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『トクサツガガガ』で再浮上した“特撮” CM界にもブーム波及する日本が誇る文化遺産
『ゴジラ』『ウルトラマン』円谷プロの功績…時代はCGに移行、特撮は時代遅れの産物に
しかし90年代以降になると、CGによるデジタル技術を活用したSFX(特殊撮影)が普及し始め、ミニチュア撮影や着ぐるみといったアナログ的な“特撮”は衰退。とくに映画『ターミネーター2』(91年)、『ジュラシック・パーク』(93年)、『マスク』(94年)のインパクトは強烈で、特撮は時代遅れの産物になってしまうかと思われた。
“特撮ヒーロー”がイケメン登竜門の形で存続危機を回避、庵野氏らも特撮保護に尽力
幼少期に特撮に馴染みがあったという意味では、制作側も同様だ。『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズや『シン・ゴジラ』(16年)などで知られる映画監督・庵野秀明氏は大の特撮好きで知られている。『新世紀エヴァンゲリオン』も『ウルトラマン』(特に新マン)のオマージュであるというのは有名な話だ。
庵野氏の盟友で、今なお特撮ファンの間で“神作品”として挙げられる『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)で特技監督を務めた樋口真嗣監督も「我々の先輩たちが作り上げた素晴らしい技術は、残念ながら昨今の合理化、デジタル化によって活躍の場が失われつつあります。想像力と技術力によって生み出された自由な空想世界の遺産を、現在のアニメ、コミック、ゲームといった日本のメディア文化の源泉として未来に受け継いでいきたい」と宣言している。
ドラマだけでなくCM界にも 時代劇とともに日本が誇る“文化”としての特撮
「特撮再ブームの動きは一時的なものかもしれない。だがそもそも日本のアナログな特撮技術は世界と比べても独特で、高度な技術と伝統が詰まった宝石箱のようなもの。世界のエンタメと勝負する日本の武器の一つとして、時代劇とともに受け継いでいかなければならない」と衣輪氏。昨今の特撮再ブームが今後どんな盛り上がりへと進化していくのか、注目したい。
(文:西島亨)