「休日の寝だめ」で、平日の疲れを回復しようとする人は多いだろう。睡眠時間そのものよりも、毎朝ほぼ同じ時間に起きることが、実は体力を整える上では重要になる。1万人以上の患者を診てきた医師が、科学的根拠に基づいて執筆した『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から、一部を抜粋・編集し、睡眠のヒントを紹介する。
「起床時刻」と「朝の光」がカギ
その日の調子を安定させる上でまず重要なのは、睡眠のリズムを大きく崩さないことだ。
睡眠は、どれくらい寝るかだけでなく、いつ寝て、いつ起きるかというタイミングも重要だ。なかでも、起床時刻をほぼ一定に保つことは、体内時計の安定に大きく関わる(*1)。
起床時刻はできるだけ一定に保ち、その時刻から逆算して必要な睡眠時間が取れるよう、就寝時刻を調整する。平日と週末で起床時刻が大きくずれると体内時計が乱れやすいため、週末もできるだけ平日と近い時刻に起きることを基本にする(*2)。
朝はできるだけ強い光を浴び、夜は画面や照明の明るさを落として暗い環境をつくる。夜の光を抑え、朝にしっかり光を浴びるほど、体内時計は整いやすくなる(*3)。
朝の屋外の光は一般的な室内照明よりはるかに明るく、体内時計に強く働きかける。できれば、屋外で自然光を15〜30分ほど浴びるようにしたい。天候や環境の制約がある場合は、日光が入る窓辺など、できるだけ明るい場所で過ごすとよい。
朝の光は、体内時計を整え、自然な眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑え、脳と体を目覚めた状態へと切り替えやすくする。起床時刻を一定にし、朝の光をしっかり浴びることで、睡眠のリズムもそろいやすくなる。
よくある落とし穴は、平日と週末で就寝時刻や起床時刻が大きくずれてしまうことだ。これにより、体内時計と社会的スケジュールのずれ、いわゆるソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)が生じる。
このずれは、肥満や糖代謝異常などとの関連が報告されており(*4)、生活リズムの乱れを示す指標の1つと考えられている。
週末だけ長く寝て帳尻を合わせるよりも、毎朝ほぼ同じ時間に起きることを基本にする。睡眠を補いたい場合でも、週末の寝だめは2時間以内にとどめたほうが、体内時計の乱れによるデメリットが増えにくい(*5)。
さらに朝の光と夜の暗さを組み合わせるだけでも、睡眠の質と日中のパフォーマンスは改善しやすくなる。
(本稿は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から一部抜粋・編集したものです。)