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1メートル超の花房が薫る・静岡磐田「熊野の長藤」は幽雅な世界

近年ではその優美さや樹勢を活かした藤棚が全国各地で大人気! とりわけ長藤は観る者の心を惹きつけ、雅やかな世界へ誘ってくれるかのよう。
静岡県磐田市の「熊野の長藤」もその1つ。花見時の花房の長さは、なんと1メートル以上にも! 樹齢800年超と言われ、国の天然記念物に指定されています。平清盛の三男・宗盛の寵愛を受けた熊野御前ゆかりの長藤です。

いにしえの時代から愛されてきた「熊野の長藤」とは

写真:麻生 のりこ

静岡県西部を流れる天竜川。その下流左岸、磐田市池田にひっそりと佇んでいる行興寺は、年に一度華やぎます。それは4月下旬から5月上旬にかけて。境内に植えられた長藤が開花し、多くの花見客で賑わいます。
この長藤は「熊野(ゆや)の長藤」と呼ばれ、平安時代末期に平宗盛の寵愛を受けた美女・熊野(ゆや)御前の手により、この地に植えらたとされています。

写真:麻生 のりこ

池田荘の荘司を父に持つ熊野御前は、その美しさなどを平宗盛に見初められ彼に仕えて都に上がりましたが、故郷に残した病身の母を思い帰郷。その後は母に孝養を尽くし、母の死後この地に草庵を結び、十一面観音像を信仰して余生を送りました。
「藤の花をこよなく愛した彼女のお手植えの藤」と伝えられるのが、境内の北西にある「熊野の長藤」です。境内には熊野御前と母の墓が。彼女の命日と言われる5月3日には、毎年供養祭が行われます。

光り射す長藤のシャワー

写真:麻生 のりこ

樹齢およそ800年以上(推定樹齢850年)と言われているこの長藤の魅力は、なんといってもその花房の長さ。開花後の花房は日を追うごとにどんどん伸び、満開の頃には1メートル以上に。
地元の方によると「60年ほど前は垂れ下がった花房の長さが膝丈くらいまで伸びて、子ども達がかくれんぼ遊びをしていた」とのこと。その頃と比べれば樹勢は衰えてきましたが、平成27年(2015年)には、なんと1メートル89センチを記録! 今年はどのくらいまで伸びるのか楽しみですね。

写真:麻生 のりこ

行興寺の境内には国指定樹のほかに、静岡県の天然記念物の指定樹が5本あります。県指定樹の樹齢はおよそ300年以上とも。根元に石碑が建っている株を中心に、今を盛りと境内に甘い香りを漂わせています。
長藤のシャワーを浴びながら、遠い昔に思いを馳せてはいかがでしょうか。

写真:麻生 のりこ

この長藤は花が咲き終わってから葉が繁るという性質を持っています。そのため花見時には葉に邪魔をされず、美しい花房を堪能できると好評。
風が吹けば無数の花房が揺れ、藤棚の下がより幽雅な景色に。甘い香りに包まれた薄紫色の空間に、酔いしれてしまいそう。

隣接する「豊田熊野記念公園」も薄紫色に!

写真:麻生 のりこ

行興寺の北側に位置する「豊田熊野記念公園」内にも藤棚が広がっています。藤棚の面積は寺の境内と合わせて約1,600平方メートル! 一般的なテニスコートが6面分以上入る広さです。

こちらの藤は行興寺に植えられている熊野の長藤を接ぎ木したもの。長藤のDNAをしっかりと受け継ぎ、藤のカーテンを作っています。公園の東南には白藤も植えられているので、薄紫の長藤と白藤との共演も。
花の下にはベンチが置かれ、自由に休むことができます。

写真:麻生 のりこ

公園内の藤棚には、よく見るとなにやら仕掛けが。これは花を長持ちさせるための仕掛けで、雨が降ると樹木を覆うようにビニールが出てくるのだそう。1日でも長く藤の花見が楽しめるのは嬉しいですね。

写真:麻生 のりこ

公園の一画には「熊野伝統芸能館」があり、屋外型の能楽堂が建っています。設営可能な客席数は350席。藤棚を借景とした本格的な能舞台で、能や薪能などが上演されます。

優美で荘厳な熊野の長藤の見頃はG.W.直前頃!

写真:麻生 のりこ

長藤の開花に合わせ周辺一帯では「熊野の長藤まつり」が開催されます。2018年は4月21日(土)から5月3日(木・祝)までの9:00から17:00まで。
期間中の土・日・祝日には17:00から21:00まで夜間ライトアップも。ライトアップされた幻想的な長藤もぜひご覧ください。なお夜間は「池田交流センター駐車場(磐田市池田407-1)」の駐車場を利用できます。
まつり期間中は行興寺と豊田熊野記念公園ほかを会場とし、和太鼓演奏や池田地区に残る山車の引き廻し、磐田市観光大使をモデルにした撮影会などが行われます。詳しくは文末にある【関連MEMO】から公式サイトにて確認を。
謡曲『熊野』や『平家物語』に登場する孝行娘・熊野御前。彼女が愛して植えたと伝えられる藤は、時を超えて現代でも多くの人々に愛されています。
満開時の様子は優美で荘厳。行興寺境内・豊田熊野記念公園ともに入場無料なので、遠く平安時代から続く幽雅な世界をぜひ堪能してください。

「熊野の長藤(行興寺)」の基本情報

住所:静岡県磐田市池田330
電話番号:0538-33-1222(磐田市観光協会)
アクセス:東名高速道「遠州豊田」スマートI.Cより約4キロ / JR豊田町駅の北口から、まつり期間中は無料のシャトルバス運行(日中、1時間に1往復)
臨時無料駐車場:9:00から17:00までの間は寺から400メートルほど西側(天竜川河川敷)。まつり期間中週末の夜間ライトアップ鑑賞時は、行興寺から東南にある池田交流センター駐車場へ(17:00〜21:00)

■関連MEMO
磐田市観光協会
http://kanko-iwata.jp/2018/03/post-5491/
中遠広域事務組合 中遠昔ばなし
http://www.chuen.net/mukashi/mukashi_008.html

【トラベルジェイピー・ナビゲーター】
麻生 のりこ

提供元:トラベルジェイピー 旅行ガイド

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