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井上陽水『名盤『氷の世界』を“解凍” 自身が語る制作舞台裏!!』

 史上初のミリオンセラーを記録した歴史的名盤『氷の世界』。発売から40年が経過し、デジタルリマスター盤が発売。ORICON STYLEでは井上陽水にインタビューを敢行し、当時の制作秘話や、故・忌野清志郎さんとの思い出など、貴重な話を聞いた。

僕の中で歌というのはあくまで娯楽なんだということ

――先ほども話に出ていた、社会の裏側、人間の裏側を表現することについて、もう少し詳しくお伺いしたいです!
井上なんでしょうね、のどかな時代って表の面だけを見ていればよくてね。「さぁ皆でラジオ体操をしよう!」とか言ってる時代があったんだけど。でも、時代が進んでいくにつれて、僕の中で「ラジオ体操ってホントに必要なのかな?」っていう疑問が出てきてね(笑)。

――本当に健康にいいのかと(笑)。
井上まぁ今の話はちょっと極端かもしれないけど、ちょっと物事を斜めから見るということをやりだした世代だったのかな。「ホントのところはどうなのよ!?」って(笑)。

――そういった類まれな表現力があるにも関わらず、色々なものを“背負わない”のが井上さんの凄さなのかなって思うんです。
井上ほうほう。もう少し具体的に言うと?

――つまり、あくまで楽曲だけで勝負して、押しつけがましい“不可要素”のようなものがなかったと言いますか…。井上さんのデビュー当時って、変革や革命というキーワードを背負った、もしくは酔いしれたアーティスト・クリエイターが多かったと思うんです。当時はそれがカッコよかったし、沢山の支持を得たかもしれないですけど、時代の変化もあり、後々まで語られる“普遍性”は得られなかったのかな?って思うんです。
井上あぁ〜なるほどね……。あの時はそこまで気にしてなかったですけど、ここ10年くらいはあの当時をたまに振り返ることはありますよね。僕の中で歌というのはあくまで“娯楽”なんだということがまずあります。で、歌を聴いて悩むこともまた娯楽。ただ作り手が深刻に物事を解説したり主張したり、プロパガンダを強調するんだったら、音楽じゃなくて論文に書いた方がいいんじゃないかなって。

――常にニュートラルな姿勢を保たれていますよね。
井上まぁ、色々なイデオロギーがあって、価値観がある。その全ての部分に突っ込めるような“余地”は残しておきたいなっていう気持ちはありましたよね。茶々をいれたいというか、カラかってみたいというかね(笑)。やっぱり僕の中では、普遍的な物だったり思想だったりというものは無いんだっていう思いが強いのかしれないですね。

タモリとの共通点とは!?

――なるほど…。
井上僕なんか相当なノンポリだなって思いますよ(笑)。例えば、同世代で言うとタモリさんね。しょっちゅう会うんだけど、彼と一緒の時は笑ってばかりなんだよね。とにかく真面目な話なんてしたことないというか。

――タモリさんと井上さんは、生き方として凄く共通する部分を感じますね。
井上うん。彼は徹底してますよね。一応、同郷の先輩なので見習ってますね。「そんな哲学的なことを口から泡飛ばしながら話すことないんじゃないの?」っていう部分ね(笑)。

――アハハハハ! そんな肩に力入れないでさって(笑)。
井上そうそう。それよりも、何気ない日常生活のなかに潜んでいるものを僕は探していきたいし、今後もそれは変わらないんじゃないかなぁ。

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