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世界初のイマーシブ・テーマパーク「エンタメの体験構造を思い切り変える」 『推しの子』『東リベ』もコラボ、“没入体験”の可能性とは

 森岡毅氏がCEOを務めるマーケティング会社「刀」が、東京お台場に世界初のイマーシブ・テーマパーク『イマーシブ・フォート東京』を来年3月1日に開業する。旧ヴィーナスフォートの建物を活用した完全屋内型テーマパークで、“イマーシブ=完全没入” 体験をコンセプトに、物語の中に当事者として完全に入り込めるイマーシブシアターやショップ、レストランが展開される予定だ。先日、旅行情報誌『じゃらん』が発表した2024年注目の「旅トレンド」にも挙がった“イマーシブ体験”。これまでのテーマパークとは一線を画す、新たなエンターテイメント体験の目指す先を同社に聞いた。

なぜ今“イマーシブ”? 一緒に来ても全員が違う体験に「何度でも新鮮に楽しめる構造」

 パークのメインとなるイマーシブシアターの制作は、これまでユニバーサル・スタジオ・ジャパン、西武園ゆうえんちやハウステンボスなどのイベントやアトラクションを手掛けてきた同社のシニア・クリエイティブ・ディレクターの津野庄一郎氏が手がける。
 津野氏は2000年にUSJに入社し、V字回復の契機となった「ハロウィーン・ホラー・ナイト」の総合プロデューサーを担当。閑散期となっていた秋期の一大イベントを作り上げた。

「当時、USJで共に働いた森岡に言われて、もう忘れられない言葉があるんです。『一緒にテーマパーク作りましょう』って言われたんです。テーマパークって作るものじゃなくて運営するものだと思い込んでいたので、冗談かなって思ったんですけど、この人は言ったことは必ずやるというのは、もう十分すぎるぐらい知っていたので、その熱意に惹かれました」(津野氏/以下同)
 津野氏は刀に入社し、実際にその言葉を実現することとなる。来春開業予定のイマーシブ・フォート東京は、“イマーシブ=完全没入”をテーマに掲げる。従来のテーマパークの課題とも言える画一的な体験の提供の限界を突破した、これまでにない生のエンターテイメントを体験できる新形態のテーマパークとなる。

「いつ誰と行っても同じクオリティでエンターテイメント体験ができる安心感みたいなものがテーマパークの売りでもある反面、エンタメ好きな消費者は、常に新しい刺激や感動を求めているタイプの方が多いので、どうしても初めてのときの感動を超えられない。かといって、都度アトラクションを作り替えるとなると、ものすごい時間とお金がかかるんです。僕らはこの体験構造自体を思い切り変えたいと思い、いつ体験しても常に新鮮で、体験すればするほど面白くなっていくエンターテイメントジャンルを作りたくて、イマーシブ・テーマパークの構想にたどり着きました」
 ゲスト自身が物語の中に入り込み、新感覚の没入体験ができると、10年ほど前から世界中で話題を集めているイマーシブシアター。自由に歩き回ることができる空間の中で、緻密に練られたストーリーが目の前で展開され、ゲストは進む先によって、百人百様の個別体験を得ることができる。

「お芝居や映画は客席とステージの間に見えない壁があるのに対して、イマーシブシアターはその壁を取っ払って、物語の中に生身で入り込むことができる点が大きな違いです。同じ空間で一つの大きな物語が進んでいく中で、参加者1人1人が見るものや聞くことが個々に変わってくるんです」
 『イマーシブ・フォート東京』で展開されるシャーロック・ホームズのアトラクション「ザ・シャーロック」で言えば、殺人事件の容疑者になってしまったり、自分だけが真犯人の顔を見てしまったり、もはや演出ではなく、“出来事”として体験していく。1回目は被害者のバックグラウンドを知り、犯人がすごく憎くても、2回目に犯人側の事情を知ると、「あれ、これってどっちが悪かったんだろう…。一概に白黒つけにくい」と思えてくる。一つのストーリーをいろんな角度から体験でき、様々な立場で捉えることができるがゆえに、また来たくなるし、何度来ても飽きないというわけだ。

「例えば、謎解きや脱出ゲームって、答えを知ってしまうと2回目は鮮度高く楽しめないんですけど、イマーシブシアターは、完結できない、むしろ“完結させない”ので、何度でも新鮮に楽しむことができるんです。刀が制作に携わった、西武園ゆうえんちのイマーシブシアター『豪華列車はミステリーを乗せて』には、30回以上来ているようなハードリピーターもたくさんいらっしゃいます」

『東リベ』や『推しの子』没入コラボも 「日本のビジネスモデルを世界に持って行く」

 『イマーシブ・フォート東京』では、人気コンテンツとのコラボをはじめとした12のアトラクションの展開を計画している。アニメ『東京リベンジャーズ』や『【推しの子】』とのコラボに加えて、恋愛やミステリーにホラーまで、さまざまなテーマで、ゲストが登場人物の1人として物語に没入していくことができる。

「『東京リベンジャーズ』のアトラクションでは、ゲストが「東京卍會」のメンバーと肩を並べて、自分自身の行動で未来を変えていくという物語です。不良同士の大きな抗争に巻き込まれるなんて、もう絶対人生でないじゃないですか(笑)。江戸時代の『遊郭』をテーマに儚い切なさと人間ドラマを味わえる濃密なイマーシブシアターも。それから、19世紀末のロンドンに実在したジャック・ザ・リッパー、別名“切り裂きジャック”が彷徨っている古いロンドンの街の中を、歩いていかなければいけないという、ハイクオリティなホラーアトラクションもご用意してます」
 これまでも、多くの世界的人気コンテンツを新しいエンターテイメントへ昇華してきた津野氏。西武園ゆうえんちの『ゴジラ・ザ・ライド』では、世界中のゴジラファンからの絶賛のみならず、映画『ゴジラ -1.0』を手掛けた山崎貴監督に「あれに勝てるゴジラは作れない」と言わしめた。

「コンテンツをお借りしてるからには、その世界観をしっかり担保した上で、ゲストの期待をポジティブに裏切ることが重要だと考えています。二次元の世界観をどうリアルに体験していただけるかは大変なチャレンジでもありますが、私たちがやる意味にも繋がると思っています。コンテンツを使った体験を考えるときって、どうしても奇をてらいたくなるというか、オリジナルのものを作りたくなってしまうんですけど、“ファンが一番見たい姿” 、“真に得たい感情や体験”が何かを常に消費者目線で最優先に考えています」
 2025年には沖縄でのテーマパーク『JUNGLIA(ジャングリア)』の開業を予定している刀。最終的には、日本から世界をリードするエンターテイメントを目標に掲げていると言う。

「USJが低迷していた時、『日本でテーマパークって、ディズニーランドしか成功できないんだよ』ってよく言われたんです。テーマパークってアメリカものでしか作れないものっていう考えが根強くあると感じているんですけど、USJでは海外のコンテンツだけに頼らず、森岡とともに消費者視点を突き詰めた結果、世界でも有数の集客力を持つパークにまで成長したと思っていて。
 日本のエンターテイメントクオリティは集客、体験、ホスピタリティも世界のトップレベルだと思っています。東京では商業施設の跡地、沖縄ではゴルフ場の跡地を再活用してテーマパークを運営しますが、この『都市没入型』『屋外自然型』を応用できる場所って世界中に山ほどあるんですね。まずはこの2つのビジネスモデルを成功させて、今度は逆に日本のテーマパークを世界に持っていきたいと考えています」

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