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津田健次郎、ドラマ出演増加で「アニメやめるんですか?」の声に回答、2次元と3次元の間に「ボーダーライン引いてない」

 ’95年にデビューし、数々の人気作品に出演してきた津田健次郎が、昨今ドラマ界でも人気を確立しつつある。’21年のヒットドラマ『最愛』(TBS系)で注目を浴びると、昨年は7作に出演。今期も日曜劇場『ラストマン−全盲の捜査官−』(同系)で、キーマンとして物語を盛り上げている。4月には、Twitterフォロワー数100万突破を記念し、「ツダケンチヤホヤフェス」を開催。作品やキャラではなく、津田1人にフォーカスされたコラボカフェまでもが開かれた。50代を迎えた今も活躍の場を広げ、幅広い人気を伸ばし続ける津田に、俳優業に懸ける思いを聞いた。

日曜劇場にサプライズ登場、50歳の大泉洋と2歳差で親子役に「とても充実した時間」

 現在放送中のドラマ『ラストマン』で、大泉洋演じる心太朗の父役を演じている津田。第1話から老人役でひそかに登場していたが、回想シーンが放送された第2話後に出演が明かされた。日曜劇場へのレギュラー出演は本作が初となる。

「歴史ある日曜劇場にレギュラー出演させていただけるというのがすごくうれしかったですね。役柄的にも、回想シーンでの若い頃の演技と、同時に現在の老人になった心太朗の父の演技という年齢の幅がある役割ですので、それもとてもありがたく思いました」
 本作は、両目の視力を失っているが、鋭い分析力、嗅覚、触覚で事件を必ず解決する最後の切り札「ラストマン」と呼ばれる皆実広見(福山雅治)と、皆見のアテンドを命じられ、ある理由から絶対に悪を許さないという謎の正義感を持つ護道心太朗(大泉洋)が活躍する痛快バディドラマ。日曜劇場ならではの重厚な家族の人間模様も見どころだ。津田扮する心太朗の父は、物語の鍵を握るキーマン的存在だ。

「結構重い部分もある脚本でしたので、現場に参加するまでは重厚さの漂う現場なのかと予想していたのですが、福山さんと大泉さんのお2人が本当に優しくて。福山さんはマイベースに朗らかに現場を過ごしていらっしゃり、突如マッサージ器具を貸してくださったり(笑)、大泉さんもグルメの話題を振ってくださったりと、一気に現場に馴染ませていただきました」
 心太朗の父に関する情報は、これまでベールに包まれてきた部分も多いが、25日放送の最終回で、遂に全てが明かされる。心太朗とのシーンは、1歳年下の大泉と相談しながら、親子の会話を作り上げていった。

「台本上では“うわ言を言う”といったト書きで、何を言えばいいか、ものすごく考えました。それで『腹減ってないか』とか、そういう心情のセリフかと思い、テストでは、あまり何を言っているかわからない感じでやったんです。そしたら大泉さんから『親子が近づくには、もう一発あった方がいいかもしれませんね』とご提案をいただき、実際その通りで、そういった良いシーンを作っていく過程がとても充実した時間でした」

一番厳しいダメ出しをしてくるのは、“もう1人の自分”「常に対話してきたバディ」

 これまでアニメ『遊☆戯☆王』や『ゴールデンカムイ』、『呪術廻戦』、洋画『スターウォーズ』吹替など、声優として数多くの作品に出演してきた津田。世間では、ここ数年で俳優の印象が強まっているかもしれないが、実は元々舞台俳優を目指し、大学でも演劇学を専攻していた。かねてから声優業と俳優業を並行してきた背景もあり、本人としては、ドラマの出演が増えたことによる意識の変化は特にないという。

「アニメーションの仕事もドラマも舞台も、もちろん最終的な出口は違うのですが、根底に流れるものは演技や表現。テクニカル的なところで違いはありますが、昔から自分は声優だから、といったことは気にしていなくて、大事にしているのは“とにかく良い芝居をしたい”ということなんです」

 根底ではボーダーラインを引かない。その都度現場で、任された役をより魅力的にする、もしくは自分のキャラクターが関わるシーン自体をいかに面白く、興味深いものにしていくかが大事だと熱く語る。結果、それぞれのメディアで得た表現法をフィードバックし合っており、アニメで得た技術をドラマで生かし、ドラマで学んだことをアニメに還元することができる現状に「ありがたい」と感謝を語る。
「とはいえ、周囲から見たらカテゴライズはどうしてもあります。声優として、ある程度の評価を頂いてうれしい自分もいます。ただ今後、アニメや実写のボーダーラインはもっと曖昧になって融合していく形が多くなっていくんじゃないかなと。最近、俳優仕事が増えたことで“アニメやめるんですか?”と言われることがあるのですが、そんなことはないと声を大にして言いたい(笑)。両方やりたい。僕にとってそれが刺激的で、とても面白いんです」

 本作はバディものだが、津田にとっての最大の理解者は誰かと問うと、「もう1人の自分」との答えが返ってきた。

 彼の中に潜むもう1人の津田は、デビュー当初から、一番厳しいダメ出しをしてくるという。一方の自分では良かったと思っていても「お前、そんなんじゃダメだ」と叱り、逆に弱っている時は励ましてくれる存在だ。「“もう1人の自分”というものは誰しも持っているかもしれませんが、僕は常に自分と対話しながら芝居をしてきた。一番長い付き合いのあるバディかもしれませんね」と微笑んだ。

「年齢でくくることは好きじゃない」20代の頃からポジティブに“死”を意識してきた

 現在52歳の津田は、来年でデビュー30年目を迎える。日本では加齢とともに役が狭まる風潮もあるが、「年齢のことは気にしていない」ときっぱり。「同じ年齢でも人によって全然違うので、役柄の年齢もおおよその目安程度で考えていますし、年齢でくくることはあまり好きじゃないですね。それより、自分のことをどう捉えるかということの方が大事。人はいつか死にます。人生はそんなに長くないという感覚は20代から意識していました。ですから上手くポジティブに、いつ死んでもいいように濃密な瞬間を積み重ねていきたいですね」

 2019年には、声優・鈴村健一らが出演する即興劇『AD-LIVE』の舞台裏に迫った『ドキュメンターテイメント AD-LIVE』で、映画監督デビューも果たした。同作では、演者だけでなく、スタッフの活躍にもスポットライトが当てられている。あまり日の目を見ないスタッフの努力や苦労も見てほしいという津田の想いが強く反映されていた。

「スタッフや役者の人生を背負い、時間を拘束している以上、『この作品に携われて良かったな』と思える現場や作品にしたかった。ものづくりは苦しいことの連続だと分かってはいましたが、恐ろしく大変で非常に尊いもので、それぞれの部署の悲喜こもごもの集大成が作品なんだと実感しました」
 監督業に挑み、より映像表現への愛が深まったと語る津田。ドラマ『ラストマン』では登場人物それぞれの“正義”が描かれているが、津田にとってのそれは「良い表現」だという。

「ジャンル問わず、かな。文章にしても映像、音楽だろうが、良い表現というのは世界共通な正義な気がします。そして、偉大な表現者が僕にとってのアイドル。それは反省材料にもなるし、全身への力にもなる。現場でも毎回が学びです。今作でも、いつも明るい大泉さんが真剣に向き合っている時に口数が減る、そういった面にグッとくるんです」

 声優、俳優、監督、それらの立場を超え、津田の根幹にあるのは「良い表現」を突き詰めること、ただそれだけだった。だからこそ、肩書きやフィールドにはこだわらない。監督業を経験し、ものづくりは“地獄のような作業”だと改めて痛感したと語る津田。それでも尚、次なる長編作品製作への意欲も見せた。それはまた、ボーダーラインなく、声優業や俳優業に還元されていくのだろう――。

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