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歌心りえ、2社同時リリースとなる第2弾アルバム『UTA』と『KOKORO』、リード曲「しあわせのまわり道」で示す現在地

 日本と韓国を行き来しながら活躍の幅を広げ、昨年、51歳にしてソロメジャーデビューを果たしたシンガーの歌心りえ。「いろいろな経験を重ねてきたからこそ、“自分の歌”をどう届けるかを考えられるようになった」と語る彼女の2ndアルバム『UTA』(読み:ウタ)[ビクターエンタテインメント]と『KOKORO』(読み:ココロ)[エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ]が4月22日に同時リリースされた。過去を振り返るだけでなく、これからを照らす“現在進行形の人生”を描いた作品が誕生した。

トロット・ガールズ・ジャパンをきっかけに、日韓両国で歌う

 彼女の現在を語るうえで欠かせないのが、WOWOWとABEMAで放送されたオーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』への挑戦だ。50歳で参加したこのオーディションは、彼女のその後の活動を大きく変える転機となった。

 「50歳でオーディションに挑戦して、12歳の子と同じ舞台に立ったんです。“どうしたらいいのだろう”という不安はありました。でも、あの場に立ったことで見えた景色があったんです。オーディションに挑戦していなかったら今の大きな舞台はなかったと思います。大きなチャンスをいただいたなと感じています」

 この挑戦をきっかけに、活動の舞台は韓国へも広がった。現在は日本と韓国を行き来しながら、両国で歌い続けている。

 「韓国でも応援してくださる方がいて、ファンカフェという形で集まってくださったり、日本のコンサートにも足を運んでくださったりしています。文化は違いますが、音楽でつながることができて、本当にありがたいことだなと感じています」

 国内外で活動を重ねる中で、歌に対する意識も変化していった。

 「どんな場所でも、聴いてくださる方がいる限り、その方たちとどう音楽を共有できるかをずっと考えてきました。それは日本でも韓国でも変わらず、その積み重ねが今につながっていると思います」

『UTA』と『KOKORO』 共通のテーマは“人生”

 昨年4月2日に『SONGS』をビクターから、『HEARTS』をエイベックスから同時リリースし、ソロメジャーデビューを果たした歌心りえ。4月22日発売の2ndアルバム『UTA』と『KOKORO』も2作同時リリースとなった。

 「今回は“2枚でひとつの作品”という意識で作りました。テーマは“人生”です。カバー曲は、自分がくじけそうになったときに支えになったものを選びましたし、ファンの方からいただいたリクエストも見せていただいて参考にしました。自分の記憶だけではなく、聴いてくださる方の時間も一緒に重なっていくような作品にしたかったんです。この2枚は、切り離せないものになっていますね」

 『UTA』に収録されている「フライディ・チャイナタウン」は、彼女のたっての希望でセレクトされた。

 「歌心りえが歌う曲というと、バラードや切ない曲のイメージが強かったと思うのですが、『フライディ・チャイナタウン』をコンサートで歌ったときに“こんな一面もあるんだ”と思っていただけた手応えがあったんです。自分の中でもすごく新鮮でしたし、今作には絶対に入れたいと思いました」

 一方、『KOKORO』に収められている「愛は時を越えて」は、身近な言葉から選ばれた楽曲だ。

 「ある日のコンサートを終えたときに、姉から“『愛は時を越えて』は歌わないの?”と言われたことがありました。そういう何気ない一言が、自分の中で残るんですよね。ファンの方もそうですし、身近な人の声も含めて、自分の音楽はできているんだなと感じました」

 アルバムには、彼女の原点も刻まれている。『KOKORO』に収録されている「スーパーの子」は幼少期の記憶をもとにした楽曲で、作詞は山田ひろし氏が手がけた。

 「この曲を作るにあたって、私の幼少期のことを山田先生に本当に細かくお話ししたんです。祖父が戦後にアイスキャンディー屋さんから始めて、スーパーを作ったことや、母がそこで働いていたこと、父が栃木に来て精肉店で働いていたこと、そんな家族の歴史を全部お伝えしました」

 そのエピソードが、歌詞として形になった。

 「自分の中では当たり前だったことが、言葉になるとこんなふうに響くのかと驚きました。“おじいちゃん”という存在が歌の中に出てきたときは、本当にぐっときましたね。やっと自分のルーツを表現できた気もしています」

 幼少期の記憶は、歌の原点ともつながっている。

 「小さい頃からマイクみたいなものを持って歌っていた写真が残っているんです。祖父と一緒に過ごした時間の中で、自然と歌っていたんだと思います」

松井五郎×都志見隆と紡いだ「しあわせのまわり道」

 アルバムの核となるのが、今作のために書き下ろされ、『UTA』『KOKORO』両作に収録されている「しあわせのまわり道」だ。作詞は松井五郎氏、作曲は都志見隆氏。長年にわたり音楽シーンを支えてきたふたりとの共同作業から、この楽曲は生まれた。

 「松井先生とはこれまでもたくさんご一緒させていただいていて、本当に言葉の選び方が素晴らしい方なんです。あまり細かく説明しなくても、しっかり物語として立ち上がってくる。今回も、夫婦としての歩みや、子どもが生まれたこと、日常の小さな出来事をいろいろお話しさせていただいて、それを受け取って書いてくださいました」

 都志見氏によるメロディも、楽曲の世界観を決定づけた。

 「デモテープをいただいたときに、都志見先生ご本人が歌ってくださっていたのですが、その歌い方やニュアンスが本当に素敵だったんです。すごく大人の空気を感じましたし、この曲をどう表現すればいいのか、すごく考えました。強く歌いすぎても違うし、感情を乗せすぎても違う。そのバランスを探りながら歌いました」

 完成した楽曲の中で、彼女が特に心を動かされたのが、サビの冒頭に置かれた「それが」という言葉だった。

 「“それが”って、不思議な言葉なんですよね。何かを具体的に言わないからこそ、聴く人それぞれが自分の中で意味を見つけられる。“しあわせ”と言ってしまうよりも、その手前にある感覚を残しているところが『さすが松井先生!』と思いました」

 歌詞に描かれるのは、どれも日常の断片だ。

 「特別な出来事ではなく、本当に何気ない日常ばかりなんです。でも、そういう小さなことの積み重ねが、実は一番大切なのではないかと思うんですよね。夕日がきれいだね、とか、そういう瞬間を一緒に感じられることが、関係を深くしていくのだと感じています」

「しあわせのまわり道」が『いい夫婦の日』応援ソングに決定

 同曲は『UTA』と『KOKORO』両作に収録されているが、歌い方は対照的だ。

 「『UTA』は、自分でありながら自分ではない、もう一人の女性を演じるような感覚で歌いました。もっと芯があって、凛としていて、簡単には揺らがない存在。少しクールで都会的に感じられるかもしれません」

 対して『KOKORO』は、より内面に近い。

 「『KOKORO』は、思い出を振り返ったときに、ふっと一人で笑ってしまうような、やわらかい空気を大事にしました。日常の中で感じるぬくもりや、少しの切なさを、そのまま歌にしたいと思ったんです」

■「しあわせのまわり道」ミュージックビデオ(外部サイト)

 この楽曲は、“いい夫婦の日”の応援ソングにも選ばれ、歌心りえが「いい夫婦の日をすすめる会」のオフィシャルサポーターに就任した。

 「お話をいただいたときは、すごく光栄だなと思う反面、責任も感じました。自分自身もしっかり向き合っていかなければいけないな、と少し肩ひじ張ってしまった感覚もあったのですが、日常の中で素直に気持ちを伝え合ったり、お互いを思いやったり、そういうことを大切にすればいいかなと考えています」

 楽曲と自身の人生は、深く重なり合っている。

 「私も一直線に来たわけではなく、まわり道をたくさんしてきました。でも、そのまわり道があったからこそ今があると思っています。この曲は、自分の経験として伝えられるものになっていると実感しています」

歌心りえが歌い続ける理由

 歌心りえは、これからどんな歌手を目指していくのだろう。

 「声がある限りは、ずっと歌っていたいんですよね。おばあちゃんになっても歌っていたいですし、そのために今できることを大事にしたいと思っています。無駄なことはひとつもないと思っています。つらかったことも、遠回りも、全部今につながっていると実感しています。これからも、自分の歩幅で歌い続けていきたいですね」

 この先も続く全国ツアー『Sing A Life TOUR 2026』では、ニューアルバムの収録曲も多く歌っていく予定だと意気込む歌心りえ。彼女のコンサート会場には、夫婦やカップルで訪れる観客の姿も多いという。カップルが並んで彼女の歌に耳を傾ける光景は、「しあわせのまわり道」という楽曲の世界観とどこか重なる。特別な出来事ではなく、日々の積み重ねの中にある感情を丁寧にすくい上げて彼女が歌うからこそ、聴き手それぞれの人生に静かに寄り添ってくれることだろう。

取材・文:森中要子
撮影:草刈雅之

【歌心りえ プロフィール】
1995年、3人組ユニット「Letit go」のボーカルとしてデビュー。セカンドシングル「200倍の夢」がポカリスエットCMソングに起用される。
1997年、実姉との2人組ポップユニット「Ciao(チャオ)」としてデビュー。
1999年、「Rie」名義でインディーズデビュー。
2004年、ピアノ・ボーカル・チェロによる3人組ユニット「September」結成。
2023年、50歳で挑戦したオーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』(WOWOW/ABEMA)に出場しファイナリスト入り。表現力と歌声が高く評価される。
2024年、韓国MBN『韓日歌王戦』への出場をきっかけにブレイク。『韓日トップテンショー』(韓国MBN)にも出演し注目を集める。日本国内でも『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)では初挑戦ながら10レンチャン達成。
2025年1月、フジテレビ系『歌ウマ女王 日韓決戦 - JAPAN ROUND -』に出演し、ソロ部門で最高得点を記録。
2025年4月、カバーアルバム『SONGS』[ビクターエンタテインメント]、『HEARTS』[エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ]を同時リリース。51歳でメジャーソロデビューを果たす。
2025年12月、カバーアルバム『SONGS』『HEARTS』が、第67回『輝く!日本レコード大賞』の企画賞を受賞。YouTubeでの総再生回数は累計1億3000万回を突破。
<作品情報>
■『UTA』(読み:ウタ)
 [発売元:ビクターエンタテインメント]
【CD+DVD】
 品番:VIZL-2527/価格:5500円(税込)
【CD】
 品番:VICL-66149/価格:3500円(税込)
【収録曲】
[CD]※カッコ内はオリジナル歌手
 1, 金木犀の窓(オリジナル) 
 2, Goodbye Day(来生たかお) 
 3, フライディ・チャイナタウン(泰葉)
 4, ルージュの伝言(荒井由実)
 5, ごめんね(橋真梨子)
 6, J(門倉有希)
 7, 愛燦燦(美空ひばり) 
 8, 5才のツイート(オリジナル)  
 9, しあわせのまわり道(UTA ver.)(オリジナル) 
[DVD]日本公演の映像を収録
 1, 道化師のソネット(さだまさし)
 2, つばさ(本田美奈子.)
 3, 絆(橋幸夫)
 4, たそがれマイ・ラブ(大橋純子)
 5, おかあさんのうた(オリジナル)
■『KOKORO』(読み:ココロ)
 [発売元:エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ]
【CD+DVD】
 品番:AVCD-63882/価格:5500円(税込)
【CD】
 品番:AVCD-63883/価格:3500円(税込)
【収録曲】
[CD]※カッコ内はオリジナル歌手
 1, スーパーの子(オリジナル)
 2, この愛、忘れないで(ペク・チヨン)
 3, 涙そうそう(夏川りみ)
 4, 異邦人(久保田早紀)
 5, しあわせのまわり道(KOKORO ver.)
 6, いのちの歌(竹内まりや)
 7, 見上げてごらん夜の星を(坂本九)
 8, 未来のカケラ(オリジナル)
 9, 愛は時を越えて(大橋純子)
[DVD]韓国公演の映像を収録
 1, 雪の華 @ILCHI ART HALL (2025.2.22)
 2, スミレ @ILCHI ART HALL (2025.2.22)
 3, 蘇州夜曲 @ILCHI ART HALL (2025.2.22)
 4, 君は愛されるために生まれた @ILCHI ART HALL (2025.2.22)
 5, 瑠璃色の地球 @white wave art center (2025.6.29)
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