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イギリス湖水地方・自然を謳いあげたロマン派詩人ワーズワースの家へ


ウィリアム・ワーズワースは1700年代後半から1800年代前半にかけて活躍した、英国ロマン主義を代表する詩人。風光明媚な湖水地方の町コッカマスに生まれた彼は、自然の美しさに人間の情感を重ね合わせた詩作で人々の心を掴みました。のちに王室の慶弔に際して詩を詠む桂冠詩人の栄誉を得てからも、湖水地方を拠点とし続けたほど地元の自然を愛してやまなかった人。そんな彼が住んた町、グラスミアの魅力をご案内します!

イングランド屈指の景勝地 湖水地方ってどんな所?

写真:小野 雅子

湖水地方が形成されたのは、今から約15,000年前と推測されています。氷河期が終わったあとの谷間に水が溜まりこんだ湖が16もあり、それらを取り囲む山々とともにイングランド屈指の景勝地として人気。また約2,300平方kmもの広大な国立公園にもなっており、世界遺産に登録されています。

写真:小野 雅子

とはいえ観光地・保養地として有名になったのは近代以降のこと。それより以前は農業とくに羊をメインとした牧畜がこの地域を支えていた産業で、その伝統は今もしっかり引き継がれています。四季折々に美しい湖水地方ですが、春から初夏ならば仔羊たちの愛くるしい姿を見ることもできますよ!

写真:小野 雅子

山と湖に囲まれているため、やや天候が変わりやすいのも特徴です。緑したたる森林と青い湖面は気持ちのいい風景ですが、霧や霞で白くけむった湖もまた別の美しさ。
そんな水彩画のように美しい自然の中で生まれ育ち、生涯この土地を愛し続けたのが詩人ウィリアム・ワーズワースなのです。

若き詩人が妹と一緒に暮らした家「ダヴ・コテージ」

写真:小野 雅子

ワーズワースは生涯の大半を湖水地方で暮らしただけあって、彼が住んだ家々や少年時代に通った学校など幾つかゆかりの地が保存されています。中でも有名なのは、グラスミア村にあるこの家。
もともとは1,600年代初期に建てられ長らく「ダヴ&オリーヴ」という旅館だったため民家となってからもダヴ・コテージと呼ばれ、青年ワーズワースは1799年から1808年の9年間ここで妹ドロシーと一緒に暮らしました。

写真:小野 雅子

ケンブリッジ大学での学生時代にはフランスへ渡り一時期はフランス革命を支持したものの、「9月虐殺事件」などにより革命に失望したワーズワース。同時にフランス人女性アネットと恋愛をし娘も生まれながら、経済的な理由でイギリスに一旦帰国。やがて英仏間戦争も勃発してしまい、彼はその後10年間アネットと娘に会えませんでした。
親友だったサミュエル・コールリッジとの共著で発表した詩集が評判となり、詩人としての1歩を踏み出したのはワーズワース28歳のとき。その翌年にはこのダヴ・コテージに居を構え詩作に専念しますが、当時の詩は別離や悲しみに満ちた作品が多かったというのも頷けます。

写真:小野 雅子

家具や調度品、食器などもワーズワースたちが実際に使っていた品ばかり。正時になるとビックリするほど大きな音つきで鳥が飛び出す鳩時計や手編みのブランケットもそのまま保存されていて、200年以上も前の暮らしぶりがしのばれます。

ダヴ・コテージに隣接するワーズワース博物館

写真:小野 雅子

そしてダヴ・コテージに隣接する建物は、ワーズワース博物館。彼の生い立ちから始まり文献、絵画、遺品がたくさん展示され、この地が生んだ詩人の生涯をたどります。またワーズワース直筆による詩の原稿も多く、貴重な資料となっています。

写真:小野 雅子

彼が使ったインク壺とペン、詩作の合間にくゆらした煙草のパイプ、美しいティーセット・・・とアンティーク・ファン垂涎の品々もいっぱい。中には彼が若かりしころ、冬の凍結した湖面で楽しんだスケートの靴などと珍しい物もあります。また後年は桂冠詩人となり王室関係への出入りもあったため、おめかし用の衣類やアクセサリーも必見です!

写真:小野 雅子

<ダヴ・コテージとワーズワース博物館の基本情報>
住所:Dove Cottage & Wordsworth Museum, Town End, Grasmere, Ambleside LA22 9SH
電話番号:+44-15394-35544
アクセス:ウィンダミア駅からバスやタクシー利用で15分〜20分

ビアトリクス・ポターにも縁のある邸宅「アラン・バンク」

写真:小野 雅子

1802年に妹とともにフランスを再訪し恋人だったアンナと二人の間に生まれた娘と会ったワーズワースは、帰国してから幼馴染のメアリー・ハチンソンと結婚。やがて上下二巻の詩集を発表し、湖水詩人としての名声を揺るぎないものにします。
家族が増え、文学仲間をはじめ客人もますます増えてダヴ・コテージでは手狭になったため、1808年にグラスミア湖を見晴らす邸宅アラン・バンクに転居。詩人としての最盛期を迎えた彼は、ここで5年ほど暮らしました。

写真:小野 雅子

ワーズワースの後も何人か居住者が変遷したアラン・バンクですが、その中のひとりがキャノン・ハードウィック・ローンズリー。
景観保護団体ナショナル・トラストの前身・湖水地方保護協会の創設メンバーだったローンズリーは、ピーターラビットの絵本で有名なビアトリクス・ポターにも大きな影響を与えた人物。そのローンズリーが1900年代初期にここで晩年を過ごしたため、暖炉の上には少女時代のポターとともに写真が飾られています。
2階の窓からはグラスミア湖を見晴らすことができ、また子供向けの可愛らしいプレイルームもあったりして、しばし時が止まったよう。ほっと癒される空間です。

写真:小野 雅子

<アラン・バンクの基本情報>
住所:Allan Bank National Trust, Grasmere, Ambleside LA22 9QB
電話番号:+44-15394-35143
アクセス:ウィンダミア駅から約13キロメートル、バスかタクシー利用

お土産にイチオシ!グラスミア銘菓のジンジャーブレッド

写真:小野 雅子

最後にご案内するのは、このグラスミアに来たら大抵の人が買っていくほど有名なお菓子の老舗「グラスミア・ジンジャーブレッド・ショップ」です。
ここはセーラ・ネルソンという女性が1854年に創業した店。昔からの秘伝レシピを守って作られたジンジャーブレッドは、生姜だけでなく濃厚バターやブラウンシュガーの香りが特徴です。半生でしっとりタイプの、ビスケットとケーキの中間みたいなお菓子です。コーヒーなど色んな飲み物に合いますが、特にミルク・ティーとの相性が抜群ですよ!

写真:小野 雅子

お持帰りして後で食べると最初の柔らかさが失われますが、電子レンジで5秒ほど温めるとホカホカになり柔らかさも復元されて美味!またコットン製のオリジナル・エコバッグも人気アイテムです。
<グラスミア・ジンジャーブレッド・ショップの基本情報>
住所:The Grasmere Gingerbread Shop, Church Cottage, Grasmere, Ambleside LA22 9SW
電話番号:+44-15394-35428
アクセス:ウィンダミア駅から車で15分〜20分

文学者たちが愛した風景そのままに 麗しの湖水地方へ

ワーズワースやポターに代表されるとおり、多くの文学者や芸術家たちを惹きつけてきた湖水地方。イングランド最大の国立公園として、またユネスコ世界遺産として、今もなお私たちを魅了し続けます。ロンドンからだと遠いので、日帰りは不可能ではないものの1泊か2泊して思いっきり堪能するのがお勧めです!
2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
取材協力:英国政府観光庁(VisitBritain)

■関連MEMO
Dove Cottage/Wordsworth Grasmere(外部リンク)
https://wordsworth.org.uk/
Allan Bank and Grasmere(外部リンク)
https://www.nationaltrust.org.uk/allan-bank-and-grasmere
Grasmere Gingerbread Shop(外部リンク)
https://www.grasmeregingerbread.co.uk/
英国政府観光庁・VisitBritain(日本語)(外部リンク)
https://www.visitbritain.com/jp/ja
ピーターラビットの故郷!作者ポターが愛した湖水地方・LINEトラベルガイド記事
https://www.travel.co.jp/guide/article/43517/

【LINEトラベルjp・ナビゲーター】
小野 雅子

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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