群雄割拠する若手ミュージカル女優、"豊作"の背景にアイドルブーム
空前のミュージカルブーム、注目はU-25の新世代ミュージカル女優
テレビの音楽番組でもたびたびミュージカル企画が組まれるなど、空前のミュージカルブームと言われる昨今。その人気を牽引しているのはもちろん、華も実力もあるミュージカル俳優たち。さらにラインナップの充実から近年は若手も続々と成長し、日本のミュージカル界を活気づけている。
前述の『ミス・サイゴン』のヒロイン・キム役も高畑充希(28歳)、昆夏美(28歳)、大原櫻子(24歳)、屋比久知奈(25歳)といずれも20代だが、さらに下の世代には、昨年末のNHK紅白歌合戦で中村倫也とディズニーメドレーを披露した木下晴香(21歳)、昨年は『ロミオ&ジュリエット』、今年も『アナスタシア』と大作のヒロインが続く葵わかな(21歳)、東宝芸能所属の上白石萌歌(19歳)と上白石萌音(22歳)などなど、フレッシュかつ人気と実力を兼ね備えた存在を挙げれば枚挙にいとまがない。
アイドルのセカンドキャリアとしてのミュージカル女優、大本命は……?
前述の『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド 〜汚れなき瞳〜』ヒロインの生田絵梨花(23歳)は現役の乃木坂46メンバーだが、結成以来キャプテンを務めて昨年卒業した桜井玲香(25歳)もすでにミュージカルで活躍している。
特にAKB48の卒業生には舞台・ミュージカルで活躍する女優が多く、初期メンバーの秋元才加(31歳)や宮澤佐江(29歳)、梅田彩佳(31歳)などは、もはや中堅の域に達しているとも言える。
ちなみにミュージカル女優にとっては最大の賛辞である「おそろしい子」と称される唯月ふうか(23歳)も、アイドル活動の経歴がある。
そんなアイドル出身の若手ミュージカル女優の中でも次世代の大本命として期待を寄せられているのが、アイドル界屈指の実力派集団・ハロー!プロジェクト出身の田村芽実(21歳)だ。
大型ミュージカルに続々抜擢、昭和歌謡を歌いこなす歌唱力でも注目
約5年のアイドル活動を経て、2016年に卒業。17歳にして「本格的なミュージカル女優になりたい」という明確な意思のもとでの巣立ちだった。
2017年より女優活動を開始。翌年にヒロインを務めたミュージカル『マリーゴールド』では、観劇した女優・土屋太鳳が自身のInstagramに「上演中は、『天才』という言葉が何度も頭に浮かんだ時間でもありました。あまりにも素晴らしい」と絶賛したこともネットニュースで話題となった。
また、その歌唱力はソロシンガーとしても発揮されており、YouTubeには自身が大好きだという昭和歌謡をカバーした動画を多数公開している。「喝采」(ちあきなおみ)や「お祭りマンボ」(美空ひばり)など歌いこなすのが難しい名曲にも次々と挑戦しており、ネットでは「静かな歌い方なのにソウルフル。じいんと胸に響いて涙が出てきた」「"○○の再来"とかそういう陳腐なアレじゃなくて、完全に自分の歌にしている」とその歌声に胸をわしづかみにされる人が続出。また「人生の酸いも甘いも噛み分けたような情緒あふれる歌声をこの年齢で!?」とのコメントの通り、聴く者を歌の世界に没入させる表現力はさすがミュージカル女優だ。
もともと歌って踊るのが大好きだった"元アイドルたち"にとって、ミュージカル女優は最高のセカンドキャリア。本田美奈子.やソニンなど、アイドルとして活躍した後に本格派へと羽ばたいていった先人もいる。とは言え、群雄割拠するアイドル出身ミュージカル女優。今回は田村芽実に注目してみたが、生き残れるのはホンモノだけだ。いずれにしても若手たちの切磋琢磨はシーンを面白くしてくれる。日本のミュージカル界の未来は明るい!