【upcoming】10/9付週間CDランキング、『コンフィデンス』編集部ピックアップ6作

 最新10/9付オリコン週間ランキングから、TOP20位圏内には入らなかったものの、CDセールスやデジタル配信で注目すべきチャートアクションを見せた作品を、週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』編集部のメンバー6名が各目線でピックアップ。これから注目すべきアーティスト、話題作の動向を紹介する。

noovy「Garage」/シングル35位

ライブ活動で足場を固める台湾出身4人組バンド
 台湾出身の4人組ロックバンド・noovy の日本メジャーデビューシングル「Garage」が、週間シングルランキング35位にランクインした。14年にオーディションで選ばれた彼らは、台湾デビューを経て、今年1月より日本で本格的な活動をスタート。知名度ゼロから関東圏で精力的なライブをこなし、1ヶ月で自主プレス盤1000 枚を完売。さらに日本各地のライブハウス、CDショップで1stミニアルバム3000枚を売り切った。日本語、台湾語、英語で歌う楽曲の数々は、日台ロックだけでなく洋楽のテイストも。楽曲のよさで足場をしっかり固め、次のステップを踏み出した。

鎖那『Hush a by little girl』/アルバム39位

2年ぶりオリジナルアルバムが初のTOP50入り
 動画サイトを中心に活動している女性シンガー・鎖那(さな)の初の全国流通盤で、2年ぶりとなるオリジナルアルバムが、週間アルバムランキング39位に初登場。初動、順位ともに自己最高を記録した。中学時代に「歌ってみた」動画の投稿を始めた鎖那は、可愛らしく透明感のある歌声で脚光を集め、関連動画の再生数は3000万回以上を誇る。15年以降は、クリエイターユニット・HoneyWorksのプロデュースによりシンガーとしての存在感が強かったが、本作ではソングライターとして全曲の作詞作曲を担当。女の子らしさが溢れる独特の詞の世界やメロディーセンスに心惹かれる。

電波少女『HEALTH』/アルバム44位

等身大でリアルなリリックが魅力のユニット
 MC・ハシシとパフォーマー&DJのnicecreamによるHIP HOP ユニット・電波少女のメジャーデビューアルバムが、週間ランキング44位にランクインした。彼らの魅力は、シニカルに見つめた世の中の描写とそこで生きる若者の葛藤を描いたリリック。ハシシのMCは感情豊かで、特に焦燥感が絶妙。ティーンはもちろん、かつて若者だった大人にはどこか切なさも感じる世界観だ。本作でも「ME」「NO NAME.」あたりにそれが良く表れている。一方でライブではnicecreamの芸達者ぶりも見どころ。47都道府県をヒッチハイクで廻り、路上ライブを続けた経験も十二分に活きている。

Kevin Penkin『MADE IN ABYSS ORIGINAL SOUNDTRACK』/アルバム45位

アニメ・ゲーム業界で注目の若手作曲家
 7月期アニメ『メイドインアビス』のサントラ『MADE IN ABYSS ORIGINAL SOUNDTRACK』が、週間アルバムランキング45位に初登場した。劇伴は、今アニメやゲーム業界で注目されるオーストラリア出身のKevin Penkin 氏。15年に名門ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックを卒業した20代の若手作曲家だ。ウィーンで収録された本作は、チルアウト的なサウンドを中心にしながら、民族音楽やクラシックの要素も感じられる。ラージェ・ラメイヤと斎藤洸が参加した歌モノも心地よく、じっくり聴き込みたい。

日食なつこ『鸚鵡』/アルバム74位

独自の視点で現代社会の問題点描く
 シンガー・ソングライターの日食なつこの5thアルバム『鸚鵡』が、週間ランキング74位にランクインした。本作には、ネット社会に対して警鐘を鳴らす「ギャングギャング」や、はっと気付かされる日常での出来事を歌った「レーテンシー」など、現代社会が抱える問題を独自の視点で描いている。また、日食なつこのピアノはもちろん、独特なリズムが心地良い「ギャングギャング」や、ピアノとストリングスでのシンプルな編成の「2099年」など、色とりどりなサウンドも楽しめる1枚。

カマシ・ワシントン『Harmony of Difference』/アルバム81位

21世紀のジャズを大きく変えたテナーサックス奏者の2ndアルバム
 何枚かの自主制作盤をリリース後、15年に発表した初のリーダーアルバムは3枚組2時間54 分に及ぶ超大作。アフロでスピリチュアル、大地の香りが漂うサウンドは21世紀のジャズのあり方に大きな変革をもたらしたと絶賛された。あれから2年を経て発表された2ndの今作は、1stから一転、ミニアルバム仕様で80年代フュージョンを思わせる洗練されたサウンドを聴かせる。組曲のように連なる6曲構成で、どの曲も優しく心を揺さぶられるメロディーが特徴。その余韻がラストの「Truth」へと繋がり、深い感動を呼ぶ。
(『コンフィデンス』 17年10月9日号掲載)

提供元: コンフィデンス

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