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何百年も守られてきた、ラダックの知られざる祈りの場所を訪ねて

ラダック・ザンスカールの旅2ラダックの中心部レーから、西に十数キロほどの場所に、ピャンという大きな村があります。この村の中心部にはピャン・ゴンパというチベット仏教の立派な僧院があるのですが、村の東外れの小高い場所に、村人たちによってずっと管理されてきた、小さなお堂があります。グル・ラカンとも呼ばれるこの小さなお堂の中に入ると、暗がりの中に、目の覚めるような深い赤と青で描かれた壁画が浮かび上がってきます。このお堂の由来は定かではありませんが、壁画の様式などから、13〜14世紀頃に建てられたのではないかと考えられています。レーから西に約60キロ。少し標高の下がったインダス川沿いの村、サスポル。この村にも、あまり知られていない祈りの場所があります。村の北側の崖の斜面にある洞窟に、壁画の描かれたお堂があるのです。村人たちからダクプクと呼ばれる洞窟の内部。狭い空間の中にびっしりと描かれた千仏画や守護尊の数々。この洞窟の由来も詳しいことはわかっていませんが、15〜16世紀頃に描かれたものではないか、と言われています。サスポルの南、ザンスカール川沿いの道から未舗装の脇道を入り、さらに1時間ほど山道を歩いた先に、スムダ・チュンという小さな村があります。この村にある小さな僧院、スムダ・チュン・ゴンパには、ラダックでも一、二を争うほどの素晴らしい仏教美術が残されています。スムダ・チュン・ゴンパの本堂に祀られている、毘盧遮那如来(ナンパ・ナンツァ)を中心にした立体曼荼羅。精緻な造形に埋め尽くされたその荘厳さに、ただただ圧倒されます。このスムダ・チュン・ゴンパの由来も、詳しいことは定かではありませんが、ほんの数軒の民家しかない山奥の小さな村で、これほど素晴らしい仏像や壁画の数々が守り続けられてきたというのは、驚くべきことです。ラダックの人々の祈りの敬虔さと、それを世代を超えて受け継いでいく思いの強さに、心を打たれました。◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto 著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。 http://ymtk.jp/ladakh/

提供元:BE-PAL

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