもありますが、そのためには常にそれまで以上の努力をしなければいけない。同じくらいの努力をしていたのでは、むしろ怠けていることになるかもしれないって思うんです」
彼女の歌を色に置き換えてみる時、恐らく淡い色合いをイメージする人が多いだろう。それは彼女の歌が、強烈に訴えかけるようなものではないからだが、彼女自身に自分やその歌を前面に押し出そうという強い意識がないためでもある。
「人の好みはそれぞれだから、押し付けたくないんです。私にとって大事なのは、まずその歌を聴いてくださる方に届けるという役割をこなすこと。初めに良い歌だと感じていただいて、その後で歌い手も気に入っていただけたら嬉しいです」
何年経っても瑞々しさ、親しみやすさを失わない「サザエさん」のような水森だが、その内側には職人とでも呼びたい気質が宿っている。
10月の新譜C/Wでは、自身初のクリスマスソングにも挑戦
私たちが歌っている演歌・歌謡曲は、主にご年輩の方々のものというイメージがあると思うんですけど、それが少し変わってきたのなら嬉しいですね。私自身、大人にも子どもにも愛された、良い歌をたくさん聴いて歌ってきましたから、私の歌も世代を問わず、皆さんに好きになっていただけたらと思っています。そのためには、今まで以上に努力をしないといけないので、これからも頑張ります!」
胸中の意欲を、ストイックな彼女はさらりと言って微笑んだ。
文/寧樂小夜
(『コンフィデンス』10/8号掲載)