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「カレーは飲み物です」を遂に実現?“飲むカレー”で新たな喫食シーンの獲得狙う「真の“食事のお供”を実現したい」

 大食漢を自負する者の代名詞としてお馴染みの「カレーライスは飲み物」。そんな迷言を体現する商品が登場し、ひそかな話題を集めている。缶入りコーンスープ「じっくりコトコト」シリーズを手掛けるポッカサッポロフード&ビバレッジより発売した『じっくりコトコト飲むカレー』。ホット缶スープのトップシェアを誇る同社が、通常の4倍以上の歳月を費やしてまで商品化しようと思った理由とは? 多様化する缶入りスープ飲料に一石を投じる同商品について聞いた。

「レトルトをストローで飲むだと?」テレビで衝撃を受けたカレーの食し方がきっかけ

  • (画像はイメージ)

    (画像はイメージ)

 ポッカサッポロと言えば、コーンスープやオニオンスープを展開している「じっくりコトコト」シリーズが主力商品。1980年から缶入りスープを発売し、缶以外にも粉末スープ、カップ入りスープを展開しており、主力の「じっくりコトコト」シリーズは1996年の誕生から現在まで170以上のアイテムを発売ている。また、缶スープカテゴリーにおいては、缶入りスープのNo.1メーカーとして確固たる地位を築いている(※)。

 そんな中、同社は「定番商品であるコーンスープとは異なったニーズを捉えた商品を発売することで市場を活性化できないか」という思いで、2021年に『カレーな気分中辛』を期間限定で発売する。それまで単体で楽しんでいた缶入りスープを“食事に合わせる汁物”として、新たな喫食シーンの獲得も視野に入れた取り組みであった。それが日本の国民食でもある「カレー」に着目したのは意外なきっかけだった。

「ある時、テレビでレトルトカレーにストローをさして飲みながら歩く人の姿をみて衝撃を受けました。この食べ方であれば、一緒におにぎりを食べると口の中でカレーライスになる。“食事に合わせる汁物”として、新たな喫食シーンを獲得できるのではと思い、カレーに着目しました。しかも“カレーは飲み物”と言われるけれども、ドリンクタイプのカレーは市販商品では見たことがないため、これはチャンスだと思い商品開発に着手しました」(食品飲料事業本部・加工食品事業部 小川裕久さん/以下同)

 まず缶入りのカレー飲料の味を決めるために、開発スタッフはカレー店を食べ歩き、市販のカレー商品をいくつも試食した。味づくりだけでも相当な時間がかかり、気づくと1年以上の時間が過ぎていたという。

「缶を一本飲み干すためには、辛すぎてもダメ。またとろみが弱いとカレーとして充実感がなく、逆にとろみが強すぎるとのどごしが悪くなります。辛さ、とろみ、この2つのバランスに注意しながら味を決めていきました。また、このような商品は前例がなく、スパイスの配合から自社で開発する必要がありました。そこで、スパイス専門メーカーであるグループ会社のヤスマ(株)にもアドバイスをいただき、スパイス感がありながら絶妙なバランスを持つ味わいを実現することができました」

※出典:富士経済「2022年 食品マーケティング便覧No.1」缶入りスープ メーカーシェア(2020年実績)

「作れる工場がない…」開発中に最大の課題に直面も、“市場で唯一無二”を胸に奮闘

  • 2021年に期間限定で発売された『カレーな気分 中辛』

    2021年に期間限定で発売された『カレーな気分中辛』

 缶入りのカレー飲料の味が決まり、発売に向けて前進していた…はずだったが、ここで「作れる工場がない」という最大の課題にぶつかってしまう。カレーは香りが強く色も特徴的なため、製造ラインににおいが移ってしまったり(移香)、色が着いてしまったり(着色)するため製品化へのハードルが高く、製造できる工場がほとんどなかったのだ。

 暗礁に乗り上げてしまった新商品開発。しかし開発スタッフは諦めなかった。
「“カレーは飲み物”と言われますが、それまでドリンクタイプのカレー商品があまりなかった理由は、製造上の課題があったことが原因かもしれません。しかしその課題さえクリアできれば、市場で唯一無二のユニークな存在になれるチャンスがあると思いました。また缶入りスープのNo.1メーカーとして、まだまだ缶スープには可能性があり、“新しいおいしい”をお客様に提供したいという想いがありました」

 同社は製造ラインへの移香や着色を最小限にする手段を検討し、従来の製造方法とは異なる独自技術を開発。通常商品よりも実に4倍の歳月を費やし、ようやく発売にこぎつける。それが『カレーな気分中辛』で、発売されるやメディアやSNSなどで注目され、Twitterトレンド入りするほどの話題に。

「手軽にカレーを外で食べられる新しさに興味をもっていただけたのだと考えております。ただ『カレーな気分中辛』をレビューしていく中で、スパイスが際立った味わいにあまり馴染みがないことから少し飲み辛さを感じるお客様もいることがわかりました。そこで、スパイスの尖りを丸めることで飲みやすい味わいへと改良しました」

 そこからさらに改良を加え、2022年8月に『じっくりコトコト飲む缶カレー』として全国発売を果たす。購入者からの反響も上々だ。

「『飲む缶カレー』は市場にはない新しい商品であるがゆえに、美味しさなどに不安を抱いてしまうお客様は少なくないと思います。そこで、美味しさや安心感の担保として『じっくりコトコト』ブランドとして展開し、より多くのお客様の手に取ってもらえればと考えました。お陰でお客様の心理的なハードルも下げられ、またスパイスの尖りを丸めたことでより味わいにも満足いただいていると捉えています」

スープ市場、自販機ドリンク市場など時代の変化に対応し続ける

  • 現在発売中の『じっくりコトコト飲む缶カレー』

    現在発売中の『じっくりコトコト飲む缶カレー』

 ここ数年、自動販売機などで購入できる缶入りドリンク商品は多様化の一途を辿っている。たとえばJR東日本のエキナカに設置されている「acure(アキュア)」からはラーメン専門店の一風堂とコラボした『コクと旨味の一風堂とんこつラーメンスープ』や『とろ〜りまろやかクリームシチュー』、ブルボンからは『牛乳でおいしくスープなシチュー缶185』、伊藤園も『ピリッと旨辛チゲ風スープ』と“食事系缶スープ”が各社から続々と登場している。他にも、ふかひれスープやおでん、出汁など「こんなものまで?」というような商品も見られる。

 小川さんも「確かにお客様のニーズは多様化していると感じます。トレンドなども踏まえて、缶スープもお客さんのニーズに合わせて進化していく必要があると考えています」と、昨今の“食事系缶スープ”のトレンドを分析する。

 『じっくりコトコト飲む缶カレー』は、自販機での販売以外に、スーパーのおにぎりなどが陳列されている付近にも展開。商品開発時の狙い通り、「食事に合わせる汁物」としての需要も確立した形となっている。
「缶スープは食事に合わせる汁物として手軽に小腹を満たすシーンでよく喫食されます。おにぎりなどと一緒に食べ合わせていただくと、より一層おいしく召し上がっていただけるかと思います。また冷温兼用にすることで、より幅広いシーンでお楽しみいただけると考えています」

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