【Creators Search】欅坂46のヒットを支えるナスカ、中毒性のあるメロディー作りで光るセンス
2006年に亀田誠治氏プロデュースのシングル「君の中で 僕の中で」で3人組バンドとしてメジャーデビューしたナスカは、活動休止後、2011年から佐藤と山内による楽曲提供、映像音楽の制作チームとして活動している。これまでに乃木坂46「ジコチューで行こう!」(作曲)、茅野愛衣「オラシオン」(作詞・作曲・編曲)、FTISLAND「ANOTHER NEW WORLD」(作曲)など幅広いジャンルのアーティストの楽曲に参加。特に欅坂46との関わりは深く、「エキセントリック」「危なっかしい計画」「避雷針」、さらに平手友梨奈「角を曲がる」(映画『響 -HIBIKI-』主題歌)など、多くの楽曲の作曲を手がけている。
ナスカの楽曲の特徴は、一瞬でリスナーの関心を引き寄せるインパクトの作り方と、何度もリピートしたくなる中毒性のあるメロディーのバランス。「黒い羊」にも、そのアンビバレントな魅力が反映されている。最初に聴こえてくるのは、街の雑踏の音。さらに美しくも切ないピアノのフレーズ、鋭利なスラップベースとともに歌詞が真っすぐに伝わり、リスナーを強く惹きつける。緻密に構築されたリズム、ストーリー性を感じさせるメロディーラインの比率も絶品。J-POP、ダンスミュージカルなどを融合させた同曲は、尖った音楽性と高いポピュラリティ、そして、演劇的なパフォーマンスを兼ね備えた欅坂46のストロングポイントを上手く引き出していると言えるだろう。
(文/森朋之)