ORICON NEWS
“渡米芸人”の先駆者・野沢直子、還暦前に思う“戦友”への思いととコンプラ時代「松本人志の核は今も変わらない」
ダウンタウンらと伝説のバラエティーで共演、のちの女性芸人たちへ与えた“影響”
アメリカで暮らす現在、そんな自分の半生を振り返り、老いに向き合うエッセイ『老いてきたけど、まぁ〜いっか。』(ダイヤモンド社刊)を発表。「私は世のためになったか、考えることもあった」という。
「例えば、私は子どもの頃にドリフターズを見て、その影響で芸人になろうと決めたんです。この“影響”という言葉が引っかかっていて、自分はどうだったかを考えます。女芸人さんの中には、『見てました!』と言ってくれる方がいるので、私はその人たちの人生に影響を与えることができたのかもしれないと、勝手に思っていて(笑)。人としての役割は、これで果たしたことにしようと考えるようになりました」
人気絶頂の中で突然の渡米した先駆者、渡辺直美の背中を押した?
「(渡辺)直美ちゃんはすごい格好いいですよね。私の場合は、とりあえずアメリカへ行ってコメディクラブにでも出てみるかと、決めてから3〜4ヵ月でバッと行っちゃった。すごく行きあたりばったりだったんです。でも直美ちゃんは、エージェントも立て、SNSでもとても人気があり、しっかり段階を踏んで取り組んでいる。私の時代はSNSもなかったので羨ましいと思う反面、SNSがあっても同じことができていたかどうか…(笑)」
とはいえ、野沢は渡辺直美にも、ある“影響”を与えていたらしい。
「2015年に直美ちゃんと一緒に舞台をやったんです。直美ちゃんがある番組で言ってくれたんですが、その時に私は渡米について相談され、『行ったほうが良いよ!』と言ったらしいんです。直美ちゃんは『あれで決心しました!』と感謝してくれたんですけど、でも私、全然覚えてなくて(笑)。後から、どうしよう、しまった〜って頭を抱えました(笑)」
一方、2017年に渡米した綾部雄二からも連絡があったそうだが…。
「渡米のちょっと前に、聞きたいことがあると言ってくれていたんですね。でも、実際質問されたことは『家の中では靴ですか?』で。『え、そこ?』みたいな(笑)」。
その後、綾部からとくに質問は来ていないそうだ。
松本人志もビートたけしも核は変わらず、老いへの否定には「腹が立つ」
「『夢で逢えたら』の時、ダウンタウンさん、ウンナンさん、清水ミチコさんらと比べて、私は全然面白くないというか。『足を引っ張っちゃいけない』という気持ちでやっていて、その才能の差に結構キツくなっちゃったんです。それで、これはどこかで修行しなければ…と考えたんですけど、当時はドラマなどでも海外といえば『とりあえずニューヨーク!』だったので、ニューヨークに決めました。行ったことなかったけど(笑)」
まさに、“行きあたりばったり”。現在はアメリカでバンド活動やパフォーマンスを行っているが、そんな野沢直子から見て、今の『夢で逢えたら』メンバーの活躍はどう見ているのだろう。
「実は、今でも松本さんに会うと緊張してしまうんですよ(笑)。相変わらず面白いのがすごいなって…、でも会えたらやっぱりうれしい。あのメンバーは、自分の中では高校の同級生のように思っていて、愛着があるんです」
昨今ではそれぞれが大御所となり、司会やMCで活躍するだけでなく、松本人志は『ワイドナショー』(フジテレビ系)やTwitterなどで、ある意味“ご意見番”のようなポジションともいえる。
「それは予想はできたなかったですけど、誰がなんと言おうとすごい人だし、お笑いとして相変わらず面白いと感じます。“ご意見番”のように『変わっちゃった』と思う人もいるかもしれないけど、私はまったく変わったとは思わない」
それは、野沢が高校生の頃から大好きだったという、ビートたけしも同じだ。
「私は高校生の時にビートたけしさんが好きで、たけし軍団に入りたかったんですけど、たけしさんだって今も何も変わっていないと思います。世間的には『スピード感が落ちた』なんて見られるのかもしれませんが、それって当たり前じゃないかなって。だって、人間、誰でも老いるでしょ? 老いを責めてはいけないし、老いても核になるものはまるで変わってない。皆さんすごく影響力が強いですし、そんな中で老いを否定的に捉える言葉を見たら、私は腹が立ちます」