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ブームから15年、“生協の白石さん”の今…コロナ禍で悩む若者へのアドバイスとは?
休み時間のささやかな遊びに応えようと余白に“オチ”を付けた
「現在勤務している東洋大学は私大の文系で生徒数も多く、都心部にある分、街には楽しいことがいっぱい溢れています。ですが、当時の国立の東京農工大学は理系のキャンパスで人数も少なく、授業に出ないとすぐ遅れをとってしまう。今よりも楽しいことが少なく、授業の後も研究室に詰めて、今日は帰れないかもしれないという学生も多くいました。そんな彼らにとって『ひとことカード』は、休み時間のささやかな遊びだったと思うんです」
「学生は、勉強と研究の息抜きに、ライトな気持ちで投稿していたのだと思います。私もまた、他にも仕事がありますから、ひとことカードだけに多くの時間を割くわけにはいきません。でもどんな投稿であれ、わざわざ生協に来て、直筆で記入してくれているのですから、みんな掲示してもらいたいんだろうなと思って極力答えるようにしました。加えて、回答が四角四面では味気ないので、余白にひと言、“オチ”を添えるようにしました」
「『学生からの投稿内容があまりにも幼稚だと。それは学生の特権でもあるから仕方がないかもしれないけれど、白石という人が返事を書かなければ世に出ないのだから、そこのところをよく考えて選択するのが大人の対応だろう』とお叱りを受けました。でも、僕自身、そういう投稿をしてくる学生が、海外で行われる英語のスピーチでプレゼンテーションに出場しているなど、いかにみんな、毎日、真面目に勉強や研究に取り組んでいるかを間近に見ていましたから、その息抜きのコミュニケーションは大切にしたいと思いました。それに生協は学内の福利厚生施設なので、そういうコミュニケーションも我々が果たす役割の一端なのではないかと。『ひとことカード』に遊び心を求めている人がいるのなら、ほんの少しですけど応えようと思ったんです」