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津田健次郎、ドラマ出演増加で「アニメやめるんですか?」の声に回答、2次元と3次元の間に「ボーダーライン引いてない」
日曜劇場にサプライズ登場、50歳の大泉洋と2歳差で親子役に「とても充実した時間」
「歴史ある日曜劇場にレギュラー出演させていただけるというのがすごくうれしかったですね。役柄的にも、回想シーンでの若い頃の演技と、同時に現在の老人になった心太朗の父の演技という年齢の幅がある役割ですので、それもとてもありがたく思いました」
「結構重い部分もある脚本でしたので、現場に参加するまでは重厚さの漂う現場なのかと予想していたのですが、福山さんと大泉さんのお2人が本当に優しくて。福山さんはマイベースに朗らかに現場を過ごしていらっしゃり、突如マッサージ器具を貸してくださったり(笑)、大泉さんもグルメの話題を振ってくださったりと、一気に現場に馴染ませていただきました」
「台本上では“うわ言を言う”といったト書きで、何を言えばいいか、ものすごく考えました。それで『腹減ってないか』とか、そういう心情のセリフかと思い、テストでは、あまり何を言っているかわからない感じでやったんです。そしたら大泉さんから『親子が近づくには、もう一発あった方がいいかもしれませんね』とご提案をいただき、実際その通りで、そういった良いシーンを作っていく過程がとても充実した時間でした」
一番厳しいダメ出しをしてくるのは、“もう1人の自分”「常に対話してきたバディ」
「アニメーションの仕事もドラマも舞台も、もちろん最終的な出口は違うのですが、根底に流れるものは演技や表現。テクニカル的なところで違いはありますが、昔から自分は声優だから、といったことは気にしていなくて、大事にしているのは“とにかく良い芝居をしたい”ということなんです」
根底ではボーダーラインを引かない。その都度現場で、任された役をより魅力的にする、もしくは自分のキャラクターが関わるシーン自体をいかに面白く、興味深いものにしていくかが大事だと熱く語る。結果、それぞれのメディアで得た表現法をフィードバックし合っており、アニメで得た技術をドラマで生かし、ドラマで学んだことをアニメに還元することができる現状に「ありがたい」と感謝を語る。
本作はバディものだが、津田にとっての最大の理解者は誰かと問うと、「もう1人の自分」との答えが返ってきた。
彼の中に潜むもう1人の津田は、デビュー当初から、一番厳しいダメ出しをしてくるという。一方の自分では良かったと思っていても「お前、そんなんじゃダメだ」と叱り、逆に弱っている時は励ましてくれる存在だ。「“もう1人の自分”というものは誰しも持っているかもしれませんが、僕は常に自分と対話しながら芝居をしてきた。一番長い付き合いのあるバディかもしれませんね」と微笑んだ。
「年齢でくくることは好きじゃない」20代の頃からポジティブに“死”を意識してきた
2019年には、声優・鈴村健一らが出演する即興劇『AD-LIVE』の舞台裏に迫った『ドキュメンターテイメント AD-LIVE』で、映画監督デビューも果たした。同作では、演者だけでなく、スタッフの活躍にもスポットライトが当てられている。あまり日の目を見ないスタッフの努力や苦労も見てほしいという津田の想いが強く反映されていた。
「スタッフや役者の人生を背負い、時間を拘束している以上、『この作品に携われて良かったな』と思える現場や作品にしたかった。ものづくりは苦しいことの連続だと分かってはいましたが、恐ろしく大変で非常に尊いもので、それぞれの部署の悲喜こもごもの集大成が作品なんだと実感しました」
「ジャンル問わず、かな。文章にしても映像、音楽だろうが、良い表現というのは世界共通な正義な気がします。そして、偉大な表現者が僕にとってのアイドル。それは反省材料にもなるし、全身への力にもなる。現場でも毎回が学びです。今作でも、いつも明るい大泉さんが真剣に向き合っている時に口数が減る、そういった面にグッとくるんです」
声優、俳優、監督、それらの立場を超え、津田の根幹にあるのは「良い表現」を突き詰めること、ただそれだけだった。だからこそ、肩書きやフィールドにはこだわらない。監督業を経験し、ものづくりは“地獄のような作業”だと改めて痛感したと語る津田。それでも尚、次なる長編作品製作への意欲も見せた。それはまた、ボーダーラインなく、声優業や俳優業に還元されていくのだろう――。