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キャプテンハーロック『特別映像を大公開!荒牧伸志監督が語る☆空前の3DCGと作品の世界観』

総製作費3000万ドル!空前の3DCGクオリティとスケールで、松本零士氏原作の“伝説の宇宙海賊”を30年の時を超えて復活させた『キャプテンハーロック』。世界80ヶ国以上からオファーが殺到し、ジェームズ・キャメロン監督も絶賛した同作がいよいよブルーレイ&DVDで登場! フルCGアニメ界をリードし、日本を代表する演出家・デザイナーである荒牧伸志監督が、世界を視野に入れていたという同作の製作について、さらに自身の3DCGアニメへのアプローチを語ってくれた。

細部まで作り込まれた映像制作秘話!アルカディア号 絵コンテも☆

ハーロックが実際にいたらこういう感じだろう

──松本零士さんの原作『宇宙海賊キャプテンハーロック』との出会いはいつでしたか?
荒牧まず、中学生の頃に『宇宙戦艦ヤマト』や『戦場まんがシリーズ』で松本零士先生の作品と出会いました。ハーロックというキャラクターも最初は『戦場まんがシリーズ』で意識し、高校2年生ぐらいのときにプレイコミックで『宇宙海賊キャプテンハーロック』の連載が始まりました。松本先生のいろいろな作品に出ていたキャラクターだったので、満を持して連載が始まった感じで、すごくワクワクしました。テレビシリーズに関しては、当時もう大学生ぐらいになっていたこともあって、「アルカディア号を青と赤なんかで塗るんじゃねえ」とか文句を言っていました(笑)。松本先生の原作原理主義者というわけではないんですが、モノクロの漫画の方がいいなという気がしていました。その後、監督のりんたろうさんが何本もやられてアニメ版もどんどんクオリティが上がっていった印象を持っています。

──松本零士さんは今回の映画にどう関わられたんでしょうか?
荒牧映画化するという話になったとき、挨拶にうかがって、かなりしっかりと話をさせてもらいました。ディスカッションというよりは、作品に対する先生の思いをうかがったという感じです。3回ほどご自宅にお邪魔しました。先生はCGでやるという新しい試みに対する期待感を最初からお持ちで、若いスタッフ中心で作ることに対しても後押ししていただく言葉をかけていただきました。

──キャラクターデザインでこだわったところは?
荒牧原作を読んでいた人たちが納得できるハーロックにしたいと思いました。そこに対しては一切妥協したくありませんでした。リアルではあるんだけど、俳優の誰かに似ているとか、そういうことはない。ハーロックが実際にいたらこういう感じだろうと思ってもらえるものにしようと、体型、髪型、動き方も含めて作り上げていきました。松本先生にもこういう手法でやれるんだと喜んでいただいて、僕もうれしかったです。

──脚本は『亡国のイージス』『終戦のローレライ』などで知られる作家の福井晴敏さんですが、監督の人選でしょうか?
荒牧この仕事を引き受けたとき、まず脚本家は誰にしようかという話になりました。プロデューサーからも福井晴敏さんの名前は出ていましたし、僕の方からもお願いしたいと名前を挙げていました。“戦う男の船もの”といえば、やっぱり福井晴敏さんだろうと。『機動戦士ガンダムUC』の脚本も書かれていたので、アニメーションに対する押さえどころもわかっていらっしゃると思っていましたので。僕よりも若いので、『ハーロック』に対する思い入れはあまりなかったかもしれないですけど、それでもいろいろな切り口を考えてくれました。最初はとんでもないものも含めていろんなアイディアがあったんですけどね(笑)。

原作を知らない世代にも伝わるものになった

──とんでもないものというのは?
荒牧僕は今でもおもしろいなと思っているんですけど、例えば主人公がアルカディア号に乗り込むんだけど、ハーロックが誰だかわからない。『ユージュアル・サスペクツ』のカイザー・ソゼみたいな存在として描くのはどうだろうと。噂だけは知っているけど、誰も見たことがないという。おもしろいと思ったんですけど、さすがにそれはダメだろうということになりました。ほかには、ハーロックの若い頃、アルカディア号ができる前の話はどうだろうというのもありましたね。

──原作を知らない若い世代にはどうやってアピールしようと思われましたか?
荒牧映像的な面ももちろんあるんですけど、ストーリー的にもただの未来SFというのではなく、テーマ性として現代の日本を象徴するようなものにしたいと思いました。脚本を作ったのは3.11よりもずっと前なんですけど、日本全体に漂う閉塞感を共有して感じながら観てもらいたいなと思って作りました。そういう意味では、原作を知らない世代にも伝わるものになったと思っています。

──小栗旬さん、三浦春馬さんなど、声優陣も若い世代が揃っていますね。
荒牧小栗さんは前にも僕が関わった作品で声優をやっていただいたことがあって、非常に演技力があり、勘もいい方だと思っていました。ハーロックは100年生きているという設定なんですけど、枯れたおじいちゃんにはしたくなかった。小栗さんは苦労されていましたけど、お願いしてよかったと思いました。三浦さんはヤマがあれほど似合う人はいないんじゃないかと最初から思っていました。存在感、見た目も含めて、若々しさと悩める感じがぴったりだと。アフレコの現場でも実際に悩んでいましたし(笑)。ふたりの相性もすばらしかったと思います。

──ヴェネチア国際映画祭でも上映されましたが、最初から海外は意識していましたか?
荒牧海外も視野に入れないと、3000万ドルという製作費は回収できないだろうなと思っていました(笑)。ヨーロッパでは80年代にテレビシリーズが放映されていたので人気は高いんですね。ヴェネチアに行ったときも、松本先生に対するリスペクトを感じました。上映後にずっとスタンディングオベーションが続いたのも、映画に対する評価もあったかもしれないですけど、松本先生がそこにいらっしゃるということに対する拍手だったような気がします。

──作品を観たジェームズ・キャメロン監督に「空前の出来。もはやこれは伝説だ」と言われたそうですね。
荒牧彼のスタジオにある試写室で観てもらったんですけど、すごく気さくな方で、本当にジェームズ・キャメロンだったのかなとあとから思ったぐらいです(笑)。スタジオも案内してもらって、ありがたかったですね。尊敬する監督のひとりです。僕の方から「日本のアニメーションのどういうところを評価していますか」と訊ねたんですが、観たことがない世界観の映画を観たいという思いが強いそうで、アニメーションは自由に新しいイメージを出してくるから楽しめるとおっしゃっていました。

──キャメロン監督は日本のアニメに注目しているようですが、荒牧監督はどういうところにアンテナを伸ばしていますか?
荒牧CGでいうと、ピクサーとかのファミリー向けの劇場映画よりも、ゲームのためのトレーラーを観ることが多いですね。リアルな描写という面では、ゲームが最先端を行っていると思うので。映画だと『ゼロ・グラビティ』もリアルですばらしかったです。ただ、僕はリアル一本やりで行こうというわけではないですけどね。今回はストーリーともうまくリンクすると思って突き詰めたのであって。もっとアニメっぽい表現で3DCGならではのことをやるアイディアもありますし、実写でやってもいいんじゃないかと思うこともあるでしょうし。技術の進化で状況も変わっていきます。アプローチの方法は縛らずにやっていこうと思っています。
(文:岡 大)

『キャプテンハーロック』Blu-ray&DVDが登場!

 総製作費3000万ドル! 世界70ヶ国以上での配給決定!! 『銀河鉄道999』シリーズと並び称される松本零士の人気コミック『宇宙海賊キャプテンハーロック』を、空前の3DCGクオリティとスケールで鮮やかに蘇らせるエンターテインメント超大作!

【ストーリー】
 破壊の化身か、最後の救世主か。
 広域指名手配犯・宇宙海賊キャプテンハーロック。大戦中の英雄にして政府に叛旗を翻す、全宇宙の敵。政府より下ったハーロック暗殺命令を受けた青年ヤマは海賊船アルカディア号に乗組員を装い潜入するが、ハーロックに近づくにつれ、彼の目的とアルカディア号の正体、そして地球に隠された真実を知ることになる。
 終焉の時代、人類の未来を賭けた戦いが今、始まる。

『キャプテンハーロック』2014年2月21日(金)発売
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(C)LEIJI MATSUMOTO/CAPTAIN HARLOCK Film Partners

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