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出荷率わずか0.3%以下…メリットほぼゼロの“和式トイレ”はこのまま絶滅するのか? TOTOに聞く

 清潔で高機能であるとして、世界的にも評価の高い日本のトイレ。しかしかつては日本でもトイレ=「汚い・臭い・暗い」という3Kのイメージが付きまとっていた。その一端を担っていたのが、今も一部の駅や公共施設、そして学校などに残る和式トイレだ。住宅設備機器メーカーのTOTOにも現在もごくわずかながら和式トイレのオーダーがあるとのことだが、TOTO広報は「和式トイレのメリットはほとんどありません」と話す。和式トイレはこのまま絶滅してしまうのか?

1977年には洋式と和式の出荷数が逆転 2015年にはJIS規格から除外も…

 日本で洋式トイレが急速に普及したのは、1960年代の高度経済成長期。当時、相次いで建設された公団住宅に洋式トイレが標準で設置されたことをきっかけに、日本人のトイレ様式が「しゃがむスタイル」から「腰掛けるスタイル」へと急速に変化を遂げていく。

 ただし洋式トイレそのものは明治時代から日本に存在しており、主に外国人の利用の多い高級ホテルや洋館、帝国議会議事堂などに設置されていた。

「1917年創立のTOTOが日本で初めて国産化に成功したのが、実は洋式トイレだったんです」と明かすのはTOTO広報の松竹博文さん。TOTOの前身は高級食器メーカーのノリタケであり、創立者がヨーロッパ視察で知見を得た衛生陶器(浴槽、洗面台、便器など)を、「日本人の衛生的な生活文化のために」と研究に乗り出したのがその始まりだった。
「とは言え、当時の日本ではしゃがむスタイルが一般的でしたので、長らく和式の出荷が洋式を上回っていました。初めて洋式と和式の出荷数が逆転したのは、創立から60年を経た1977年のことです。以降は徐々に洋式トイレが普及していき、2020年時点の和式トイレの出荷数は全体の0.3%以下となっています」

 2015年には和式トイレがJIS規格から除外。もはや工業製品として“なきもの”とされているのが和式トイレの現在地だ。

一方、全国の小中学校における洋式化は57%、我慢する子の増加&衛生面からも“洋式化”求める声

 日本人が古来から親しんできた「しゃがむスタイル」を「腰掛けるスタイル」へとドラスティックに変化させた洋式トイレ。今や一般住宅への和式トイレの新規出荷は「ほぼゼロ」とのことで、生まれたときから和式トイレを使ったことのない人も増えている。

 一方で全国の公立小中学校のトイレの洋式化は2020年時点で57%(文科省調べ)にとどまっており、子どもたちがトイレを我慢するなど健康にも影響を及ぼしている。

「私たちが参加している『学校のトイレ研究会』でも、洋式化を推奨しています。和式トイレは便器の周りに飛沫が飛びやすいため、臭いの原因になるだけでなく、靴で踏むなどして菌を外に拡散させてしまいがち。また濡れた床も菌が増殖しやすい要因です。感染症対策のためにも学校をはじめとする施設のトイレの洋式化、床面清掃の乾式化は強く勧めたいところです」

 コロナ禍には「誰が座ったかわからない洋式トイレに抵抗感がある」との声も一部にあったが、TOTOの調査によると「便座面よりも手の方が雑菌の数が多かった」とのこと。さらに「スマホの表面には便座の10倍の菌が付いている」といったアメリカの大学の調査もある。和式or洋式に迷うよりも重要なのはやはり手洗いのようだ。

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