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アニメ業界、“日中”逆転のタイムリミット 日本人アニメーター“海外流出”危機も
日本アニメの下請けから脱却!? 稼げる国産アニメにシフトする中国
現状、中国のアニメ制作会社を大きく分けると、国産アニメを作る会社と、日本アニメの下請け会社の2つのモデルとなるのだが、今どちらも転換期に入ってきているようだ。「今まで国産アニメを作ってきた会社は、ネット配信時代のニーズに応えるべく、日本アニメのスタイルや更新ペースを参考にしだした。一方、日本アニメの下請け会社は、国内向けのアニメを制作する方が、日本アニメの下請けよりも収益が出ることに気づいた」と林氏は指摘する。なぜなら、昨今は中国国内のアニメ制作だけで需要があり、かつ制作資金も高いためだ。こうした流れの下、ここ5年ほどで今まで人件費の上昇に喘いでいた制作会社の経営者は苦境を乗り越えつつある。
短期間で自宅購入!? 待遇が劇的に改善される「中国」と旧態依然の「日本」
また、中国では人材不足が深刻なため引き抜きが乱発。優秀な人材を引き抜かれないよう、中小規模の制作会社も大手と同等以上の給料を出しているようだ。「そういう状況だから、日本でアニメ制作を学んだ中国人アニメーターは、日本に留まるよりも、帰国するほうが生活面で遥かに安定するというジレンマがあります」と林氏。
アニメにおける日中の立場は逆転する!? アニメーターの“海外流出”も
人気アニメ『けものフレンズ』のプロデューサーを務めた福原慶匡氏は5日、Twitterにて「中国のアニメ産業は始まったばかりではあるが、生産で3年、技術で5〜10年で追い抜かれるだろうなと確信。言い方難しいけど中国に組んで"頂ける"のは後数年かなと思います。それ以降は日本と共同事業するメリットが中国にない」と投稿。日中の制作現場の現状を見た時、現状を憂う声は高まっている。
“ブラック労働”の代表格とされる日本のアニメ業界に比べ、高収入・好待遇で人材確保を進める中国のアニメ業界。果たして、中国という“黒船”に日本のアニメ業界は持ちこたえられるのだろうか…。今年の7月、弊社の取材にて現役のアニメ監督・入江泰浩氏はアニメ業界の過酷な内情を明かし、『日本のアニメ業界は10年もたない』と警鐘を鳴らした。いまだその抜本的な解決策が見つからぬまま、期限は刻々と迫りつつある。