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「妻が何度言っても間違えて買ってくる…」“牛乳”と“乳飲料”どう違う? 見分け方をメーカーが解説

 スーパー等の牛乳が並ぶコーナーには、同様のパッケージだが、生乳50%未満の「加工乳」や「乳飲料」なども陳列されている。先月、X上では“何度「これは牛乳じゃない」と言っても、妻が誤って「乳飲料」を買ってくる”との夫の嘆きポストが話題になった。牛乳そっくりの「乳飲料」にはどういったニーズがあり、どう使い分けたら良いのか?簡単な見分け方と共に森永乳業に聞いた。

似てるけど… 「牛乳」の表記禁じられている「加工乳」「乳製品」それぞれの違いとは

「乳製品」と「牛乳」が横並びになっている売り場

「乳製品」と「牛乳」が横並びになっている売り場

スーパーやコンビニの牛乳コーナーにずらりと並ぶ牛乳や乳飲料。牛から絞った生乳のみを使った「成分無調整牛乳」以外にも、「成分調整牛乳」「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」、そして「加工乳」や「乳飲料」と、様々な種類が存在する。

 市場の約75%を占めるのは、一般的に「牛乳」と呼ばれている「成分無調整牛乳」だ。『森永のおいしい牛乳』など、もっとも生乳に近いため、コクや風味を楽しめるのが特徴だ。

 これに対して、「成分調整牛乳」は生乳から水分や乳脂肪分などの一部を除去しているため、キレがあり、すっきりとした味わい。より脂肪を気にする人のために、さらに乳脂肪分を除去したものが「低脂肪牛乳」。さらに、乳脂肪分が0.5%未満で、ほとんど脂肪が入っていないのが「無脂肪牛乳」だ。
 Xポストで話題になったのは生乳50%未満の「乳飲料」で、生乳のみを使った「牛乳」とは別物だ。

「乳飲料は、嗜好性を高めるために、生乳をベースに、果汁やコーヒー、栄養性を高めるためにビタミン等の乳製品以外の原料を加えたもので、加工乳は、脱脂粉乳やクリーム、バター等の乳製品を加えた製品です。あえて脂肪分を高めた濃厚タイプや、『高タンパク・高カルシウム』など、栄養機能を訴求した商品もあります」(森永乳業・ミルク事業マーケティング部・馬渕 景士さん/以下同)

 それぞれに味や価格の違いがあり、細分化したニーズに合わせて展開されている。同社の調査では、牛乳を飲む理由として「カルシウムが摂れる」が一番多く挙がっている。次いで「おいしい」「タンパク質が摂れる」となっており、同じ1杯でも、より多くの栄養素を摂りたい人は「乳飲料」や「加工乳」を好む傾向にあるという。
 一見同じに見える「牛乳」と「乳飲料」を見分けるには、パッケージ側面の種類別名称を見るのが確実だ。「乳飲料」は“大きな文字で書く”という規約があり、「コーヒー“牛乳”」といった表記も禁じられている。「加工乳」も必ず側面に表示があるが、それでも間違う人は多い。実は、ぱっと見でも見分けられる方法がある。

「各メーカーの任意表示ではありますが、屋根型紙パック500ml以上のサイズの『成分無調整牛乳』は、目の不自由な方が触って分かるように、紙パックの開け口の反対側が凹んだ仕様になっています。それ以外の製品は凹みがなく、平らになっているので、いわゆる普通の“牛乳”を買いたい人は、パック上部の“凹み”があるものを選べば間違いありません」
  • パック右上部に凹みのある「牛乳」

    パック右上部に凹みのある“牛乳”

  • パック上部に凹みのない「乳飲料」

    パック上部に凹みのない“乳飲料”

乳製品カーストに地殻変動? あえて“牛乳じゃない”方を選ぶ層が拡大

 これまで、“普通の牛乳を買いたかったのに、加工乳や乳飲料を買ってしまった…!”と言うネガティブな声が散見されていたが、ここ最近、「加工乳」や「乳飲料」を進んで選ぶ人が増えてきている。その背景に、高まる健康志向と物価高騰がある。

 メーカーが生産者団体から仕入れる乳価は、ここ1年で2段階ほど高騰。牛を育てる飼料や紙パック資材の高騰などの影響もあり、1年前に比べると、店頭では 30~40円値段が上がっている。
「牛乳は日用品のため家計への影響が大きく、一番価格の高い成分無調整牛乳の売上数量は減少傾向にあります。代わりに、価格を抑えられる加工乳や乳飲料の売上が伸びています。森永乳業でも、乳飲料の『森永 あじわい便り』は、今年8〜10月の出荷金額が前年度比140%と、かなり伸びています」

 牛乳を購入する世代は、40〜50代女性の比率が高め。実際は夫や子どもなど、家族が飲んでいる場合も想定されるので一概には言えないが、20〜30代の若い世代からは比較的価格が安い物が好まれる傾向に。小さい子どもがいて消費量が多い場合は、効率的に栄養が摂れる乳飲料を求めやすいのだろう。

 逆に、『PREMiL』など栄養強化型の乳飲料は、シニア層の構成比が高い。720mlでカルシウムが牛乳の2倍と、カルシウムが不足しやすい高齢者の健康課題にも目を向けたセレクトになっているようだ。

 また、世の中の健康志向の高まりに合わせて、豆乳やオーツミルク、アーモンドミルクなど、ミルクの選択肢はさらに広がっていくことが予想される。

「調査では、牛乳飲んでいる人の50%近くが植物乳を“買っている”、“買ったことがある”と答えています。ただ、牛乳はカルシウムやタンパク質などの栄養価値、植物乳にはビタミンなどの美容価値が求められている傾向があり、飲用シーンで使い分けられている印象です」

 近年は、子どもの給食でも「ごはんと合わない」として、“牛乳不要論”が議論されることもしばしば。しかし、Jミルクではミルクの合う「乳和食」のレシピを提唱。例えば、牛乳と納豆を合わせた「ミルク納豆」は、納豆のタレを半分入れた後に、小さじ2杯の牛乳をプラス。減塩にもなり、栄養価がアップするなど、新たな牛乳の可能性を提示している。

「私も最初は嘘でしょ、と思いましたが、食べてみると、泡立ちが滑らかになって、すごく美味しいんですよ」

 また、ネクストトレンドとして世界的に注目を集めているのが、“おなかにやさしい牛乳”『A2ミルク』だ。流通量が少なく高価だが、飲んだ時におなかを壊しづらいことから、オーストラリアやアメリカなどで需要が高まっている。国内でも日経トレンディ「24年ヒット予測」に選出されるなど、日本人の7割が乳糖不耐症と言われる中、健康志向の高い人たちの間で話題になっている。

「カルシウムやタンパクだけを摂りたいというニーズではなく、複合的な栄養価を摂りたい需要が高まり、個々の健康課題に即した物が求められるようになっていくと思います。栄養価を付加した加工乳や乳飲料は、今後も伸長していくのではないでしょうか」
 同社で言えば、昭和4年の『森永牛乳』発売以来、味や製法は大きく変わっていないが、約95年の間で、世の中の飲料ニーズは目まぐるしく変化してきた。加工乳は元々、生クリームやバターを作る過程で生まれる脱脂粉乳の有効活用法として生まれた経緯もあるが、昨今の物価変動により、急激に需要が増加した。今後、乳製品カーストがどう変化していくのか。多様化する“ミルク”ニーズの行方に目が離せない。

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