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薬品かけられボロボロ…悲劇の地域猫が幸せの「へそ天!」、奇跡の復活を遂げるまで
全身薬品まみれだった猫、保護されフサフサの「イケメン」に
心無い人が虎吉にした行為は、完全な虐待である。なぜこのような非情な行為ができるのか、何の理由があって猫たちが被害に遭わなければならないのか…。言葉を話せない猫は、虐待した人を訴えることもできない。だが悲しいことに、地域猫を狙った悪質な虐待は後を絶たず、頻繁に起こっているという。「強烈な薬品を漂わせ、ボロボロの猫を前に改めて、動物虐待の撲滅を強く願うのであります」と、保護当時の『ねこけん』ブログにも思いがつづられている。
そんな大変な思いをした虎吉だったが、保護されてからは治療を受け、徐々に元気を取り戻した。ただ、体の状態は良くなったとはいえ、心の傷はすぐに癒えるものではない。人間不信に陥り、最初は人を警戒していた虎吉。『ねこけん』メンバーは、献身的なお世話をすることで、徐々にその心も癒していった。「薬品をかけられる前は、人に慣れていた地域猫だったんでしょうね。少しずつ触らせてもらえるようになり、医療ケアもやらせてもらえるようになりました」。
治療を終えると、すっかり元気になり、『ねこけん』の中でも「イケメン」と呼ばれるほどに回復。ボロボロだった状態からは想像もつかないほど、毛もフサフサになった。やっと、本来の虎吉に戻ることができたのだ。
“顔デカ四人衆”としてのんびり生活、ついに出会った新たな家族
ブログでも日々、仲間たちとの様子などがつづられてきた虎吉も、『ねこけん』に来てから約1年。ついに譲渡先が決定した。「ほっとしました」という溝上氏だが、虎吉の1年という期間は決して長くはないという。なかには、「虐待にあい、どうしても人に心を開かない猫も、新しい家族と出会うことなく息を引き取ってしまった猫も少なくはない」そうだ。
地域猫だったとき、つらい思いと命の危機を味わった虎吉。新たな家族との出会いは、きっと虎吉の心をこれまでになく幸せでいっぱいにしてくれるだろう。虎吉のような虐待にあってしまう猫が、1頭でも減ることを願う。
(文:今 泉)
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