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「みずから手を下すべき?」病気の犬と生活保護の飼い主、追い詰められた果ての救い「犬は飼い主を忘れない」
治療も安楽死もできない、追い詰められた飼い主が取った行動
そんな相談者からのメールに溝上氏は、「とてもショックを受けました」と語る。メールには「いろいろと試し、各動物病院、団体に相談(安楽死)しましたが、誰にも助けてもらえません。捨ててもろくな目にあわないのであれば、飼い主みずから手を下すべきだと思い、数日後に決行を予定しております」「もう安楽死ではございません、そんなお金もないし病院にも断られます。自分の手で殺すんです」と書かれていた。
実際に相談者に会って話を聞くと、現在は生活保護を受けているため経済状況が苦しく、モモの治療を継続することは難しいという。苦しんでいるモモの治療もできず、その姿を見ているのもつらい。それなら、いっそのこと楽にしてあげたいと安楽死を考え、病院に相談したが、どこからも拒否されてしまった。ボランティア団体にも相談したが、終生飼育を勧められるだけ。とうとう自ら手にかけることも考えるまでに追い詰められたが、『ねこけん』のYouTubeを見てメールを送ったと相談者は明かした。
「最初はひどいとも思いました。でも、メールで助けを求めたということは、やっぱりモモちゃんのことが可愛かったんだと思い直したんです」という溝上氏。結果的に相談者も自ら手を下すことなく、モモも適切な治療を継続して受けられることとなった。「相談者の方が事務所を後にしたとき、モモちゃんは追いかけようとしたんです。いなくなった後もモモちゃんは事務所内を必死で探していました。やっぱりモモちゃんを可愛がって育てていたんだと思います」。
「犬はいつまでも飼い主だった人を忘れることはない」
「現在、モモちゃんは入院先で治療をしています。実はすでにモモちゃんを家族として迎えたいという方がいます。おそらく今後も医療費がかかりますが、すべてを承知のうえで引き取りたいと言ってくださいました」。
猫は新しい環境に馴染みやすい。しかし、「犬はいつまでも飼い主だった人を忘れることはない」と溝上氏は語る。モモには今まで以上の愛に包まれ、より幸せな生涯を送ってほしいものである。
(文:今 泉)
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