海外輸出を視野に入れた新たな展開を行う『Tokyo Dance Music Event』
世界の音楽産業は成長の兆し、日本が進むべき未来は
「同様のイベントは、欧米はもとより最近はアジア各国でも頻繁に開催されていて、知識や情報を共有したり、新たなコネクションを築き次なるビジネスに繋げる場として活発に機能しています。昨年は日本でもついにこうしたイベントが開かれるということで、著名レーベルのCEOやプロモーターをはじめ、世界の音楽シーンを動かしているキーマンの方々に集まっていただきました」(ソニー・ミュージックコミュニケーションズ 柳井功治氏)
あくまで世界に開いているのが『TDME』のポリシーで、カンファレンスには同時通訳が付く。
「イギリスのPR 会社の協力で、英語版のプレスリリースやニュースも多数配信しました。昨年参加した国内アーティストからは、海外からのSNSフォロワーが急増したとの反響
が届いています」(ソニー・ミュージックエンタテインメント ローレン・ローズ・コーカー氏)
昨年の手応えを受けて、今年はさらにコンテンツも充実している。特にカンファレンスでは、イギリスの音楽ビジネス戦略ファームによる『日本の音楽業界のデジタル将来』のレポートをはじめ、ますます進化する音楽ビジネスのデジタル活用についてのトークに注目したい。
「昨年、アメリカの音楽市場の売上が18年ぶりに顕著に前年比増となりましたが、それをけん引したのがストリーミングでした。今やどのジャンルにおいてもデジタルマーケティング、デジタルプロモーションは成長の鍵です。デジタルとの相性が特にいいダンスミュージックを通して、日本の音楽業界が抱える課題や、それを解決するヒントも見えてくると思います」(ローレン氏)
日本の音楽業界がアジア各国とより深く結びつくチャンスも
「アジアのダンスミュージックシーンの成長は凄まじく、独自の巨大フェスも誕生していて、欧米の大手プロモーターも注目しています。アジアが1つのパッケージになれば、世界で勝負していく上でも有利。日本の音楽業界がアジア各国とより深く結びつくチャンスも、『TDME』で提供したいと思っています」(柳井氏)
さらに今年は、カルヴィン・ハリスやマーティン・ギャリックスといった世界的に活躍するアーティストを輩出したオランダ発祥のエレクトロニックダンスミュージックレーベルの最大手・SPINNIN’ RECORDS とコラボレーションしたイベント『SPINNIN’SESSIONS at TDME』が、ファンの間でも大きな話題となっている。日本の若手クリエイターやアーティストがSPINNIN’RECORDSのA&Rに作品を届ける機会も提供したいという考えだ。また、次世代クリエイターを発掘するオーディション『INTERLUDE from TDME』も初開催。TDMEを通して若い才能が世界に羽ばたくチャンスをつかむことにも期待したい。
(文/児玉澄子)
[コンフィデンス 17年12月20日号掲載]