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TBS恋愛枠、火曜ドラマ『きみが心に棲みついた』“ゾクキュン”は共感得られるか

 2016年放送の『ダメな私に恋してください』以来、漫画を原作とし、女性ターゲットに特化したラブストーリーで、『せいせいするほど、愛してる』、『逃げるは恥だが役に立つ』、昨年の『あなたのことはそれほど』等々、話題を振りまいているTBSの火曜ドラマ。そして、1月期の最新作は吉岡里帆主演の『きみが心に棲みついた』だ。放送わずか2回ながら早くも「描く恋愛がリアルで見ていて辛い」、「心がえぐられる」などと話題になっている。果たして本作『きみ棲み』の“ゾクキュン”は、『逃げ恥』の“ムズキュン”や『あなそれ』の“ザワキュン”のように、視聴者の“共感”を獲得し、TBS火曜ドラマの“伝統”を守ることができるのだろうか?

TBS火曜ドラマ人気の秘訣は“○○キュン”、恋愛ドラマ枠として定着

 TBSの火曜ドラマは、上述のように2016年以降、そのほとんどが大人の女性向け漫画が原作で、本作もやはり漫画原作。この“大人向け”というのがポイントで、単純かつありがちなラブストーリーは皆無、どれもがみなクセが強い。

社会現象になるほど人気を博した『逃げ恥』は、“契約結婚”をネタにしたドタバタのラブコメかと思えば、男女を取り巻く就職難や晩婚化、さらには高齢童貞問題までも含め、複雑な社会環境の中で繰り広げられる恋愛ドラマで、そのヘタクソな恋愛模様に「ムズムズするけどキュンとする」=ムズキュンとなった。

また、『あなたのことは〜』では、既婚者同士の不倫劇が「心がざわざわするけどキュンとする」=ザワキュンと評されたわけだが、それだけにとどまらず、『せいせいするほど〜』などは、いつか自分もドラマの主人公のような立場に陥るかもしれない…という視聴者にとっても極めてリアルなドラマであり、仮に主人公が“ゲス”であっても、どこか“共感”してしまう部分があったのである。

こうした一連の火曜ドラマは、主人公のダメ加減のもどかしさに“あるある”と自分を重ねてみたり、男性キャストの“モテ”に痺れたり、どんな状況でも“純愛”を貫く登場人物を応援したくなるというところがウリだ。また、そうした“キュン”と“共感”があればこそ、多少クセのあるストーリーであっても“恋愛王道ドラマ”として成立し、放送終了後には“ロス”を発症するほどの中毒性もあったのである。

「キュン」と「ゾクッ」、『きみ棲み』が描く“新たな恋愛ドラマ” とは?

 今回の『きみが心に棲みついた』の原作は、天堂きりん氏の同名漫画。しかし内容はと言えば、これまで同枠が提供してきた恋愛ドラマとは多少毛色が違うようだ。佐藤敦司プロデューサーは、同原作を「胸がキュンキュンするところと胸が突き刺さりヒリヒリするところ両方を兼ね備えた作品」と評し、「奇妙でどこか“いびつ”な三角関係ラブストーリー」として打ち出した。連続ドラマ初主演の吉岡里帆が演じる主人公と、向井理演じるDV元カレの“ゾクッ”と、桐谷健太演じる合コンで知り合った男性との“キュン”の二面性を描いている。

 “ゾクッ”と言えば、『あなたのことはそれほど』で“冬彦さんの再来”とまで評された主人公の夫役・東出昌大の怪演が記憶に新しいが、今回の向井の“ゾク演技”はそれとも違う。「俺のこと忘れた女が何でこんなもん(首のねじねじ巻き)付けてんだよ!」と激怒し、吉岡をデスクに押し倒したり(第1話)、桐谷との恋愛に邁進する吉岡の前に忽然と現れ、「代わりの人間なんて腐るほどいるからな」と罵倒、追いすがる吉岡をタクシーで置いてけぼりにしながら、目前で他の女性とキスをする…(第2話)という完全なS男で、向井の暴力的な言動には、思わず観ているものも嫌悪感を抱いてしまうほど。東出の場合はまだ“怖いもの見たさ”があったが、向井の役どころには救いようがない感じすら漂わせており、ネットでもまさに“賛否両論”という状況だ。

“心の闇”で真っ向勝負? “えぐられる恋愛”で得られるネガティブな共感

 吉岡演じる主人公のあだ名は“キョド子”。すぐパニックになったり、どもってしまう挙動不審なところに由来するが、実際にそうした悩みを抱える人は意外と多いだろう。また、姉妹格差や親子関係、DV、パワハラ、セクハラ、ストーカー等々、そうした現代人が抱える心の闇に関する描写は、たとえドラマでも観ていて辛くなるものがある。今作のキョド子自身も、ひどいDVを受けているのにその男から離れられないという、いわば依存症に陥っている。

 実際、放送後のSNSでは、「自分の経験と重なる」、「フラッシュバックしてしまう」など、過去の辛い記憶に関するコメントや、逆に「自分はそうなりたくない」というコメントなど、ネガティブでありながらも主人公の境遇に“共感”する傾向が見られた。まさに今作は、登場人物たちの“内面”に真っ向から向き合い、“えぐられるような恋愛”を描写しているドラマとも言えるだろう。

 先述の俳優たちにとっても今回のような役は初めてらしく、連ドラ自体が初主演の吉岡は、主人公を「心が弱いのか強いのかよくわからない人。自分に自信がなくていつもオドオドしていて、人と上手く話せなくて…。見ていてイライラするだろうし、応援したくもなるだろうし、万人受けしない主人公かもしれません」と分析。

 DVの元カレを演じる向井も、「今回演じる星名は僕もあまりやったことのない役。ハードな、どS役をやらせていただいています」と“初体験”であることを告白、“キュン”役を演じる桐谷も、「僕もここまでモテる役は初めて」と言いながら、「この作品は本当に斬新で、すごく攻めてる作品です。あまり見たことのないドラマになっています」と賞賛している(以上、コメントはすべてTBSのHPより)。

 初回の平均視聴率は9.4%、2話が8.5%と微減したが、現行のドラマは視聴率だけでは推移出来ないのが事実。『きみ棲み』は、このまま“えぐられ路線”を極めていくのだろうか。視聴者によっては、「辛くて見られない」という可能性も出てくるが、“ネガティブな共感”があればあるほど、登場人物たちが報われるときには大きなカタルシスが得られるかもしれない。また、役者陣にしても、今回のクセの強い役を演じきることができれば、またひと皮?けるであろう。

 果たして、今作の“ゾクキュン”は視聴者に受け入れられるのだろうか? ドラマと視聴者は“共依存関係”に陥るのか? 今後の展開を見届けたい。

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