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剛力彩芽、女優と音楽活動の違いとは
現場でもオンとオフが変わらない、撮影本番まで素のまま
剛力 あまり考えていなかったかも（笑）。昔から私のことを見てくれている人たちは、私がダンスをやってることを知ってるので、それをやっと見られるっていう嬉しさがあったみたいで。あとCDだとつねに近くに置けるから、（私を）身近に感じられて嬉しいって言葉をたくさん聞けたんですね。だから反対する声はあまり意識してなかった。それよりも自分がやりたいことをせっかくやらせてもらえる環境にいるんだから、楽しくやらないともったいないと思っていました。自分が気にしてしまったら、自信もついてこないですからね。
――そこはいい意味で、剛力さんのマイペースなところですね。
剛力 そうですね（笑）。自分の好きなことをこれだけ全部やらせてもらえるって、なかなかないことじゃないですか。しかもそれを仕事としてできるのは、本当に幸せなことで。そこで自分が動かなかったら何も始まらないし、成長もしない。やり続ければ認めてくれる人も増えてくるだろうし、自分に負けないっていうのは何より大事なことだと思っています。
剛力 HIP HOPダンスは小学生の頃から踊っているので、今やったらどうなるんだろう？って楽しみだし、曲のジャンルも自然と変わってくると思うんですよ。でも、その一方で、ダンスナンバーも好きだけど、バラードもそろそろ歌ってみたいと思うようになってきて。ダンス抜きで歌だけで、ステージに立つ自分を想像できなくてまだ怖いんですけど……。私にとってダンスは身体の一部なので、ダンスがあるからリラックスして歌も歌えるって部分もあるんですね。だから歌だけになったら、身体ガチガチになっちゃうんじゃないかって怖さがある。でもバラードも好きなので挑戦したいし、歌うなら作詞もちゃんとやってみたいし。歌詞でもメッセージを伝えられるようなアーティストになりたいんですよね。
――夢はどんどん広がりますね。ちなみに剛力さんは女優さんと音楽をやるときの、切り替えスイッチはあるんですか？
剛力 それがないんですよ。仕事しているときとしてないときも、あまり切り替えがないので（笑）。
――オンとオフがない？
剛力 私自身はあまり変わらないんです。ただ、本当にスイッチはいったときはすごい集中力だねとは言われます。多分、ギリギリまでスイッチが入らないからで、ドラマとかでも私は本番しかスイッチが入らない“よーい、スタート！とカット！”で、すごく変わる人なんです。それ以外は現場でもオンとオフが変わらなくて、シリアスなシーンとかでもスタッフさんと笑って話しちゃう。もちろん他の役者さんがピリっとしてたら空気は読みますが、そもそも私、無言が耐えられないんですよ。だからボソボソ独り言をしゃべってたりもして（笑）。
――それ、絵ヅラ的にけっこう怖いですよ（笑）。
剛力 一応、バレないようにやってます（笑）。長いセリフを言うときとかは自分に入り込んでますけど、基本的には本番まで素のままですね。
自分の気持ちを自分の言葉で伝えるのは一番苦手
剛力 役者は別の人物になりきるのでその切り替えがあるけど、歌は剛力彩芽として出られるのでむしろスイッチがいらないんです。歌によっては誰かをイメージして、その人を見ている自分なのか、その人になり切ってる自分なのかって違いはありますが、基本は自分のままで立っていることが多い。
――歌詞に合わせて役作り的なことはします？
剛力 あまりないかも。歌詞に合わせてシチュエーションは作っているけど、自分以外の誰かになることはない。つねに剛力彩芽として歌っているので、歌詞の世界は必ず理解して、共感しながら歌うようにしています。
――そうやって約1年半、“剛力彩芽”そのものを表現することで何か心境の変化はありました？
剛力 自分を表現しやすくなりました。実は私、しゃべるのは大好きなんだけど言葉が下手で、自分の気持ちを自分の言葉で伝えるのは一番苦手なんですよ。でも歌を通していろんなことに挑戦させていただいていると、もっとこういうことしたいなって欲が出てくる。それを自分の言葉で表現しなきゃいけないっていう場面は出てきています。だからこそ、自分の思いをうまく伝えられないもどかしさもどんどん出てきていて。
剛力 本当ですか。私、母親にすらうまく伝えられなくて、「最近、やっとうまく言えるようになってきたね」って言われるんですよ。多分、今までは周りの思いを受け止めれば、自分はいいかなって感覚だったので伝える必要性を感じなかったんでしょうね。それがアーティストになって伝える必要が出てきて、そこで成長すると、今度はお芝居でももっとできることがあるんじゃないかなって思うようになってきて。多分、私は自分が直接、体験しないとダメというか。歌も聴いているだけじゃなく自分が歌うとか、お芝居もいろんな作品を見ることも大事だけど、演技レッスンで自分が演じるとか、直接やらないと気が済まないタイプなんでしょうね。
――体で覚える体験型？
剛力 そうなんです。基本的に楽しむことが好きなんでしょうね。そして人と触れ合って何かをするのも好きなので、コツコツひとりで作業ができない（笑）。だからレコーディングブースにひとりで入るのは未だに苦手で、寂しくなっちゃうんですよ（笑）。でもそれもみんなの前で歌うと解消されるので、とにかくワンマンライブをやりたい。それはずーっと言ってます（笑）。
――アルバムができると、ライブも具体的に見えてきますよね。
剛力 昨年はそのためにいろんなライブを観に行って、照明の使い方とかも研究したし、なるべくお客さんと近いステージがいいなとか、会場もイメージしています。あと今回のアルバムではロックな曲も歌っているので、ギターの弾き語りもいいなとか、ダンスだけじゃないバリエーションを考えているので、今年中にはぜひ、ワンマンライブを実現したいですね。
（文：若松正子／写真：ウチダアキヤ）
