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『沈まぬ太陽』の初日舞台挨拶に登壇した渡辺謙

小栗旬にぶしつけな質問!?『TAJOMARU』インタビュー(写真:石川拓也)

『20世紀少年<最終章>ぼくらの旗』での唐沢寿明インタビュー。危険なトークも!?(写真:原田宗孝)

絶妙なトークを繰り広げた阿部サダヲと瑛太:『なくもんか』の対談インタビュー(写真:原田宗孝)

『ごくせん THE MOVIE』で仲間由紀恵にインタビュー。最後のヤンクミ姿!!

『少年メリケンサック』の初日舞台挨拶に登壇した宮崎あおい

大きな話題になった『ヤッターマン/YATTERMAN』でのドロンジョ衣装について語る深田恭子(写真:逢坂聡)

 ひとりの俳優というより、複数の俳優の観客動員力が、映画興行では重要になってきたといっていいかもしれない。その代表例が2009年において、邦画の最大ヒット作となった『ROOKIES-卒業-』(85億円)だろう。前年の『花より男子ファイナル』(77億5000万円)もそうだったが、人気者が複数で登場する作品は、好みが多様化している今の若者にすれば、非常に合っているのかもしれない。そうした傾向が強く見えてくるなか、真に特筆すべきはベテランの渡辺謙の存在で、彼が主演した山崎豊子原作の『沈まぬ太陽』は、2009年の邦画を語る上で欠かせない作品となった。

MVPは渡辺謙!熱気あふれる志と数字の結果

 この『沈まぬ太陽』は、12月1日時点では興収23億円を記録しているが、配給の東宝によれば、正月興行も上映を延長し、その成績いかんでは30億円あたりまで数字を伸ばす可能性があるという。3時間22分という上映時間をもつ本作は、その長尺さゆえに興行が危ぶまれた面があった。しかし、20億円を超えてなお、その先を視野に入れることができたのはたいしたものと言わざるをえない。

 もちろん、知名度の高い山崎豊子原作のインパクトの強さが、興行を大きく支えたことはある。ただ、渡辺謙が主演をつとめたことで、作品の風格が一段と増したことは間違いない。初日舞台挨拶で涙した彼の姿が、マスコミで大きく取り上げられたこともあって、映画にかけるその熱気あふれる志は、広範囲の年代層の人々に強く響いたことだろう。ゆえに、彼を2009年におけるヒットメーカーのMVPに挙げたいと思う。題材、上映時間含め、困難極まる製作過程を経た作品をここまでの成績にもっていったのは、彼の出演なくしてありえなかったからである。

安定感をみせるベテラン、中堅俳優たち

 織田裕二は、『アマルフィ 女神の報酬』(推定36億円)でその健在ぶりをアピールした。いささか観客の年齢は上がってきたが、安定感は抜群。人気テレビドラマの映画化ではなく、オリジナル企画である点を考慮すれば、立派な成績だったのではないか。

 小栗旬は、出世作の第2弾にあたる『クローズZEROII』(30億2000万円)で、申し分のない成績を残した。若い男女に絶大な人気があるのは、頼もしいところ。ただ、彼が初めて時代劇に挑んだ『TAJOMARU』は、予想を大幅に下回る成績だった。このことからは、企画の重要性を改めて感じる。ところで、来年公開予定されている彼の初監督作には、業界内外からいろいろな声がある。じっくり俳優の道を極めることのほうが先決にも思えるところだが・・・。

 唐沢寿明は、『20世紀少年』の2本で、ヒットへの貢献度は高かった。しかし前述したように、このシリーズもまた、複数の主要俳優が出演することもあって群像劇的な要素が強く、唐沢ひとりに頼った興行ではない。しかしながら、2本累計で74億1000万円を記録した大ヒットは高く評価したい。

 藤原竜也は、『カイジ 人生逆転ゲーム』(推定25億円)で、2006年の『デスノート』以来の健闘ぶりをみせた。ちょっとうらぶれた雰囲気も含めて、現代青年を演じるときの彼のフットワークの良さが、作品にいい効果を与えていた。特別出演の松山ケンイチとのコンビネーションもうまくはまっていた。第2弾の製作が決まっているが、『カイジ』は彼にとっての当たり役になるのではないだろうか。

今後にさらなる期待!若手、中堅のポテンシャル

 『余命1ヶ月の花嫁』(31億5000万円)が異色のヒットとなった瑛太は、2009年の成長株だろう。完全にひとりでの主演になったときに、果たしてどういった成果を見せてくれるか。今後に大いに期待がもてる若手俳優のひとりだ。

 大きなマーケットでの公開ではなかったが、『南極料理人』の好成績は、堺雅人の人気によるところが大きい。彼はほかに、出演作である『ジェネラル・ルージュの凱旋』や主演作の単館拡大系『クヒオ大佐』などがあったが、この2本はもう一歩といったところだった。

 限定マーケットながら、5億円近くまで興収を伸ばした『禅 ZEN』の中村勘太郎も、抜群の演技力の貢献度が大きいと思われ、今年のヒットメーカーのひとりとして名前を挙げておきたい。『なくもんか』(推定20億円)の阿部サダヲも、脚本家の存在が大きいとはいえ、おもしろい俳優になってきた。このまま独自路線で突っ走ってほしい。

 また、『私は貝になりたい』(24億5000万円)の中居正広、『BALLAD 名もなき恋のうた』(19億円)の草なぎ剛、『感染列島』(19億円)の妻夫木聡らも突出はしなかったが、やはリ安定した成績を導いたことは評価しておきたい。彼らのポテンシャルが、現在のレベルからさらなる飛躍を見せるかどうかは、今後に判断を任せたい。『おくりびと』(62億5000万円)の本木雅弘には、特別賞を与えたい。暗くなりそうな題材を、彼のユーモラスで的確な演技が、どれほど救っていたか。もはや、モッくんでは失礼にあたる。

持ち味を活かしてヒットに導いた女優たち

 女優陣では、『ごくせん THE MOVIE』(推定35億円)に主演した仲間由紀恵がトップに位置するだろう。『私は貝になりたい』より、断然こちらの仲間のほうがインパクトがあるのは当然で、それは『トリック』シリーズのように、彼女の明るく躍動的な資質がよく出ているからだ。彼女からすれば、そのキャラクターに代わるべき新たな俳優の役どころが欲しいところだろうが・・・。

 実は2009年でもっともはじける演技を見せ、それが好動員に結びついたのは、宮崎あおいの『少年メリケンサック』(10億2000万円)だった。本作での宮崎は全く素晴らしく、その破天荒な演技のゆえもあって、若い男女の集客を可能にした。脚本家・宮籐官九郎が描くズッコケ・キャリアウーマンを体現した彼女の存在は、2009年の邦画の宝だと言ってもいい。あと、『ヤッターマン/YATTERMAN』(31億5000万円)の深田恭子。敢闘賞とも言っていい活躍で、この演技は別の作品でもちょくちょく見てみたいものだ。

(映画ジャーナリスト・大高宏雄)