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SixTONES『慣声の法則 in DOME』発売、「決意表明を感じた」横浜アリーナ公演をレビュー!

 SixTONESの映像作品『慣声の法則 in DOME』が11月1日、ついに発売される。23年1月〜4月にかけて行われたSixTONESの全国ツアー『慣声の法則』の集大成、4/23に東京ドームで行われたツアーファイナルを完全映像化。初回盤には同ツアーのキックオフとなった1月7日夜の横浜アリーナ公演が特典映像として完全収録されている。その内容はSixTONESファンでなくても必見。スタイリッシュ、近未来、ビースト、ワイルド、キュート。アイドルの枠をバキバキと砕き破壊する名状しがたきパワフル&オルタネイティブ。ライブと銘打つよりアトラクションやアートに近い没入感がある同作品は、ことごとくすべての人の語彙を消失させ、音と声の波で原始の記憶を呼び覚まされるに違いない。

「声あげて」「叫べ」…「Boom-Pow-Wow!」で一体となった会場

 まずは開演前のシーンが映し出される。センターステージの上空には円形のバトンにライトや楽器が無造作に飾られ、それを無骨なケーブルがぐるぐると縛り上げている。まるでUFOのようなオブジェクトにかぶされるノイズ音。さらにはオーケストラ&オペラ風の調弦。赤いマグマのような光の演出で浮かび上がるステージ奥の6つの丸いstone。

 何かが起ころうとしている! 地球が危ない! そんな大スケールの映画のようなOPを感じさせていたところ、なんと6つのstoneがゆっくりと頭をもたげ始めた。そう。そのstoneは何者かの“頭”だったのだ! そしてその大きく開かれた口から現れたのは…。我らが秘宝、世界に6つしかない宝玉…そう、SixTONESだった。

 彼らは歌う。「Overture -VOICE-」を。インパクトのあるメロディに6色の声。同ライブのアルバムのタイトルは『声』。まさにその『声』がコンセプトだと言わんばかりにアカペラで美しい声をハモらせるSixTONES。「群衆の一人でしかない僕の声を鳴らせ」「When we sing,when we’re here」…そう、まさに『声』。声出しが解禁となったSixTONESとしてのOverture(序曲)である。

 壮大に静謐に美しい声で始まった『慣声の法則』。だが次の曲は…意外も意外。「ここでこれ来る!?」と思わず声が出てしまった。アップテンポの「Waves Crash」が来たのだ! いきなり脳内に溢れ出すアドレナリン&ドーパミン。おそらく観客も同じ想いだったに違いない。ペンライトの「打点」が高い高い! SixTONESは全員がサングラスを着けている。その姿はまるで異世界から「堕天」した未確認生物。ビーストたちが突如、解き放たれた! その格好良さの炸裂は「NAVIGATOR」へと流れていく。飛び交う炎の演出。

 そのままセンターステージへと移動していくビーストたち。そして次に披露されたのは「シアター」。せり上がるステージの上でややローなテンポの曲を歌い上げメリハリも抜群だ。そして驚くべきことにSixTONESはこの名曲をフックとして利用していた。次の楽曲が「Boom-Pow-Wow!」だったからだ。再燃するテンション、上がり続けるボルテージ。

 完全に会場と観客が一体となった。歌詞にもある「声あげて」「叫べ」「ほら騒ぎな 声あげな」「まだ足りない パワー足りない」「全員でShout」。これは明らかに観客への「宣戦布告」だ。挑発しているにも関わらず、こんなに平和で誰もが喜ぶ「宣戦布告」が世界史上、これまであっただろうか。さらに6人はMCでも観客を挑発していく。舞台は完全に仕上がった。ここからSixTONESの思うままに、揺れるアリーナの衝撃波が世界を這い回る暗い話題を吹き飛ばしていく。

メンバー同士が目配せをして踊るシーンも、「人人人」では遊び心が爆発

SixTONES

SixTONES

 そしてSixTONESを語る上で忘れてはならないのはその美声だ。まるでギリシア神話に登場する半人半魚の怪物・セイレーンのように、その美しい歌声で観客を惑わし、音楽の海で遭難させる。「オンガク -声 ver.-」ではその美声が際立っており、ジェシーのパワフルでセクシーな声、松村北斗の壊れそうで繊細な声など、それぞれの歌声に酔いしれることができる。メンバー同士が目配せをしながら踊るシーンも微笑ましい。合った視線からあたたかな空気が流れ出している。

 「人人人」では彼らの遊び心が爆発する。田中樹を中心にしたラップが会場をビートで刻んでいき、それぞれがとても楽しそう。まるで小学生の子供たちが遊んでいるようにも見え、彼らの中にある少年が沸き立っている。輪になって腰掛けて歌い、しまいには仰向けに寝始める。それでも歌えるその凄さ。このLAZYな感覚がとても心地よい。

 この2曲だけに限らないが、SixTONESの楽曲は本当にそのバリエーションが広い。「SixTONESはこういうグループ」とまとめきれない懐の深さがある。そしてそれはユニット曲でも感じられる。田中樹&森本慎太郎の「OPA!」は「代わり映えない 繰り返しのLife 抜け出してみない?」「見せてあげたい イカれた世界」などの歌詞から彼らの決意表明が読み取れる気がする。樹のBE-BAPに押し潰した声と慎太郎の健康的で力強い声のマッチングも素晴らしい。

 またジェシー&松村北斗の「愛という名のベール」ではまたジェシーの違う一面が見られる。北斗の声を支えるように、時にはリードしながらジェシーの吐息混じりの声が切なく、だが爽やかなに絡んでいく。降ってくる羽の演出で2人が白の天使、黒の天使にも見える。さながら今、この舞台は天界。ほくじぇが語り継ぐ神話の世界をしっかりその目にとどめておきたい。

 京本大我&地優吾の「ラ・ラ・ラ・ラブストーリー」はまるでミュージカルのような楽しい一品。まずはニャーニャーと会話しながら歩く2人。年長組のこの可愛さにキュン死しそうになった人は多いのではないか。決めポーズは2人が体を使ってハートマーク。アップテンポが多いSixTONESの中で個人的に、頼り頼られる関係性のきょもゆごは心が穏やかになる不思議な組み合わせ。ある種のSixTONESの特異点であると筆者は感じる。

ぶち上げメドレーから「Outrageous」でトドメ! そこからの「Again」への流れが憎い!

 ライブの後半はぶち上げナンバーをメドレーで。デビュー曲の「Imitation Rain」から、「S.I.X」「Special Order」「フィギュア(ラップのみ)」「RAM-PAM-PAM」「WHIP THAT」。キタキタキタキタキタ! これぞSixTONESの真骨頂! 歌いながら頬を伝う汗が美しい。

「イミレ」の安定感、エモの洪水。そこから振り幅が大きい「S.I.X」はイントロから絶頂。「Special Order」ではお馴染みの手のひらひらを何度も繰り返し見たくなるほどにバイブスが上昇。サビが耳に残る「RAM-PAM-PAM」ではセクシーさが爆裂。「WHIP THAT」では各自外周を歩きながらパフォーマンスを。ジェシーの思いつきの振り付けを皆が真似するところで轟くような歓声が上がった。6人6色の個性が光るほか、6人集まったダンスパートでは観客から大きな声援が。ぶち上げ連続の積み重ねにより画面越しに見ていても脳内がメロメロになるのだから、現場で目撃した観客は脳内ホルモンが口からブシャーする勢いで『声』を出すのを楽しんでいたのではないだろうか。

 そのメロメロ状況の観客を「Outrageous」が仕留めにかかる。まさにこのライブのクライマックス。「圧巻」という言葉をこの時使わずしていつ使おう。その熱量と激しいダンスが画面いっぱいに広がり、バチバチの陶酔状態に導いてくれる。もちろんそのダンスも素晴らしいが、注目してもらいたいのはそれぞれのパフォーマンス時の表情だ。真剣、笑顔、陶酔…それぞれだが、なんて楽しそうに踊るのだろうか。指先一つ、つま先一つ、すべてに魂が宿り、その6つの別々の魂が合わせて一つの巨大な恒星のように光り輝く。太陽系ならぬSixTONES系の宇宙のような壮大さも感じさせた。

 そしてラストはバラードの「Again」。陶酔ぶち上げ状態の名残りをジェシーが優しく包み込むように歌い、そこから我々は再び地上へと優しく降ろされていく。顔に光る汗がこれまでの激しさを物語る。歌詞の「この声を伝えたくて」が心に染みる。やり終えた感のある6人の表情。美しいメロディーや伴奏もあり、心に「これで終わりか…」という切なさが込み上がってきた。その哀愁は逆に彼らのエネルギーの膨大さも表しているように思われ、今後も彼らの声が世界に残り続けるであろう妄想が頭をよぎった──。

 「酔いしれる」、本作を観終わり、率直に、最初に浮かんだ言葉がそれだった。忘れたくない夢、その幸せな気持ちを胸の中で大事に抱え、そして日常を過ごしていく。幻であって幻ではない。確かな手応えが胸に残った。SixTONESはその楽曲、パフォーマンスの幅広さで知られる。ゆえに同ライブもまるでアトラクションのようであり、次にどんなお宝=楽曲が岩陰から現れるのか、男である筆者にとってはまるで少年時代の宝探しのような興奮を思い起こさせた。

 思えば我々は声のない世界に慣れすぎていた。コロナの規制が緩まった今、そのことにハッと気付かされる映像体験だった。そう。世の中は過去、声にあふれていた。声がこんなに愛おしい存在だったなんて。そしてこんなに力をもらえるものだったなんて。『慣声の法則』。その真の意味はわからない。だがSixTONESはそうした『声』の大事さを訴えかけたかったのではないだろうか。慣れすぎていた声があふれる世界が失われた3年間。そこを打ち破って「当たり前が当たり前じゃない」ということを知らせたかったのではないだろうか。それが『慣声の法則』──? いや。勘ぐりはやめておこう。筆者はここで筆を置き、再び『慣声の法則』に戻ろう。何度もリピートして見まくって、そして彼らの魂を感じ続けたい。

(文/衣輪晋一)
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