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10歳で“母性”を表現、子役・毎田暖乃の「プロ意識」 『妻、小学生になる。』石田ゆり子の生まれ変わり役で絶賛

 今夜最終回を迎えるドラマ『妻、小学生になる。』(TBS系)で、石田ゆり子演じる亡くなった妻の生まれ変わりの小学生を演じている子役・毎田暖乃(まいだ・のの)。2年間に渡る難役のオーディションながら満場一致で選ばれ、1話から「石田ゆり子の話し方に似てる」などと、絶賛の声が数多く寄せられている。同じく演技力が話題を呼んだ朝ドラ『おちょやん』に次いで、本格的なドラマ出演は今作でわずか2作目となるが、10歳にして当たり役を連発する毎田の才能と素顔を中井芳彦Pに聞いた。

オーディションは2年間かけ難航… 300人もの中から満場一致で選ばれた決め手は?

 大人顔負けの演技力から、さぞかし芸歴を重ねているのかと思いきや、毎田の本格的なドラマ出演は2020年度放送のNHK連続テレビ小説『おちょやん』が初。杉咲花の幼少期を演じた同作で、河内弁を駆使した見事なまくし立てや、トータス松本演じる父親をアドリブで足蹴りするなど、早くも話題に。脚本家も驚きの演技力に、作品の終盤に違う役で再度登場し、その演じ分けでさらなる注目を集めた。
  • 今夜22時、最終回を迎える『妻、小学生になる』(TBS)

    今夜22時、最終回を迎える『妻、小学生になる』(C)TBS

  •  (C)TBS


    (C)TBS

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 今回出演している『妻、小学生になる』は、愛妻の貴恵(石田ゆり子)を亡くした圭介(堤真一)と娘の麻衣(蒔田彩珠)の前に、貴恵の生まれ変わりだと話す小学生・万理華(毎田暖乃)が現れたことから始まるヒューマンドラマ。このファンタジックで現実離れした設定に、制作陣は「この物語に説得力を与えるためには、万理華を演じる子役が重要だ」と意見が一致していたという。

「2019年冬頃からオーディションを始め、会ったのは300人くらい…書類審査も入れると分からないほどの子役を見てきました。ポイントは、妻の貴恵が太陽のような明るさの女性のイメージで、小学生の万理華という別人格ながら、それが感じられる子。そして、1クール、3ヵ月継続的に毎週楽しみに見てみたいと思えるかという引きの強さです。ですが、なかなかイメージに合う子役が見つからず、初回放送に向けて日に日に焦りは募り、かなり追い詰められていました」(『妻、小学生になる。』中井P/以下同)

 遂には、中学生や20代後半の役者にまで選考基準を広げた。しかし、石田ゆり子演じる妻の生まれ変わりで、小学生としての顔も併せ持つという役柄にぴったりハマる子はやはり見つからなかった。頭を抱えていた中、当時大好評の中で放送終了した『おちょやん』の評判を受け、毎田が『しゃべくり007』(日本テレビ系)に出演することになった。

 そもそも、本作制作陣もかねてから毎田には目をつけていた。だが大阪在住ということもあり、なかなかオーディションをする機会に恵まれず、学業もあることから諦めていた。しかし、バラエティ収録のタイミングで会う機会を経て、オーディションに参加してもらうことが出来た。

「毎田さんが芝居してすぐ、皆が息を呑みました。審査メンバー横並びで『やっとこのドラマがスタートできる…!』という直感で。一緒に受けていた子たちも『この子だね』という雰囲気を醸していました。つまり、本当の意味での満場一致だったのです」

本当に10歳…? “憑依力”の裏に石田ゆり子の支え「出番がない時でもいつも現場に…」

 かくしてドラマは動き始める。「衣裳合わせの時にタイミングを合わせていただいて、石田ゆり子さんと顔合わせを。そこで読み合わせもしたのですが、石田さんの雰囲気に合わせてもらうということではなく、石田さんと毎田さんの2人で“貴恵”というキャラクターを作ってもらうことにしました。石田さんは、自分がいることで何か役に立てればと、ご自身の出番がない時でも毎田さんを見守るようにいつも現場にいらっしゃっていました。同じように、毎田さんも石田さんのお芝居を見にいらして、監督と石田さん、毎田さんの3人で貴恵という人物を膨らませていきました。ただ、毎田さんは10歳。“母性”は分かりづらかったらしく、そのあたりはお母さまに入念に聞いたと伺っています」

 とは言え、やはり不安はあった。主人公は圭介と麻衣。残された家族2人がドラマの中心であり、そこに失われた妻こと小学生が訪ねてくると。突飛な設定ゆえ、その訪ねてくる小学生にリアルさがなければ成り立たない。だが、それは杞憂となる。毎田は、制作陣と視聴者の想定を遥かに上回る“母性”に溢れた芝居を見せた。
「意外だったのは、別に石田さんのお芝居を真似してほしいという言い方は一切していないのに、『すごいそっくり』という声が多かったことですね。印象的だったのは、1話の小学校の前の坂道のシーン。この瞬間、小学生である万理華が本当に貴恵の生まれ変わりであるということが見えた気がします。企画を立てた際、周囲から本当にこんな設定が成立するのか疑問視されていましたが、そこで私も刮目しました。視聴者の方からも、1話が終わって、この設定の“無理”さを指摘する声がなくなったことが、毎田さんのお芝居の素晴らしさを表していると思います」

 これまで、万理華ほど難しい小学生役はあっただろうか。貴恵と万理華は別人格であり、この2つの人格に加えて、周囲を混乱させないように“貴恵を演じている万理華”という顔もある。これらを演じ分けなければならない。

「演技が上手な子、子どもらしい子、大人っぽい子役はたくさんいますが、大人が中に入っている子どもを演じるのは相当に難しいはず。毎田さんは、その子がそこに“生きている”という演技ができたと思います。台本に書かれている以上のルーツやキャラクターの信条を考え、芝居に落とし込んでくる。天性だけではないでしょう。私たちには見せませんが、すごく時間をかけ、努力し、準備した結果だと思います。実際、毎田さんが現場で台本を持ってきているのを見たことがありません。すべて頭の中に入れてきているのです」

今後は“天才子役”現れにくい時代? 子どもたちの憧れだった芸能界は“1つの選択肢”に

 そんな毎田の普段な素顔を聞くと「すごく明るくて、お母さんが大好き。抱っこをせがむような可愛らしい女の子」。スタッフやキャストとも物怖じしないでコミュニケーションが取れており、撮影以外で雑談はあるものの、役柄の設定もあるのか、どこか距離を取っているのも感じられる。子役だからといって、カットがかかってから遊ぶという感じでもない。

 ところで、子役と言えば杉田かおる、小林綾子、安達祐実、芦田愛菜など、多くの“天才子役”と呼ばれる役者がいた。昔と現在では、子役事情にも変化はあるのだろうか。
「基本的に変化はないと思いますが、強いて言えば今の子たちはYouTubeやTikTokが物心ついた頃からある世代。昔のようにモデル、俳優と色々やるというよりは、YouTubeに特化してみるなど、メディアが増えた分、より細分化された印象です。また、YouTubeなどで小さい頃から歌ったり踊ったりしているからでしょうか。平均的な点数が非常に高く、動画撮影やビデオ通話の普及もあってか、カメラに向かって何かやることに対して抵抗がなくなっている。実際、ダンスなども皆さんお上手ですね。それにテレビじゃなくてもいい、自分はYouTubeでいいと言う子も、非常にわかりやすく存在しています」

 今の子役にとって、芸能活動は1つの選択肢でしかない。そのため、中井Pも「テレビを制作する側としては、YouTubeやTikTokなど他のメディアには負けていられない」と語気を強める。実際、毎田もYouTubeはよく見ているようだ。

 そんな彼女の芝居が光る最終話。「新島家の残された2人が、妻とどのような最後を迎えるのか。貴恵として毎田さんが最後にどんな表情を見せるのか、楽しみにしていて下さい」


(文/衣輪晋一)

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