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介護現場「無期転換ルール知らない」「転換したくない」半数以上…労組「法律のさらなる周知が必要」

日本介護クラフトユニオン・政策部門長の村上久美子氏

介護従事者約7万9000人が加盟する労働組合「日本介護クラフトユニオン」は9月10日、介護現場で働く人たちの意識や就業実態を把握するための「就業意識実態調査」(回答者数2994人、調査期間2018年3月22日ー4月20日)の結果を公表した。今年が19回目の調査となるが、20歳代の介護従事者が占める割合は年々低くなっており、介護現場の高齢化が加速しているという。

2012年に労働契約法が改正され、有期労働契約が通算5年を超えた場合、期間の定めのない無期労働契約に転換できるようになった。この法改正を「あまり知らない」と答えた組合員は月給制で36.3%、時給制で39.9%、「まったく知らない」と答えた組合員は月給制で22%、時給制で25.6%であり、法改正を知らない介護従事者が多いことがわかった。

政策部門長の村上久美子氏はこれを問題視し、「法律のさらなる周知が必要」と指摘。同様に、職業病といわれる腰痛についても、予防の教育・研修が直接介護をおこなう現場に届いていないことが明らかになった。

また、自由記述では賃金の低さや人員不足などを訴える声がほとんどを占めた。

●「法律のさらなる周知を」改正労働契約法を知らない介護従事者が半数以上

改正労働契約法を「あまり知らない」「まったく知らない」と答えた介護従事者が半数以上を占めたが、「よく知っている」「多少知っている」と答えた介護従事者についても、村上氏は「本当に法律のことをわかっているのか疑問」と話す。

「あなたは無期労働契約へ転換したいですか」という質問に対しては、「はい」と回答した人が33.6%であることに対し、「いいえ」と回答した人が51%を占めた。「すでに転換した」と答えた介護従事者も2.5%いた。

「法改正を知っているが、無期転換したくないと答えた介護従事者の場合、約36%が『辞めたいときに辞められなくなりそうだから』、約21%が『労働条件を変えられるかもしれないから』と回答しています」(村上氏)

村上氏は、改正労働契約法は「安定した雇用、人材の確保という面でも有効な法律なのではないか」としつつ、「改めて法律の周知をおこなう必要がある」と指摘した。

●「賃金が安すぎてもうムリ」 「仕事の内容は良くても」離職せざるを得ない現状

自由記述では、「人手不足、離職の多さ、人員配置」に関する不満が641件ともっとも多かった。

「新しいスタッフが入ってもしっかりとした教育、指導ができていません。その為、不安になってしまいすぐに辞めてしまいます。人手不足が解消されません」(入所系介護員)

「人手不足です。辞めていく人達ばかりで入社して来ないので、ケアの量は変わらないので、残っている人達でケアのフォローをするため、働く時間や移動時間等が無理がきたり、身体の調子が悪くてもなかなか休めません」(訪問系介護員)

また、「賃金や各種手当ての低さ」を訴える声も293件と多く、月給制、時給制ともに半数以上が「賃金が安い」ことを働く上での不満として挙げている。

ある男性(時給制組合員)は「自分は男ですが周囲の友達と比べると賃金の格差が広がるばかりです。仕事の内容は良くても結婚を考えたりすると介護を離れなければならない状態になる可能性もあります」と悩みを寄せた。ほかにも、「共働きでなくては生活が厳しいです」(入所系介護員)、「男性で3人の多子家庭でありますが、生活していくだけでも大変です。一般企業並みの賃金を望みます」(入所系介護員)など、金銭面の切実な悩みを抱える介護従事者が多いことが浮き彫りになった。

村上氏は離職を防ぎ、人手不足を改善するためには「介護従事者の多くが仕事に対して喜びややりがいを感じている。このようなプラス面を表面に出す必要があると痛切に感じている」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

提供元:弁護士ドットコムニュース

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