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大河ドラマ『おんな城主直虎』どう盛り上げる?話題性の高さで好調だった『真田丸』に続くか
SNSのネタになりそうな三浦春馬と菅田将暉の実年齢3歳差“イケメン親子”
この物語の脚本を担当する森下氏は『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年/TBS系)や『白夜行』(2006年/TBS系)、『JIN-仁-』(2004年/TBS系)、『天皇の料理番』(2015年/TBS系)などを手掛けた、ヒットメーカーとして知られる脚本家のひとり。そして、制作統括は岡本幸江氏、音楽は菅野よう子氏で、2013年に放送され、その年の最も優れた脚本に贈られる向田邦子賞を受賞した朝ドラ『ごちそうさん』(NHK総合)と同じ布陣であることでも期待されている。第1回放送後のSNSでは、美麗なオープニング画像や菅野氏独自の世界観によるBGMに賞賛が寄せられたほか、森下氏の脚本を十二分に活かした子役3人の好演にも注目が集まった。
「まず俳優陣に期待です。主演の柴崎コウさんと三浦春馬さんは実力派としての評価があり、醸し出す雰囲気も申し分なし。また、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中の菅田将暉さんが、三浦さん演じる直親の息子役を演じていることも今後話題のネタになりそう。“イケメン親子”として注目が集まっているほか、三浦さんが26歳、菅田さんは23歳と、その年齢差は実に3歳(笑)。ふたりが画面に登場する回は、この関係をどう演じるかという好奇心を刺激するには十分です。賞賛やツッコミをはじめ、多くの視聴者の声がSNSを賑わせそう」
直虎は実は男だった!? 新説はドラマにも影響を及ぼすのか?
これに対してNHK広報局は「ドラマはあくまでフィクションであり、影響はないと考えている」と発表したが、大河ドラマが“史実”を基にした時代劇と捉える人々が多いなか、やや味噌をつけられたような形に。これについて前出のライターは「とくに問題はない」と話す。
「よほどの必要がない限り、今から大きな脚本の修正などは行われないでしょう。そもそも史実は諸説あるうえ、時代劇の楽しみのひとつは、フィクションによる“スクラップ・アンド・ビルド”。さまざまな史実のなかから取捨選択し、それを新たな視点で見つめることで、これまでの認識が“解体”され、新たな物語として“再構成”されるのを見る驚きにあります。そう考えると本作が、資料の“空白”と脚本・森下さんの組み合わせであることも大きな注目ポイント。森下さんは『ごちそうさん』時のインタビューで、『(これまでは原作ものが多かったが今回は)原作があるわけではないので、自分で当時の歴史を調べ、その環境にいる人物はどう考え、何を言うか、そこにドラマを見つけて描いていった。スリリングかつ新鮮な体験で、新たな書き方を学べたように思います』と明かしており、同作は多くの人々の共感を得て向田邦子賞を受賞するに至りました。つまり、戦国&安土桃山時代というフィールドのみを与えられた“フィクション化の自由”は、世界観をさらに強化する要素となり得ます。その“森下史観”で描かれた直虎たちが、一般的に認識される戦国&安土桃山時代につながったとき、今までとはまた違った“時代の認識”を生むかもしれません」(同ライター)
ピュアさとダークさを併せ持つ稀有な脚本家・森下佳子氏がつむぐ人間関係への期待
井伊家にとって主家である今川家が、井伊家の人間を殺すという不思議かつ複雑に入り組んだ構造を持つ物語だけに、森下氏のピュアさとダークさが程良く表現された、直虎の敵との人間関係や駆け引きも見どころになりそう。
『真田丸』では、壮大なスケールの史実をあえて武将たちの密室劇にくくり、天下分けめの戦をサラっと描く点など三谷幸喜節の“仕掛け”が盛り上がった。『直虎』でのそうした“仕掛け”はどうなるか。まだ第1回しか放送されていない現時点での予想は難しいが、演出の渡辺一貴氏は同枠の『龍馬伝』(2010年)や朝ドラ『まれ』(2015年)などを担当した個性派で、見やすく整理された軽妙な演出が特徴。アクションシーンにも定評がある。同じく軽妙かつ世界観と会話のオチまでしっかりした森下氏の脚本との相性は抜群だろう。それぞれの特徴が絡み合った軽妙でテンポの良い会話劇や、時代劇の醍醐味である殺陣のカット割などの見せ方のあたりで『直虎』ならでの仕掛けを入れてくることも考えられる。
一方で、時代考証を担当する歴史学者の小和田哲男氏は、専門が戦国時代と今川氏とのこと。ということは、軽妙なだけではなく、しっかりとした考証で作品に重厚感を与えてくるだろう。もしそこに、今川側の驚きの“新情報”などが盛り込まれることになれば、『直虎』は誰も見たことがない戦国絵巻の世界へ視聴者を連れて行ってくれる大河ドラマになるかもしれない。果たして『直虎』は『真田丸』以上の話題を提供できるのか。今後の展開に注目だ。
(文:衣輪晋一)