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ボロボロになって戻った家出猫、「いつも帰ってくるから平気」では済まない“中外自由害”の危険
瀕死の状態でも飼い主の元へ帰ってきた、でも…
その後、心配する飼い主の元にふわちゃんは帰ってきた。だがその姿は、ガリガリに痩せ、ボロボロの状態だった。
「戻ってきたふわちゃんは、ほとんど瀕死の状態でした。すぐにボランティアメンバーが動物病院に入院させたのですが、どうも交通事故に遭ってしまったようで…。内臓からの出血もありました」
帰ってきたふわちゃんの片目は瞬膜(猫の目頭にある膜。普段は出てこず、戻らなくなったときは何かしらの異常がある場合も)で覆われ、耳の後ろは大きく腫れていた。獣医師によると、内臓にも問題があり、まさに満身創痍と言えるような有様だった。
入院の時点で、「難しいかもしれない」と言われたふわちゃんの容態。とはいえ、すぐに懸命な処置が行われ、「やれるだけのことはやった」という。だが、残念ながらふわちゃんの命を救うことはできなかった。
「体がこんな大変な状態になっていても、ふわちゃんは飼い主さんのところに帰ってきました。ただ、やはり外には危険があって、ふわちゃんのように事故に遭ってしまったり、そのまま帰ってこなくなったりする例はとても多いようです」
外に出た飼い猫は“野良猫”と同じ、ケガしても「動物病院で診てもらえないことも」
「実は、飼い主のいない野良猫の場合、緊急で近所の動物病院で治療してもらおうと連れていっても、診てもらえないこともあるのです。東京では少なくなりましたが、地方ではまだまだそのようなことは多いみたいですね」
実際はふわちゃんには飼い主がいたが、外に出てしまえばそれはわからず、野良猫と区別はつかない。もし、家に帰る前に誰かが病院に連れて行ってくれたとしても、“野良猫”として扱われた可能性はある。
「なぜ診てもらえないかというと、野良猫はどんな感染症を持っているかわからないから。ほかの患畜を守るため、という部分もあります。また、それだけでなく、飼い主がいない=入院させた猫を置いて行かれる、という懸念もあります。通りすがりの優しい人が連れてきてくれたとしても、迎えに来てくれない場合は病院側のリスクとなってしまうのです」
「野良猫は診てもらえない」としても、一概に病院側を責めることはできず、その背景にある要因にも頷ける。ならば、自分の飼い猫を“野良猫”とされないためには、どうすべきか。
「やはり、脱走対策をしっかりして、外には出さないということに尽きます。外には、ふわちゃんのように交通事故に遭う危険はもちろん、虐待される恐れもあります。ケガをしたり病気になっても、外では“野良猫”として治療してもらえないかもしれないということも、飼い主さんには知っていてほしいです」
いまや室内飼育は当たり前になりつつあるが、まだまだ猫を外に出す飼い主も多い。そんな人たちは、「遠くへ行かないから大丈夫」「いつも帰ってくるから平気」「今まで何匹も飼っているけど、みんな大丈夫だったから」「猫は賢いから」…と言うのだそうだ。
だが、これまで問題なかったからといって、明日どうかはわからない。猫を守るために、飼い主たちはこうした危険があることを知り、対策をすべきだろう。
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