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バレンシアが2位なんていつ以来!?メッシ&スアレスを上回る2トップ。

リーガでメッシに次ぐ得点ランク2位につけるザザ(右)。バレンシアの復興はこのイタリア人にかかっている。

バルセロナとレアル・マドリーの間にバレンシアの名を見るなんて、いつ以来のことだろうか。
ラ・リーガ第11節を終えて8勝3分。10勝1分という驚異的な成績を出しているバルサのせいで2位にとどまっているが、現時点での勝ち点27は他のシーズンであれば首位にいて然るべき数字である。
総得点30はバルサと並びリーグ最多で、5節以降は7連勝中。次節エスパニョール戦に勝てば、2つのクラブ記録(連勝記録と開幕からの無敗記録)を更新することになる。
しかも既に3位レアル・マドリーとはアウェーで、4位アトレティコとはホームで引き分け、CL出場権を争うレアル・ソシエダ、アスレティック・ビルバオ、セビージャといった上位陣を下している。
順位表の上だけでなく、上位陣との直接対決でも強さを証明してきたここまでの快進撃はしかし、過去数年の迷走ぶりを考えると、うまくいき過ぎな印象がある。

2012年以来、短絡的なチーム改造が繰り返された。

3季連続でCL出場権を獲得したウナイ・エメリが退任した2012年夏以降、バレンシアは半年ごとに監督と主力選手を入れ替える短絡的なチーム改造を繰り返してきた。
昨季も開幕4連敗とつまずいたパコ・アジェスタランを早々に解任。後任のチェーザレ・プランデッリもクラブが約束していた補強に動かないことを理由に、年越し前に辞任した。その後は中継ぎ役のサルバドール・ゴンサレス“ボロ”が暫定的にチームを指揮したが、結果は散々だった。ホームでわずか8勝、クラブ史上最多の65失点、同最多タイの18敗を積み重ねての12位に終わっている。
その間、フロントも慌ただしく人が動いた。1月にはプランデッリ辞任の責任をとりスポーツディレクターのヘスス・ガルシア・ピタルチが辞任。後任には下部組織のディレクターを務めていたホセ・ラモン・アレサンコが就任したが、その後チーム強化の実権は3月末にゼネラルディレクターとして招へいされた元マジョルカ会長マテウ・アレマニーの手に渡った。

大株主リムの手に決定権は握られている。

そして7月には大株主ピーター・リムの右腕レイフーン・チャンからアニル・ムルティに会長が交代。9月にはアレサンコが解任され、アレマニーとテクニカルセクレタリーのビセンテ・ロドリゲス、監督のマルセリーノ・ガルシア・トラルの3人が名実ともにチーム強化の中心となった。
つまり、今季も過去数年と同じく、ゼロからやり直し始めたばかりなわけで、重要なのはこの先もこの体制を継続できるかどうかにある。ここまではチームが結果を出しているから良いものの、過去数年にわたって過ちを繰り返してきたリムの手に重要な決定権があることは変わらないだけに、油断は禁物だ。
それでもメスタージャで繰り広げられる光景を目の当たりにすれば、人々が「今度こそ」と希望を抱きたくなる気持ちも理解できる。
今季のバレンシアのプレーは、一言で表現するならば「痛快」だ。
ボールを持ったら、迷わず縦へ。余計な手間はかけず、ゴールへの最短距離を目指す鋭角的なフットボールは、マルセリーノが信条とするスタイルであると同時に、古き良き時代のバレンシアを思い起こさせるものでもある。

ポストプレーに優れた2人のFWの存在。

そんな攻撃を可能にしているのは、シモーネ・ザザとロドリゴの2トップだ。
質実剛健な点取り屋であるザザに対し、ロドリゴは攻撃的ポジションならどこでもこなせる万能なテクニシャンである。同じ左利きでも全く特徴が異なる2人ながら、共通の長所もある。いずれも前線で縦パスを引き出し、タメを作れるポストプレーに長けていることだ。
かたや恵まれた体格を生かし、かたや巧みにマークを外してくさびのパスを引き出し、2列目、3列目からの攻め上がりを促す。強力なポストプレーヤーが2人も前線でパスコースを作ってくれるから、後方の選手たちは余計な組み立てを挟むことなく、シンプルに縦パスを選択できるのだ。
どこからでも縦パスを「刺す」ことができる強みは、ボランチを組むダニ・パレホとジョフリー・コンドグビアのパス能力、左サイドに加入したゴンサロ・ゲデスの長距離スプリント能力を生かすことにもつながっている。

2人で挙げたゴールはメッシ&スアレス以上。

しかもこの2トップはFWが求められる最も重要な仕事もしっかりこなしている。ここまで2人は計16ゴールを決めているが、これはバルサのメッシ&スアレスペアをも上回るラ・リーガトップの数字である。
生粋のストライカーであるザザはともかく、これまでゴール数が決定的に欠けていたロドリゴの覚醒ぶりは驚きだ。今季はラ・リーガの11試合で26本のシュートを打ち、すでにシーズン自己ベストを上回る7ゴールを決めている。つまり4本に1本以上の確率でゴールネットを揺らしているのだ。
これまで器用貧乏な印象が拭えなかった26歳は、今季の活躍により10月に3年ぶりとなるスペイン代表復帰を果たし、アルバニアとのワールドカップ予選で初ゴールも決めた。
ここまでメッシに次ぐ得点ランキング2位の9ゴールを挙げているザザは、ワールドカップ予選プレーオフに向けたイタリア代表に1年ぶりに復帰を果たしたが、その後怪我で離脱してしまった。直前のレガネス戦で7戦連発の世界新記録を樹立できぬままベンチに下げられていただけに、無念だったことだろう。

「リーグ優勝は実質的に不可能」とは言うが。

絶好調の2トップに牽引され、バレンシアは過去数年の迷走ぶりが嘘のように勝利へと突き進んでいる。
年内に残された大一番は、13節のバルサ戦と17節のビジャレアル戦だ。特にバルサ戦は現実的な目標であるCL出場権にとどまらず、今季のチームにリーグタイトルを争える力があるかどうかを占う一戦として注目されている。
「リーグ優勝は実質的に不可能。勝ち点90はバレンシアが到達できる高みではない。4位になれるなら今すぐにサインするよ」
マルセリーノは先日、出演したラジオのインタビューでそう言って笑っていた。
指揮官の言う通り、ヨーロッパでの戦いがないメリットがあるとはいえ、選手層の薄いバレンシアがこの勢いを1シーズン維持することはまず無理だろう。この輝きがいつまで続くかは分からない。分からないからこそ、今バレンシアのフットボールを見ておくべきだと言えるかもしれない。
今の彼らのプレーは、それくらい痛快なのだ。

提供元:Number Web

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