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形骸化する「こども110番の家」、3年で15万カ所減 立て直しに奔走する学校関係者

都内で撮影(地域部分を加工)

危険な目にあった子どもたちの駆け込み寺として、各家庭や商店などが協力している「こども110番の家」(「こども」は地域によって表記が異なる)。1997年の神戸連続児童殺傷事件などをきっかけに拡大したが、近年は減少傾向にある。

警察庁によると、2013年末で全国191万5000カ所あったが、2016年末には176万6000カ所まで減った。人口減少や学校の統廃合に伴う通学路の見直しなどで、更新されないケースがあるようだ(更新期間は各自治体が判断)。また、一度も利用されないことがほとんどで、形骸化も指摘されている。

警察白書(平成29年版)によると、13歳未満の子どもが被害者になる犯罪件数は10年間で半減し、2016年は1万7252件だった。しかし、殺人や強姦、暴行・傷害などの件数には大きな変化がなく、増えているものもある。子どもの安全を守るため、学校関係者らが、「こども110番の家」の立て直しに取り組んでいる。【編集部・園田昌也】

●PTAが更新を依頼 新規協力の目標値も

小学生の子どもがいる東京都北区の女性は、現在PTAの仕事でこども110番の家の更新を担当している。警察もサポートはするが、子ども110番の家の運用は、自治体や学校が中心になって行う。

「うちは1年更新。リストの住所を回って、『今年もお願いします』と新しいシンボルプレートを渡すんです。新規の目標数もあるのですが、(協力を)断る人は断りますね」

更新や新規の協力を依頼するプリントは、PTA会長と校長の連名。「子どもを落ち着かせ、何があったのか、ゆっくり聞く」「子どもを一人で帰さない」などの対応要領が書かれている。プレートがあるだけでも犯罪抑止につながるとも。

このエリアでは、2017年度のこども110番の家の利用報告はゼロ。それだけに、更新作業は形骸化を防ぐ上で重要だ。

一方で、小学生の子どもを持つ港区の女性は、「学校やPTAから協力要請のプリントなどを配られたことはないですね。ただ、学童クラブ近くの登録先には毎年、子どもたちが挨拶に行っています。登録しているのは、ほとんどがコンビニやスーパーなど店舗のようです」と話す。同じ都内でも、地域色があるようだ。

●ITを活用し、子どもたちに「子ども110番」を知ってもらう

「学校には、子ども110番の家のリストがあるんですが、実際にどういう人が住んでいるのかは教員も分かっていませんでした。当然、子どもたちも知らない。形骸化している感じはありました」

そう語るのは、千葉県成田市の向台小学校(斎藤多賀子校長)の教諭・黒田智哉さん。向台小は、文科省の防災教育のモデル校として昨年、総合的な学習の一環で、科学警察研究所(科警研)が開発した防犯学習ソフト「聞き書きマップ」を使った授業を展開した。

聞き書きマップは、(1)GPS発信機、(2)デジタルカメラ、(3)レコーダーの情報を同期し、マッピングする仕組みで、児童たちが街中で写真を撮り、音声で状況を説明することで、地域の防犯マップが手軽に作れる。

授業では、5年生が子ども110番の家を訪問し、住人にインタビュー。完成したマップは校内に掲示し、児童たちに周知した。

「子ども110番の家は、使われないのが一番ですが、いざというとき、どんな人が住んでいるかを知っていると安心感が違うと思います。協力者の方たちからも好評で、地域の連携も深まりました」

黒田さんによると、今年は3年生で実施する予定だという。聞き書きマップは2017年、衛星活用技術を使ったアイデアを表彰する「ガリレオ・マスター2017・GNSSアジア・チャレンジ賞」で2位に入っており、向台小の取り組みも先進事例として注目されている。

(弁護士ドットコムニュース)

提供元:弁護士ドットコムニュース

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