Jリーグ開幕25周年、TUBE・春畑道哉がテーマ曲の誕生秘話を語る 「50年後、100年後もスタジアムで流れる曲」
「J’S THEME(Jのテーマ)」制作以降、ソロ楽曲の制作方法にも変化が
「新バージョンを制作するにあたり、Jリーグさんから“変わるものと変わらないもの”というテーマをいただきました。具体的にいうと、メロディー、テンポ、曲のサイズは変えず、25年前にはなかったループやシンセの音を加えています。他の収録曲など改めて昔の曲を聴くとギターの演奏も、当時は若さに溢れているというか(笑)。集中して熱くギターを弾いていたけれど、いまはアレンジ全体のことを考えて、曲が生み出す雰囲気をイメージしながら演奏しているので」
TUBEでデビューした2年後の1987年からソロアーティストとして活動を続けている春畑。Jリーグ発足時に制作されたこの曲は、彼のキャリアにも大きな影響を与えたという。
「『50年後、100年後もスタジアムで流れる曲。そのつもりで作ってください』というお話をいただき、プレッシャーを感じていたのを覚えています。実際にスタジアムに足を運び、試合中にアップしている控えの選手、チームとサポーターの関係などに感銘を受けて作ったのが、「J’S THEME(Jのテーマ)」なんですよね。僕にとってソロ活動は当初、TUBEとは違うことにトライする実験の場、遊びの場という意味合いがあったのですが、「J’S THEME(Jのテーマ)」を制作し、多くの方に聴いてもらえるようになってからは、メロディーを重視した曲作りを意識するようになりました」
長く続ける秘訣でいちばん大事なのはライブ
「6月に初めて『live image 18 dix-huit』に出演させてもらったのですが、クラシックのオーケストラと一緒に演奏させていただいたことは素晴らしい経験になりました。メロディーを弾くことの楽しさを改めて実感しましたし、いつも新しい環境を与えてもらえることは、本当にありがたいですね。僕自身は、インスト音楽のおもしろさ、ギターという楽器の魅力を伝えていきたいという気持ちもあります。最近では、ギタリスト仲間が集まると、“ギターに注目が集まらなくなっているのは、自分たちの責任だ”という話もしますね」
真夏を迎え、TUBEの活動も活性化。1988年に始まり、毎年恒例(90年を除く)となっている神奈川・横浜スタジアム公演(『TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2018 夏が来た!〜 YOKOHAMA STADIUM 30Times 〜』8月25日開催)は今回で30回目を迎え、神奈川・関内の街の夏の風物詩となっている。
「30回目という節目ですし、集大成というわけではないですが、ファンの皆さんに喜んでもらえるメニューを考えています。メンバーから『「J’S THEME 〜」もやったほうがいい』と言ってもらえたのも嬉しかったですね。横浜スタジアムのライブは、機材、照明、演出などを含め、毎年違ったものになっています。スタッフもおもしろいアイデアを出してくれますし、それが新鮮な感覚で続けられる理由なんだと思います。基本的には“夏祭り”なんですが、TUBE のことをよく知らない人でも楽しめるライブをやりたいと思っています」
さらに、春畑は30年以上にわたって音楽シーンの第一線で活躍し続けられる秘訣について、“常に新しい曲をライブで演奏すること”を挙げた。
「いちばん大事なのはライブ。昔のヒット曲を望まれていることもわかっていますが、それだけではどうしても飽きがくる。ツアーの前に新しい曲を発売して、その曲をステージで演奏することで、いい循環が生まれるんだと思います。新曲を披露して、一体感を生み出せた瞬間がいちばん幸せですからね」
(文/森朋之)
[18年3月27日号 コンフィデンスより]