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女王伝説をめぐる旅 古代王国の都として栄えた北タイ・ランプーン


北タイのチェンマイはラーンナー王国の古都として人気の観光地ですが、ラーンナー以前に存在した古王国「ハリプンチャイ」(「ハリプンジャヤ」とも)をご存じでしょうか? 東南アジアに古くから居住するモンの人々が建てた国で、建国の祖は、伝説的な女王チャーマテヴィ(ジャマデヴィ)。チェンマイの南約30キロ、ランプーンに都がありました。この小さいけれども美しい古都へ、足を延ばしてみましょう。

北タイの古い歴史は伝説に満ちている

写真:Tomie Tomy

ラーンナー以前の北タイ史は多分に伝説的です。史実性に乏しいとされる年代記など以外、史料があまりないからですが、昔話のように語られる伝説や神話を味わいながら旅行するのもまた、「旅のロマン」かもしれません。
伝説は語ります。7世紀中頃(実際は8世紀とも)、聖仙の一団がランプーンに街を築きました。聖仙たちはこの地の統治者として、南方のラヴォ国(現ロッブリー)の王女チャーマテヴィを招聘。チャーマテヴィは招きに応じてランプーンで女王となります。女王の出自については別バージョンもありますが、いずれにしてもここから国が始まりました。

写真:Tomie Tomy

チャーマテヴィは聡明で、大変な美貌であったとされています。例えば、こんな逸話があります。
ウィランカという名の族長が彼女に心奪われ、求婚します。武力を背景に強引に迫る族長に、チャーマテヴィは「ドイステープ(チェンマイの聖山)から槍を三度投げて、ハリプンチャイの都まで届いたら承諾する」という条件を出しました。するとウィランカは、何と魔力で槍を大遠投。対してチャーマテヴィは、知恵と奇策でその魔力を奪ってしまったーという物語です。ワット・チャーマテヴィで、この話にちなんだ絵を見ることができます。

写真:Tomie Tomy

女王はラヴォからハリプンチャイへ来た時、多くの民を率いていました。その中には僧侶、賢人、彫刻師、富豪、占星術師、医師、職人などが含まれ、国の発展に貢献しました。
これらの伝説は、建国に伴う土着勢力封じ込めや、新国土への自民族の移住といった史実を反映しているのかもしれません。また当時の先進地であったタイ中部チャオプラヤー流域の文化や知識が、北方へ伝播していったことも暗示していると考えられます。

仏教の聖地ランプーン。チャーマテヴィゆかりの地を訪ねる

写真:Tomie Tomy

ランプーンは、貝の形と言われる環濠と城壁に囲まれた小さな街です。上座部仏教の国であり、市内には驚くほど多くの寺院があります。事実、隣国ラヴォが、興隆するカンボジアのアンコール王朝に飲み込まれてヒンドゥー文化の洗礼を受ける中、ハリプンチャイはその圧力を跳ね返して独立を保ち、当時の東南アジアにおける仏教の中心地の一つであり続けました。

写真:Tomie Tomy

チャーマテヴィに会うには、まず記念公園にある女王像を訪ねてみて下さい。この立像は1982年に立てられました。現在でも多くの国民に敬愛されており、毎日たくさんの人々がお参りに訪れています。
<チャーマテヴィ女王記念公園の基本情報>
住所:175/22 T. Rop Muang Nai, T. Nai Muang, A. Muang Lamphun, Lamphun
アクセス:旧市街環濠の南西角内側

写真:Tomie Tomy

ワット・チャーマテヴィには、ハリプンチャイ時代のものと考えられる二つの仏塔があります。5層のチェディ・クークットと、八角形のラタナ・チェディです。もっとも碑文研究では、実は前者がラタナ・チェディではないかとも考えられています。ここに女王の遺灰が納められていると伝えられますが、戦勝記念に建てられたという説もあり、さらには他の呼び名も存在するなど、多少込み入っています。チェディには仏陀の立像が彫られています。
本堂は後世のものですが、タイのお寺によく見られる壁面の仏教絵画が、ここではチャーマテヴィ伝説が題材となっており、女王の生涯の様々なシーンが描き出されています。
<ワット・チャーマテヴィの基本情報>
住所:Chamadevi Rd, T. Muang Nga, A. Muang Lamphun, Lamphun
アクセス:旧市街環濠から西北約1キロ

街のシンボル的寺院もハリプンチャイ時代まで遡る名刹

写真:Tomie Tomy

ランプーンはお寺の宝庫です。街のシンボル、ワット・プラタート・ハリプンチャイは、ハリプンチャイのアティタヤラート王が創建した壮大な寺院で、仏舎利が納められた高さ46メートルの巨大な黄金チェディがその中心にそびえています。世界最大と言われる銅鑼や仏足石などの見どころも多くあります。

写真:Tomie Tomy

境内にはスワンナ・チェディなど二つの古い仏塔あります。まばゆいばかりの装飾を誇る伽藍の中で、古い煉瓦の尖塔が確かな存在感を示しています。
<ワット・プラタート・ハリプンチャイの基本情報>
住所:335 O Bo Cho Lamphun Ban Chambon Rd, T. Si Bua Ban, A. Muang Lamphun, Lamphun
アクセス:旧市街中心部、クアン川畔

他にもある女王ゆかりの旧跡

写真:Tomie Tomy

チャーマテヴィ伝説にまつわる旧跡には、他にもこんなところがあります。
街の東約2キロのワット・プラユーンは、幾つかの時代に渡って手が加えられた寺院ですが、チャーマテヴィの創建であるとも信じられています。壁龕(へきがん)に黄金の仏像を納めた仏塔があります。

写真:Tomie Tomy

市街北東約1キロにあるクーチャーン、クーマーの二つのストゥーパは、円柱及び円錐型の滑らかな形状です。それぞれ戦場で活躍した女王の象と馬を弔うものであると信じられています。動物が主人公のためか、干支にまつわる願懸けやオブジェもあり、多くの人々で賑わっています。

ラーンナーに受け継がれたハリプンチャイ文化。今もこの地に息づく

写真:Tomie Tomy

チャーマテヴィ女王はよく国を治め、高齢まで生きました。ハリプンチャイ王国は1292年、ラーンナー国を興したマンラーイ王に滅ぼされるまで、数百年間に渡って栄えました。
マンラーイがハリプンチャイを攻略した際、正攻法では難しかったと伝えられます。時間を掛けて内部分裂させる策略を採らねばならないほど、守りが固かったのです。さすがはアンコールの力を退けた国です。結果、国は取って代わられましたが、仏教を中心とする文化や伝統は受け継がれ、続くラーンナー文化の礎となりました。ハリプンチャイと女王チャーマテヴィは、今もこの地に息づいているのです。
上の写真は、その美しさでタイの五指に入ると讃えられるワット・サンパーヤンルアン。精緻な装飾が見事です。こんな素敵なお寺がさりげなく存在するのも、実はランプーンの凄さかもしれません。女王の葬儀が行われた場所とも言われます。
<ワット・サンパーヤンルアンの基本情報>
住所:Moo 6 San Pa Yang, T. Muang Nga, A. Muang Lamphun, Lamphun
アクセス:旧市街環濠より北約1キロ

写真:Tomie Tomy

ワット・プラタート・ハリプンチャイ隣にあるハリプンチャイ国立博物館もお見逃しなく。
<ハリプンチャイ国立博物館の基本情報>
住所:122 Intayonyot Rd, T.Nai Muang, A.Muang Lamphun, Lamphun
電話番号:+66 (0)53 511 186
アクセス:ワット・プラタート・ハリプンチャイの西隣
開館時間:9:00 - 16:00
休館日:月、火曜日、祝日
入場料:外国人100バーツ/人
幾つかの寺院は多少離れており、バイクタクシー等の利用をお勧めします(バイタク自体少ないですが)。ワット・プラタート・ハリプンチャイ前発着の観光バスが、3時間前後で主なスポットを周遊します。
<市内周遊観光バスの基本情報>
アクセス:ワット・プラタート・ハリプンチャイ前発着
出発時刻:9:30、13:30
運休日:月曜日
料金:外国人100バーツ/人

ランプーンの基本情報

アクセス:バンコクから列車、バス等(約670キロ)。チェンマイからバス、ソンテウ、ミニバン、鉄道、レンタルバイク等(約30キロ)。
2017年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

【トラベルjpナビゲーター】
Tomie Tomy

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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