ORICON NEWS
「SNSが漫画を“民主化”した」、読者と作家に変革もたらしたSNS漫画の現在地
紙からSNSへ…読者も作者も変化する漫画界
ケチケチ言うけど、それって本当にケチ?#漫画が読めるハッシュタグ #コルクラボマンガ専科 #絵日記#漫画 pic.twitter.com/zxPJFICWlc
? 都会 (@okameid) May 22, 2020
佐渡島氏 かつて、誰もが『週刊少年ジャンプ』を読んでいたように、多くの人がSNSを見ているからだと思います。雑誌や単行本など“紙”だけだった時代、漫画は“玄人の読者”のためだけのものでした。それが、インターネットやスマホの普及で大きく変わってきた。ソーシャルゲームが誕生したことで、ゲームが一般の人を巻き込んだことと同様ですね。
――雑誌や単行本で漫画を読むこととの違いは?
佐渡島氏 SNSはお金がかからないので、気軽に読めますよね。だから、内容が重くない作品のほうが広がる傾向にあると感じています。とくに、エッセイ漫画などのジャンルはSNSに向いているんじゃないでしょうか。とはいえ、いくらSNSでバズったからといって、本になったときに売れるかどうかは別ですが。
―ーなるほど。
佐渡島氏 言ってみれば、SNSによって漫画は民主化され、解放されたんだと僕は思っています。これは描く側にとってもそう。これからの漫画家は、玄人のための漫画を描くのか、それとも素人のまま漫画を描いていくのか。プロとアマチュアの差がない漫画の世界がやってくると思います。
――今後も、SNSで漫画を描く人は増えていくと?
佐渡島氏 そうなるでしょうね。漫画家を目指していなかった人たちも、チャレンジするんじゃないかな。カメラマンになるつもりがなくても、みなさん、インスタで写真を投稿しているじゃないですか。それと同じです。
出版社への持ち込みは必要なし、ネットやSNSでは「真逆のことが起こっている」
佐渡島氏 漫画家を目指す人の多くは、出版社に作品を持ち込んで認めてもらい、本を出す…という流れが当たり前だと思ってきました。ですが、持ち込んだ先の編集者との相性もあるので、これが合致して採用されるのはなかなか難しいこと。たとえ採用してもらったとしても、編集者の好みに合わせて内容を変えるといったような、ジレンマも生まれていたと思います。持ち込みではなく、新人賞などに応募したとしても、選考にはとても時間がかかっていたんですよね。
――たしかに、そのイメージです。
佐渡島氏 ですが、ネットやSNSでは、その真逆のことが起こっているんです。SNSに投稿した漫画がバズると、出版社の方から声がかかり、単行本化するという流れが多くなりました。つまり、以前のように作家が編集者にプレゼンし、出版社や編集者の好みに合わせる必要がなくなった。作家は、ありのままの自分を出せるようになったんです。ある意味、自分のやりたいことでファンに刺さることこそ、プロになるための近道になったと言えます。