驚きの成熟
スバルが、デビューから3年を経たスポーツセダン「WRX S4」に、再びの改良を実施。BMWやアウディとの比較によって磨かれたという、静的質感や静粛性、そしてスポーティーな走りと快適な乗り心地の両立に、熟成された機械ならではの“豊かさ”を感じた。
さらなる質感の向上を追求
WRXは実質的に「レヴォーグ」のセダン版である。もっとも、この2車はスバル的にはそれぞれ独立した機種であり、商品企画チームも別立てである。しかし、ご想像のとおり、ハードウエアには共通点が多い。
というわけで、今年夏の“大幅改良”もWRXとレヴォーグの同時実施となり、その主たるねらいも酷似する。最大のトピックはともに現行スバル最新の「アイサイト・ツーリングアシスト」が初搭載されたことで、さらには主に内装の質感、そして静粛性と乗り心地の向上に注力されている点も共通である。
WRX/レヴォーグはもともと「インプレッサ」の基本骨格を強化して、インプレッサと「レガシィ」の中間に位置づけたクルマである。よって、内装デザインもインプレッサのそれをベースに微妙にアップグレードしたもので、“Cセグメントの上級商品”と見れば、けっして悪くはなかった。 ただ、このサイズの本格的なセダン/ステーションワゴンは今や国内ではめずらしい。しかも、水平対向エンジンやターボ、4WDといった高性能メカをそこに詰め込んだWRX/レヴォーグは、販売現場でBMWやアウディあたりを嗜好する客筋に、じっくりと吟味されることが多かったという。
もっとも、スバル自身が「BMW 3シリーズ」や「アウディA4」を“理想のライバル”に据えてWRX/レヴォーグを開発したのも事実で、その意味では想定どおり。しかし、実際にはスバルが期待した以上に直接比較されるケースが多く、結果として内外装の質感に対するハードルが上がってしまった……という側面も今回の改良の背景にあるらしい。
また、先に世代交代を果たした弟分のインプレッサの質感や快適性も飛躍的にレベルアップ。ヒエラルキーの整合性のためにも、WRX/レヴォーグのテコ入れは急務だったわけだ。...